令和3年度 研究記録・・・

令和3年度 ひばり組・3歳児 研究発表

テーマ『ごっこ遊び』

〇はじめに

ごっこ遊びは想像力やコミュニケーション能力を養える遊びである。また、3歳児のこの時期は、想像力が大きく発達し始めると言われている。今年度のひばり組は普段から使用しているままごとコーナーに様々な素材を用いて様々な場所で行った。普段とは違う環境や様々な素材を用いる事で自由な発想から想像力が豊かになり、やり取りを通してコミュニケーション能力を育めたらと思い「ごっこ遊び」を一年間の保育テーマとした。
同時に指先を使った遊びをひよこ組から行っていることもあり、今年度も引き続き粘土遊びや折り紙を通して指先を使える遊びを取り入れた。

4月

〇ままごとコーナー

まず初めに、片付け方や遊び方などコーナーの正しい使い方を伝える。今月は「紐・すずらんテープ・フェルト・デコレーションボール」を準備し遊べるようにした。今まではリアルな玩具で遊んでいた為、「何これ」と興味津々に触ったり、じっと見る姿が見られた。ままごとコーナーだけでは狭いので、保育室全体を使用して、各テーブルにそれぞれの素材を並べて遊べるようにした。
全体的に何かに見立てるというよりも自由にお皿に乗せたり、カップに入れて遊ぶ姿があった。遊びの途中で保育教諭の「白い紐はうどん・すずらんテープをジュース」に見立てる姿を見て、同じようにお皿に盛り付けたりトッピングとしてケーキの玩具にデコレーションボールを乗せて遊び始める。作ったものを「先生見て」と見せたり、他児に「一緒に食べよう」と誘う姿が見られた。
活動後、ままごとコーナーにそれぞれの素材を置き、普段から遊べるようにする。見立てて遊ぶ反面、片付けに慣れず、床に散らばっている事が多くあり、片付けに時間が掛かってしまう。

5月

〇テラスままごと遊び

ままごとコーナーの玩具をテラスに並べて遊べるようにした。今月は新たに「包み型しゅしゅ」を玩具として追加する。しゅしゅにデコレーションボールを入れて目玉焼きを作ったり、フライパンに乗せてハンバーグのように焼いて遊ぶ姿が見られた。先月よりも色や形を見て食べ物をイメージしながら遊んでいた。他児と一緒に遊ぶというよりは個々に好きなものに見立てて遊んでいた。テラスだった事もあり、シートや机を出して食べられるスペースを作った。作ったものをお皿に盛り付け「一緒に食べよう」「○○作ったよ」と他児と会話をしながら食べる姿が見られた。
また、「園庭見ながら食べよう」とテラスならではの会話が聞こえてきた。
お皿以外に様々な種類のカップを準備した事からジュースやデザートなどをイメージして盛り付けする姿が見られた。

6月

〇お店屋さんごっこ(絵カード使用)

食べ物や日用品などのカードを使いお買い物ごっこを行った。子どもたちがイメージしやすいようにお客さんは鞄を持ち、お店の人はエプロンと三角巾を付けた。お店屋さんはオープンすると「いらっしゃいませ~」「○○屋さんですよ~」など、お客さんは「これください」「どれにしようかな」などと賑やかな声が聞かれた。「これください」と言われると「○○円ですよ」と、本当のお店屋さんのように楽しんでいた。その様子からは、普段の買い物やお店の人とのやり取りをよく見て、聞いている事が伺えた。
中には置いているカードのイラストを見ずに次々に鞄に入れている子もいて、買い物の仕方にそれぞれ個性が出ていた。最後に買った物を一人ずつ発表すると、欲しいものが買えて満足そうな子、たくさん集めて嬉しそうな笑みを浮かべる子と様々だった。
2回目を行うと“野菜・弁当・デザート・衣服”など種類別にする姿が見られたので「何屋さんですか」と聞いてみると「ここは八百屋さんですよ」「フルーツいっぱいあるよ」と全身で自分のお店をアピールする姿が見られた。
また、「ここに○○あるよ」と友達に伝える子や、前に買えなかった物を探す様子があった。買ったものを鞄からたくさん出し友達に嬉しそうな表情で見せていた。

