令和3年度 研究記録・・・

令和3年度 ひよこ組・1歳児 研究発表

テーマ『素材遊び』

〇はじめに

五感を刺激する素材遊びは、情緒が養われたり、感動を言葉にしようとする為、語彙力が増えたり、より豊かな表現を行えるようになったりと子どもたちにとって良い刺激を受けると言われている。また、1歳児は個人差が大きく、出来る事も異なってくる為、みんなが楽しめる素材遊びをテーマに選んだ。さらに、毎月異なった素材でボール遊びをする事で、転がす・投げる・蹴るなど全身を動かしながら、体力も付けていけるよう進めてきた。

4月

〇緩衝材(プチプチ)スタンプ

こいのぼり製作に緩衝材スタンプを使用する。緩衝材を用意すると、不思議な感触に興味を持ち触っていた。手の平全体で緩衝材の感触を味わう子どもや、プチプチを指先で押し潰す子ども等様々であった。次に絵の具を使ってスタンプしていく。高月齢児は押して離すと模様になる事が分かると夢中でスタンプして楽しむんでいた。
低月齢児はまだスタンプする事が難しいようで、画用紙に擦り付ける姿が見られた。

〇カラーボール

たくさんのカラーボールを用意すると、柔らかさが丁度握りやすいようで、手に取り感触を味わったり、そのまま投げる・転がす等して楽しむ。中には同じ色や大きさのボールを集める姿が見られた。
大きめの的を用意すると、的に向かってボールを投げて楽しむ。高月齢児を中心に的に向かってボールを投げ、当たると喜ぶ姿も見られたが、まだまだ決まった方向にボールを投げる事は難しいようで、ボールを使った的当てを楽しめない姿も見られた。

5月

〇新聞紙遊び

最初に子どもたちの前で新聞紙をビリビリ破いたり、くしゃくしゃ丸めたりすると、興味津々に眺める姿が見られた。実際に子どもたちに新聞紙を渡すと、高月齢児は上手に破いたり、丸めたりして新聞紙の感触を楽しんでいた。低月齢児は丸めたり、破いたりするのは難しそうであったが、新聞紙を握って感触を味わっていた。また、破いたり丸めたりする時にビリビリ音が鳴ると笑顔になり、嬉しそうにする姿も見られた。ビリビリ破いた新聞紙をみんなで集めて上からヒラヒラ落すと、声に出して笑って喜んでいた。
さらに、新聞紙を使って洋服やアクセサリーを作ると、嬉しそうに身に付け、友達同士で見せ合う姿が見られた。

〇新聞紙ボール

新聞紙をビニール袋に入れて新聞紙ボールを作った。最初は不思議そうに袋の上から握ったり、揉んだりして新聞紙ボールの感触を楽しんでいた。コロコロ転がしたり、蹴ったり投げたりして上手に遊ぶ子どももいれば、大事そうにずっと手に持つ子ども、ビニール袋を破いて中の新聞紙を取ろうとする子ども等様々であった。
また、転がしたり投げたりすると、袋の中で新聞紙が重なりシャカシャカ音がして、とても嬉しそうにしていた。

6月

〇布遊び

小さな不織布を人数分用意すると、手に取るなり広げてヒラヒラと泳がせたり、両手で握り感触を味わう姿が見られた。保育教諭が頭に布を掛けると、子どもたちも同じように頭に布を被り、おばけになりきり遊びが始まる。布越しに見える世界はいつもと違って見えるようで、頭に布を被りながら辺りを見渡す姿も見られた。
他児に「おばけだぞ~」と声を掛けたり、布を顔の前へ持ってきて「ばあ」と顔を覗かせる等をして関わり合う様子も多く見られた。布を両手の中に入れ、そっと開くと手の平から不織布がフワッと飛び出したり、投げてみるとゆっくりと舞い落ちたり、不織布ならではの性質を楽しんでいた。
不織布を使って“こいこいこい”をすると、大きく膨らむ事が楽しかったようで何度も繰り返して遊んでいた。また、小さい不織布を他児と一緒に持ち、子どもたちで歌を歌いながら遊び始める姿も見られた。息を合わして布を動かす姿に成長を感じる。

〇トゲトゲボール

カラーボールとは違って周りにトゲが付いており、見た目から興味を持っていた。少し大きい事もあり、片手で握るのが難しい子どもは両手を使って握っていた。やわらかいトゲが気持ちいいようで、手の平全体で感触を味わっていた。中には親指と人差し指でトゲを摘まむ子どももいた。投げ飛ばした際には色んな方向に飛んでいく不思議さに、夢中で楽しんでいた。
手だけでなく足にトゲを当ててみたり、ボールの上に寝転んでみたりと、時間が経つにつれて様々な遊び方が見られた。

7月

〇水遊び(ペットボトル・スポンジ玩具)

水遊びでは、ほとんどの子どもが最初はそーっと水に手を入れて遊んでいたが、しばらく遊ぶと、全身ビショビショになりながら豪快に遊ぶ姿が見られた。数人は水で濡れる事を嫌がり、周りで様子を見ていた。ペットボトルの玩具ではシャワーのように落ちてくる水を手で触りに行ったり、ペットボトルからペットボトルに水を移したり、ペットボトルに水を入れ、シャカシャカ降って遊んだりと様々な遊び方が見られた。スポンジの玩具では、水につけて握ると水が出るという事を理解している子どもが多く、スポンジを握って水を出し遊ぶ姿が多く見られた。
また、魚の形をしたスポンジの玩具を用意する事で、水が少し苦手な子どもも「おさかなさん」と言いながら、スポンジに触れて感触を楽しんでいた。