〇園庭でお店屋さんごっこ

園庭のままごと遊びでは、どこで何屋さんをするか、子どもたちに意見を聞いて決めた。滑り台下と机・ベンチ・ハウスの各場所を“お菓子屋さん・グミ屋さん・魚屋さん・アイス屋さん”に決定する。好きなお店屋さんに分かれると「○○作るからお皿取ってこよう」と作るのに必要なものを自分で考えて用意したり、葉っぱや枝、・石・白い砂を使い作ったものの上に飾り付けをしていた。カレーは白色の砂をご飯、茶色の砂をルーにして、色の違う砂を上手く使って作っていた。完成すると「○○です」と保育教諭に届け「何味ですか」「何円ですか」と聞いているうちに「これは○○です」「これは○○味だよ」「〇円ください」などと、具体的に子どもたちから色々な言葉が聞かれた。
また、真ん中にシートを敷き食べる所も用意した。座っている子がいると、お店から「何が欲しいですか」と聞き、配達する姿もあった。玩具の電話を使って「もしもし○○ください」「分かりました。待ってください」など、初めは保育教諭とのやり取りが多かったが、子ども同士で配達を楽しめるようになった。作ったものをこぼさないよう慎重に運び「持ってきました」と渡すなど、工夫をして遊んでいた。保育教諭が石をお金に見立てて渡すと子どもたちも同じように石をたくさん集め楽しみ始めた。初めて砂を使ってのごっこ遊びだったが、やり取りの幅が広がっていた。

7月

〇テラスで色水を使いジュース屋さんごっこ

お店屋さんは1人一本ずつ色水の入ったペットボトルを用意した。
お客さんは一人1つコップを持ち買いに行く。
初めに色水を作って見せると、透明の水から色水に変化する様子に「すごい」と驚き、目を輝かせていた。白色は牛乳やカルピスなどと色に合わせて様々なジュースをイメージしていた。お店がオープンすると「いらっしゃいませー!○○ジュースありますよ」と大きい声を出して元気よく友達を呼び「○○ジュースです」と声に出しながら入れ、お客さんは「もっと入れて」とリクエストしていた。違う色水を混ぜ、ぶどうジュースなどオリジナルジュースを作って色の変化を楽しんだり、友達と乾杯し盛り上がる姿があった。
飲み終わると豪快にバケツに入れ、全ての色のジュースが混ざると、茶色や濃い緑になり「コーヒーみたい」と不思議そうな表情で見ていた。

〇お部屋でジュース屋さんごっこ

子どもたちが折り紙で作ったコップ・ポンポン・すずらんテープ・革リボン・カップを使用してごっこ遊びを行う。
ジュースに見立てたすずらんテープをコップに収まらないくらいに入れてもらい「こぼれる」とゆっくり運んだり、買ったジュースを座って飲み「おいしい~」と椅子で休憩する子もいた。ジュースを頼まれると元気よく「はーい、お待ちください」と返事したり、友達が持っているものを見て「これどこで買ったの」と聞き、同じ所に買いに行ったり、やり取りを楽しむ様子が見られた。ポンポンやすずらんテープを上手く使い、飾り方にこだわる子も見られそれぞれで工夫して楽しんでいた。

〇ままごとコーナー

革で作ったリボンを追加した。ポンポンなどと使い方は違い、ケーキなどの上に置き可愛いらしくデコレーションしたり、リボンだけでチョコレートに見立てて使っていた。

8月

〇洗濯ごっこ

普段使っているままごとのハンカチや服(人形用)などを手洗いし、洗濯ごっこを行った。泡のタライで洗ってから水のタライですすぎ洗い、最後にまた別の水のタライで仕上げ洗いをする事を説明し開始した。
3つの工程を行うものの1つの工程が短く、洗って干すという事がただただ楽しい様子であった。保育教諭が、初めは洗い流しや絞り足りないものをもう少し丁寧に洗うように声を掛けていたが、徐々に干している洗濯物を触って「まだこれちょっとぬるぬるしてるから洗ってあげる」「これもうちょっと絞った方が良い」と自分たちで気付き、更に丁寧に洗濯していた。
また、大きな布は絞るのが大変そうであったが、友達同士で端を持ち合って絞るなど、協力しながら行う姿も見られた。遊びの中で「こうしたらもっと良くなる」と発見・気付きを感じながら遊ぶ様子が見られた。

〇アイス屋さんごっこ

自分たちで折った折り紙のアイスと画用紙を丸めて作った立体のアイス、そして短く切ったストローやままごとの食べ物(リボン)等、トッピングになるものを使用してごっこ遊びを行った。お店屋さんごっこにも慣れ、お店屋さんとお客さんに分かれるとすぐに自分の役割を理解し、自らエプロンを付けようとしたり買い物に行く為、お金を保育教諭に求める姿が見られるようになった。買い物に行く子どもたちは、「〇味下さい」「(アイスは)ダブルにして下さい」と具体的に注文をし、お店屋さんをしている子どもたちも、注文に合わせて味のイメージに合った色のアイスを選んでいた。
後日、2回目のアイス屋さんごっこでは、ままごとに新しく加わった食べ物も使用して行った。2回目という事もあり、今回はアイスを作るのも、カップにアイスとトッピングも乗せてパフェのようにしたり、綺麗に並べて器に盛り付ける等こだわりながら作っていた。
お金のやり取りは値段を聞いてお金を渡すというやり取りの子どもがほとんどであるが、「200円です」と聞くとお金を2枚渡したりと数の認識が出来る子も見られ始めた。

〇ままごとコーナー

フェルトを巻いたものを追加した。アイス屋さんごっこで使用したという事もあり、普段のままごと遊びでも子ども同士で新しい食べ物をアイスに見立てて遊ぶ子どももいた。
また、食べ物を直している棚を冷蔵庫に見立て、お皿に盛り付けた料理を中に入れて冷やす姿が見られた。ただお皿に盛るだけでなく、冷やして取り出すという工程を子どもたちで新たに生み出して遊べている事に成長を感じた。

〇園庭遊び

園庭のおもちゃ箱にゴザを用意し、夕方等の園庭遊び時に自由に敷いて遊べるようにした。ゴザを敷くと物珍しさもあり、その上にお皿などを持ってきて友達同士でごっこ遊びを楽しんでいた。
また、ゴザの上では靴を脱ぎ、出る時には靴を履いて出掛け、まるでゴザが家のようであった。滑り台下ではお店屋さんごっこを行い、お客さんになる子は石を集めてお金に見立て買いものをする姿も見られた。
保育教諭が入らずとも、子どもたちのアイデアでどんどん遊びが豊かになってきている様子であった。

9月

〇アクセサリー屋さんごっこ

自分たちで作ったストローや革のブレスレット・おおぞらフェスティバルで染めたハチマキ・ままごとの帽子を使ってアクセサリー屋さんごっこを行った。
それぞれ自分たちで作ったアクセサリーに愛着を持ち、買いものをする時には「これ○○が作ったのだ」と自分で作ったものを見つけ出して買う姿も見られていた。買ったものはすぐに身に付け友達と見せ合って楽しんでいた。前半後半に分かれてお店屋とお客さんを交代で行い、全員が買い物を終わった後、みんなでファッションショーを行った。恥ずかしさもあるようではあるが、見てもらえる事が嬉しそうであった。
 ファッションショーを気に入っている子が多く、より好きなものを選んで身にまとえるよう、2回目はアクセサリーだけでなくままごとの服なども加えて行った。
今回はそれぞれが好みの服・アクセサリー・帽子を買うと「これはここ(腰)に着けて」などと着方や着け方にこだわりながら身にまとい、一人ひとりの個性が見られた。お店屋さんも「○○ありますよ」「これがおすすめです」と積極的に売り込んでいた。ファッションショーでは堂々とランウェイを歩き、ポーズをとる姿はまるでモデルのようであった。

〇栗拾いごっこ

折り紙で栗を折る事から始めた。工程も簡単で折る事にも慣れてきた様子もあったので、前で説明する保育教諭を見ながら一斉に折る。「次はこう折るの」と聞きながら丁寧に折る事が出来ていた。
また、「こう折るんだよ」と友達同士でも声を掛け合う姿も見られだし、他児を意識しながら取り組む様子も見られた。  栗の完成後、保育室の一部に栗と広告で見立てた落ち葉を広げ、栗拾いごっこを開始する。
広告の落ち葉を掻き分け、栗を見付けると「栗見付けた」「これ(自分)が折ったのだ」と見付け出す事を楽しんでいた。 拾った栗を「焼いてみよう」と保育教諭が焚火のように焼いて見せると、子どもたちも「熱い」「焼けたかな」とイメージを膨らませて焼いたり「熱いから気を付けて」と火から遠ざかる子もいた。栗を取り出す時には「熱いからどうしよう」と保育教諭が問うと、「手袋したらいいよ。貸してあげる」とエアーの手袋を保育教諭に手渡す姿も見られ、栗と広告の落ち葉だけであったがそこから更にイメージを膨らませ、まるで本当に栗拾いに来ているかのように楽しめていた。

〇ままごとコーナー

平たい丸布を追加した。食べ物が増えると、「新しく増えている」とすぐに気が付き、「フワフワしてる」と布の感触を感じていた。また、丸布を重ね合わせてハンバーガーを作る姿もあった。
その他スポンジも新たに用意した。使ったお皿はスポンジで擦り、洗ってから元の場所に直そうとする姿も自然と見られた。

10月

〇園庭でお店屋さんごっこ

ごっこ遊びで様々なお店屋さんごっこを経験してきたからか、何のお店屋さんをしたいか尋ねると「プリン屋・キャンディー屋・かき氷屋・アイス屋・寿司屋・ジュース屋・靴屋・服屋・帽子屋・魚釣り屋・お家屋」と、食べ物屋さん以外にもたくさんのお店が上がった。
靴屋さんなど園庭での玩具のみでどのように表現するのか大人は想像も出来なかったが、砂を入れたカップを保育教諭の靴の上に乗せ、靴飾りを作ってくれる姿が見られ、柔軟な発想力が発揮されていた。
魚釣り屋さんは、水で地面を湿らすと、そこにシャベルを釣竿のように入れて釣りをする真似をしたり、寿司屋さんは落ち葉を寿司ネタ見立てたり枝を2本見つけてお箸にしたりと、それぞれのお店屋さんに合わせた見立て方が見られた。
また「ハロウィンプリンです」と、この時期ならではのものを作ったり、注文を受けると「プレゼント用ですか?」と聞き、ラッピングする動作をしてから食べ物を渡そうとしたりと本物のお店屋さんのようであった。

〇服屋さんごっこ(広告使用)

広告を使用して服作りを行った。初めは「先生作って」と保育教諭に伝え、何を作ろうか迷っている子の姿が見られたが、次第にイメージを膨らませ「○○みたいな服作りたい」「ドレス作る」など体に巻き付けてドレスやズボンなど様々な服を作り進めていた。また、他児が身に付けているものを見て「どうやって作ったの?」と作り方を聞いたりしながら子ども同士で作り方を伝え合う姿が見られていた。
また、服だけではなく広告を細長くし、丸めてブレスレットや剣など細かいアイテムを作る姿も見られた。
その後、作った服を取り入れて服屋さんを行った。自分たちで作ったものなので本当の商品のように大切に扱う姿が見られた。「これ下さい」と伝えると「こちらでどうぞ」と試着する姿や「このお洋服はどうですか?」と勧める姿など楽しんでいる様子であった。最後に買った服を身に付けてファッションショーを行い、身に付けているものを紹介出来る様に行った。

〇ままごとコーナー

革・フェルトなどで子どもたちが作った食べ物を普段から使えるように追加した。元から置いていた食べ物と組み合わせてお弁当箱などに詰めてピクニックをするなど、遊びを展開する姿が見られた。

11月

〇服屋さんごっこ

カラーポリ袋で作った服で服屋さんごっこ、折り紙で折った財布を使用して買い物ごっこを行った。
カラーポリ袋の服作りでは、星やハートの飾りやポケットなどを準備して作れるようにした。裾を短く切ったり「ギザギザにしたい」など、子どもたちのリクエスト通りに切り、好きな形の服を作った。
服作りの際には好きな飾りを貼るだけではなく、「リボンを付けたい」とすずらんテープで結んだり、友達の服を見て「これしたい」と伝える子もいた。中には短く切りベストのようにする子や、前を縦に切ってジャケットのように見立てて作る姿も見られ、それぞれ個性のあふれる服が完成した。
 服屋さんごっこを行った際には「黄色い服はどうですか」「残り1つです」とお客さんに上手く勧めいた。「これください」と言われると「ピッ」とレジを通し「100円です」などと本物のお店屋さんのようにやり取りする姿が見られた。
お客さんは買った服やハチマキなどを組み合わせ、「頭につけて」「(腰に)巻いて」「リボンにして」と身に付け、工夫して服装を楽しんでいた。自分で作った服を探して買う姿も見られ、服に愛着を持ちごっこ遊びを楽しむ様子が見られた。

〇お店屋さんごっこ(作った財布を持って)

折り紙で作った財布を持って、本屋さん・食べもの屋さんのお買いものごっこを行った。お気に入りの絵本やジュース・アイスなど好きなものを注文し、財布から落ちないようにお金を1枚ずつ慎重に取り出して買っていた。財布を確認し「まだお金ある」と嬉しそうにお店に向かう子や買ったものを座ってゆっくりと読んだり、食べたりする姿も見られた。
また、子どもたちで「これ買ったよ」と紹介し合う姿もあった。
ごっこ遊びを重ねるごとにやり取りが益々豊かになり、友達との関りがより深まってきた。

〇ままごとコーナー

おおぞらレシピの冊子を子どもたちが手に取れる場所に置くと、実際に手に取り写真と同じように作り始める姿や「○○はいかがですか」と注文票のようにしてままごとコーナーでもお店屋さんごっこを楽しむ様子があった。

12月

〇お店屋さんごっこ(広告使用)

広告で食べ物作りを行った。両手で丸めておにぎりやドーナツを作ったり、細長く割いたものを麺に見立てながらイメージを膨らませて作り進める姿が見られるようになった。
作ったもので野菜・お肉・デザートなど種類分けを行いお店屋さんごっこに繋げた。また、広告の写真を切り取ったものもお店に追加した。お店屋さん・買いものに行く人と自由に選べるようにした。
この頃になると「野菜はいかがですか?」「○○はどうですか」と店員になりきる事が上手になっていた。買いものをしている子も「どうしようかな」と悩む姿や「今は大丈夫です」と本当に買いものをしているようなやり取りを行っていた。
また、「食べられる所はありますか」とフードコートのような場所を作って欲しいとリクエストがあった。子どもたち自身でお店はどんな所なのか、何があるのかを想像しながら遊びを展開する事が出来るようになっていた。

1月

〇食べ物作り

(ドーナツ・キャンディー・綿あめ・お寿司・ハンバーガーのパン)
画用紙や気泡緩衝材などの素材を使って、作りたいものを選んで食べもの作った。
ドーナツやキャンディー・綿あめの色を決める時に「何味にしよう…レモン味にする(黄)」「いちご味にする(ピンク)」など、またお寿司の巻き寿司では「マグロを入れたい」と赤色や「きゅうりにする」と緑色など、作りたい味を決めてイメージする色を選んでいた。友達が苦戦している姿を見て「やってあげようか」「こうやってするんだよ」と優しい声を掛け、お手伝いをしたり、協力して作る姿も見られた。完成すると「本物みたい」「(パン)ふわふわ」と満足げな表情が見られた。

〇お店屋さんごっこ(作った食べ物を使用)

食べもの・デザート・服・絵本のお店屋さんごっこを行った。食べもの屋さんでは「待ってくださいね」と声を掛け、ホットプレートの上でしっかりと焼いたり、マヨネーズやソースをかけてから渡す微笑ましい姿があった。
また、始める前にお金の使い方について話をし、「200円です」と言われるとお金を2枚渡すなど値段によって渡すお金の枚数を変える子が以前より増えた。レジも使いこなして数字のボタンを押したり「ピッ」と声に出してレジを通す姿もあった。手作りのもので遊ぶ事で、買って満足そうに眺める様子や、子どもたち全員が進んで参加する姿が見られた。
客:「これ下さい」店:「○○円です」など、お金の受け渡しまで子どもたちたちだけでスムーズに楽しめるようになり成長を感じた。

〇ままごとコーナー

指編み(輪っか)を追加した。白をシャリにし、赤(まぐろ・えび)・オレンジ色(サーモン)・黄色(卵)等たくさん作り並べて「お寿司できたよ」「どれがいい」と持って行く様子があり、本物のように作る子が多かった。
中には、プリンを茶色と黄色で(プリンとキャラメルの色)分けて作る子も見られ、お寿司だけではない新しいアイデアを嬉しそうに見せていた。

2月

〇お店屋さんごっこ

今回はどのようなお店屋さんをしたいか子どもたちに聞き、それにちなんだものを紙粘土で作る事から始めた。
何を作りたいかを聞くと、今までには出てこなかった「お皿を作ろう」と言う意見も聞かれた。作るものは(たこ焼き・寿司・アイス・ケーキ・クッキー・食器)に決まった。
後日作ったものとおままごとのおもちゃでお店屋さんごっこを行った。たこ焼き屋さんは、たこ焼きをお皿に盛るとソースや青のりをかけたりと本物のように作っていた。
また、お皿に盛り付ける人・レジをする人・お金を貰う人と自分たちで役割を分担してする姿が見られていた。中には、戻ってきたお皿はスポンジで洗って使ったり、食べものに合わせてスプーンを付けて渡したりと細かい部分までお店屋さんを再現して遊んでいた。
紙粘土で本物のように作ったものを使用する事で、よりごっこ遊びが広がり遊びに入り込んで楽しめていた。

3月

〇お店屋さんごっこ

何のお店屋さんをしたいかや何が必要なのかを、事前に子どもたちに聞いて行った。お店屋さんは(ゼリー屋・ドーナツ屋・服屋・うどん屋・寿司屋・たこ焼き屋・ハンバーガー屋)の意見が出た。
また、お店屋さんをするにあたり(レシート・カゴ・ポイントカード)を使いたいという意見も出たので準備した。
 当日ポイントカードを貰うと初めてのカードを喜び、早く使いたい様子であった。初めは、お店で好きなものを買うと、カードをお金のように渡し満足していた。そこで、ポイントカードはシールを貼ると返却してもらう事をその都度知らせた。すると買いものするごとにシールを貼ってもらい「3ポイントたまった」などと貯める事を楽しみながら買いものを行っていた。
ハンバーガー屋ではフライパンでパンやハンバーグを焼いてから挟み、デザート屋ではすずらんや紐などを組み合わせて一から作る姿が見られていた。服屋では、お客さんから「ピンクの服下さい」と注文を受けると、商品の中から探し出して「この服ですか」と確認し、やり取りをしながら希望に合った服を探し出し売っていた。
一年間で様々なごっこ遊びを経験してきた事もあり、どのお店屋さんも上手にしていた。

〇お家ごっこ(園庭)

今回はお店屋さんではなくお家を中心にごっこ遊びを行った。ゴザを敷いて中に入ると、初めはどのように遊ぶか戸惑う姿があった。
料理を作ろうと提案があると、家の中にお皿がなかったので買いに行く事から始めた。お皿を買うと料理をする子もいたが、お皿の他に家に必要なものを考え、「テレビもいるね」と次の見立てられるものを探しに行く子もいた。カゴを見つけると「これテレビにしよう」とゴザに置きに行き、そこから「リモコンもいる」「ゲームも探しに行こう」「これ(木の枝)は鍵にしよう」と柔軟な発想で様々なものを見立て、自分たちでも遊びを広げていた。また、ゴザに戻ってくる時にはドアをノックする動作をし「トントントン開けてください」「どうぞ。おかえり」などと自然とやり取りが生まれていた。
ゴザの中では料理以外にも掃除をしたり、テレビに向かって友達とゲームをする動作をして盛り上がる姿も見られた。
まるで本当にテレビゲームの画面が見えているかのようであった。ゴザの外では、「学校も作ろう」とシートを広げたり「学校だから先生もいるね」などと友達同士で言い合い、どんどん遊びを膨らましていた。途中で保育教諭が夜になった事を声掛けると、「夜だから寝ないと」とレジャーシートを布団に見立てて被って寝る子と、「まだご飯食べてないから食べよう」と料理をしてご飯を食べてから寝る子と様々であった。寝る時には「トントンしてあげる」とお家の人になりきって友達を寝かす姿もあった。
 初めはゴザが敷かれただけの空間であったがテレビやお皿など、家のものを自分たちで用意して遊んでいくうちに「ここ汚れてるから掃除しよう」とシートの上を綺麗にしたり「散歩にいってきます」と靴を履いて出掛けたりし、本当の家のようだった。

〇指先を使う遊び

*粘土
≪5月≫ ~自由に作る~

つばめ組では年間を通して粘土遊びを行っていた事から粘土遊びが大好きな子どもたちであった。
今月は自由に遊ぶ。一人ひとりに粘土板や粘土ベラがある事に喜びを示し、粘土板に付けたり、丸めたり、細長くして遊ぶ姿が多く見られた。
他児と会話をするというよりはそれぞれが作る事に夢中で遊ぶ様子であった。

≪6・7月≫ ~様々な丸いものをイメージして作る~

始める前に丸いものは何があるか聞いてみると、トマトやみかんハンバーグ・クッキーなど食べ物が多く聞かれ、それぞれ思い付いた丸いものを作っていた。丸を2つ繋げるだけでも上に積むと雪だるまや、横に繋げ棒に刺しお団子など、丸2つだけでも様々なものが出来ていた。 また雪だるまでも顔まで細かく作る子もいた。

≪8月≫ ~細く伸ばして様々な物を作る~

粘土板の上で転がして細くする子、手を擦り合わせるようにして細くする子など、方法は個々に違いがあった。
細さを意識してする子は、長さは短いがとても細く伸ばせていた。
長さを意識する子は、細さを意識する子ほど細くはないが伸ばして長い一本を作っていた。細さをテーマにしたが個々で意識する所に違いが見られるものの、伸ばす際には手のひらを使う、細かい部分には指先を使うなど感覚的に使い分けてする姿が見られた。
また、細く伸ばした粘土で作れるものを連想し、ソフトクリーム・蛇・カタツムリ・ハートなど様々なものに変身させる事が出来ていた。

≪9月≫ ~作るものを自分で決めて作る~

最後に作ったものを発表する事を初めに知らせ、今回は好きなものを作った。
以前作った丸いものや細いものを作って組み合わせて1つのものを作ったり、粘土ベラで細かく切ったりと思い思いに作っていた。
何を作りたいかを考えイメージし、目的を持って作る事が出来るようになり、またイメージしたものを形にする事も上手になってきた。

≪10月・11月≫ ~食べ物作り~

何かをイメージしながら作る事が定着し、粘土を手に取るとすぐに作り始める姿が見られた。粘土を組み合わせて一つの食べ物を作る事も上手になり、次々と作り進めていた。
また、粘土の蓋をお弁当箱に見立てて、作ったものを詰めていく姿も見られた。郊外保育でお弁当を思い出しながら「○○入ってたね」「おにぎりだよ」と指先を使いながら作り進めていた。
普段食べているものなどを想像しながら作る事が出来る様になっていた。

≪12・1月≫ ~お弁当づくり~

おにぎり・ドーナツ・団子・ケーキ・ウインナーなどを作る子どもが多く、ウインナーは形にするだけではなく焼き目のような切込みを入れたり、たこさんウインナーを作っていた。中には、郊外保育の時のお弁当を再現し顔を付ける子どももいた。
粘土ベラを包丁のように使い、料理をしているようだった。
また、1月はバランや銀紙カップを使用して作ると本物のお弁当のようになり、細かい所まで工夫して作る子が多く見られ、子どもたちもイメージして作りやすかった様だった。完成すると、どんなお弁当を作ったかをみんなで発表した。

≪2月≫ ~紙粘土~

紙粘土に絵の具を練り込み、色を付けて食べ物や食器など作りたいものを作った。普通の粘土より少し硬く初めは作り辛そうであった。こねるように粘土をなじませていると次第にコツを掴み、棒で伸ばす・巻く・丸めるなどの工程で作る姿が見られるようになった。
また、作るもののイメージをしやすいように写真を用意すると、見ながらケーキのデコレーションや寿司の色使いなどを再現しようと真似て作る子もいた。

*折り紙

初めは「分からない」「どうやってするの」という声や、角を揃える事が難しく苦戦する姿が多く途中で諦めてしまう子もいた。子どもたちが分かりやすいように“アイロン“(折り目を押さえる)”お山“(三角)など伝え方を工夫した。毎月折り紙に取り組む中で、説明を聞いて理解する力や指先を上手く使って丁寧に折る事が出来るようになっていた。
また、少しずつ友達に教える姿が見られ、2月頃には初めから最後まで教えられる子もいた。
完成した時の達成感や自分で作ったものを使って遊ぶ喜びを味わい、難しい事にも挑戦しようとする力・集中力が身に付いていた。

4月:チューリップ 6月:犬・猫 7月:コップ 8月:アイス 9月:栗
10月:おばけ 11月:財布 12月:サンタの帽子 1月:鬼 2月:時計

〇まとめ

お店屋さんごっこを中心に1年間様々なごっこ遊びを楽しんだ。お店屋さんごっこでは初め、お店屋さんは自分が作りたいものを作って渡す事を楽しみ、お客さんは欲しいものをどんどん鞄に入れて買うというより、もらう事を楽しんでいる様子であった。自分たちで売るものを作ったり、レジやお金などの道具も用意し、保育教諭が間に入りながら様々なごっこ遊びを繰り広げた。そのうち、お店屋さんは注文に沿ったものを売ったり、「○○がおすすめですよ」「あと一つしかないですよ」などと、お勧めの仕方が上手になっていた。「これは〇円です」「少し待ってくださいね」と保育教諭が入らずとも、子どもたち同士でやり取りが広げられるようになりコミュニケーション力が養われた。年が明けてからは、子どもたちから「レシート欲しい」「カゴ使いたい」と、より遊びが楽しくなるために必要なものを考えてリクエストする姿も見られるようになった。
また、ごっこ遊びは園庭や部屋での活動時だけでなく、散歩先でも「お肉(落ち葉)持ってきたよ」「これ焼けたから食べてもいいよ」と、木や落ち葉・石などでバーベキューごっこや料理を子どもたち同士で展開し楽しんでいた。ごっこ遊びの中で工夫する力が培われた事で、用意された環境の中ではなく、その場にあるもので柔軟に遊べるようになっていたように思う。
 ままごとコーナーは想像力や表現力を引き出せるよう、実物の食べ物ではなく、赤・黄・緑などの紐や布などの様々な素材のものを用意した。
初めは、様々な素材を混ぜてお皿に乗せる事を楽しんでいた。ごっこ遊びを重ねるうちに、ままごとコーナーでの遊びにも変化が見られ、赤いぽんぽんなど同じ素材でも、とまとやいちご、いくらといくつもの食材に見立てて遊べるようになり、想像力が発揮されていた。
見立てるのが上手になると、実際にフライパンで焼いたり、お皿を洗ったりして、生活体験をより細やかに再現して遊ぶ事が出来るようになった。
 その他、1歳2歳から取り組んできた指先を使った遊びも引き続き行った。粘土や折り紙では指先を使いながらものを作る中で集中力が育まれたように思う。
さらに、ごっこ遊びに繋げてもの作りを行った。テーマに合わせて各々が考えて作った事で創作力が養われた。
 最後に、1年間取り組んだごっこ遊びを通して、遊びの中で出来たルールをを読み取る力や柔軟な想像力から創作力、そして表現する力が培われた。
また遊びの中でやり取りが生まれ、他者との関わる力やコミュニケーション力の育ちに繋がった。
今後も様々な経験・体験を重ね、よりコミュニケーション力が豊かになる事を願っている。