〇スポンジボール

スポンジボールを用意すると、スポンジの柔らかい感触に気持ち良さそうにする姿が見られた。また、スポンジの玩具と同じように水につけた後はスポンジボールを手でギューと握って水が落ちる様子を嬉しそうに眺めたり、落ちてくる水を触って気持ち良さそうにしていた。
水が入ったタライの上からスポンジボールを落とした時に水が跳ね、顔や体に水しぶきが飛んでくる事を喜び、何度も上から落として楽しんでいた。繰り返す事で、高い所から落とすと水が激しく飛んでくるという事を発見し、ダイナミックに水しぶきを上げて遊ぶ姿も見られた。

8月

〇ペイント遊び

絵の具に少量の洗濯のりを加えたものを用意しておく。ジップロックの中に入れた画用紙の上に絵の具を置き、封をして子どもに渡すと、袋越しに絵の具の感触を味わっていた。人差し指でギューっと押してみたり、押しながら擦ってみたり、手の平で大胆に伸ばしてみたりと子どもによって触れ方は様々だった。
絵の具が広がると、その不思議な感触に夢中で触れていた。色が混ざり合う事による色の変化にも興味を示す子どもがいた。

〇緩衝材(プチプチボール)

4月当初にスタンプで使用した際には、手で緩衝材を触って感触を味わったが、今回は大きな緩衝材を体全体で楽しむ。大きな緩衝材を部屋いっぱいに広げると、前回同様に手や指先で潰して感触を味わう子どもが多かった。
しかし、中には大胆に緩衝材の上に乗ったり、歩いたりして足の裏で感触を楽しむ子どももいた。そんな子どもの姿に刺激され、少しずつ大胆に楽しめるようになる。一人の子どもが、かかとを使って歩く事でプチプチが潰れ、音が鳴る事に気が付き、同じようにかかとで歩きプチプチと音を鳴らして楽しむようになっていた。慣れてくると、緩衝材の上に寝転がり、全身で感触を味わう。そのまま体に巻き付けたり、他児と一緒に緩衝材の布団の中に入り、笑い合う微笑ましい姿も見られた。
緩衝材で様々な大きさのボールを用意すると、カラーボールと違う感触に興味を持って手に取る。ギュッと握ると“プチッ”と音が鳴る事を知り、夢中で握っていた。

9月

〇寒天遊び

カラフルな色の寒天を見せると、「すごい」「わぁ~」と言って興味を示す。最初は見慣れない寒天にそーっと触れる子どもが多かったが、しばらくすると両手を使って大胆に寒天に触れて、不思議な感触に「冷たい~」「つるつるする」と言って夢中になる姿が見られた。手の平全体で寒天をギューと握ってみたり、型抜きをしたり、牛乳パックやバットの中で色々な色の寒天を小さく潰して混ぜたりと、様々な遊び方をして楽しんでいた。
また、カラフルな寒天を見て「あか」「みどり」と言ったり、手についた寒天を「みてー」と言いながら見せ合ったりと、子どもたち同士で簡単なやりとりを楽しんでいた。

〇布ボール

硬さの違う布で出来たボールや、タオルを巻いて出来たボールを用意して、おばけの的当てを行った。ボールを触ると「なんかふわふわする」と言って柔らかい感触に気持ち良さそうにする姿が見られた。布ボールは柔らかく、掴みやすかった事もあり、おばけの的まで上手に投げて命中させており、以前カラーボールでの的当てを行った時より意欲的に的当てを楽しめていた。
またサラサラやザラザラ・フワフワなど触り心地の違うボールの中から、それぞれお気に入りのボールを見付けて大事そうに手に持つ姿が見られた。

10月

〇外用ボール(散歩)

普段からボール遊びが好きで、園庭でもボールを転がす・投げる等して意欲的に遊んでいるので、今回シェルシアターにボールを持って行ける事を子どもたちも喜んでいた。 一人ひとつずつボールで遊べるよう人数分のボールを用意した。いつもと違う場所でボールを使える事が新鮮でもあったようで、最初は控えめにボールを転がしていた子どもたちも、保育教諭が思い切りボールを遠くに飛ばしている姿を見て、どんどん積極的に全身を使ってボールを遠くに転がすようになっていた。
月に1,2回は園庭でボールを使って遊んでいたが、4月当初に比べると遠くにボールを転がす事が上手になっている事が分かる。転がす事が多かったが、中には両手を使って投げて遊ぶ姿もあり、成長が見られた。今までは誰もいない所に向かってボールを転がしていたが、向こう側にいる保育教諭や友達に向かってボールを転がす姿も見られた。その中で「せんせい、いくよー」「ボールいったよー」等という言葉でのやり取りも聞かれた。

〇小麦粉粘土

小麦粉粘土では、2つのグループに分けて行った。ボウルに小麦粉だけを入れ、子どもたちの前に置くと、そーっと指先で触れる子どもや、最初からダイナミックに手の平で握る子ども等、様々な姿が見られた。
水を加えて捏ねると粘土になるという過程も子どもたちと一緒に楽しむ。出来上がった粘土を子どもたちに分けると、ここでも慎重に指先で触れる姿とダイナミックに手の平全体で握る姿が見られた。そこからちぎる・丸める・こねる等しながら思い思いに感触を味わう。出来上がったものを何かに見立てたり、イメージしたものを作ろうと組み合わせたり、「○○作りたい」と自分の思いを保育教諭に伝えて一緒に作ろうとしたりと、個々によって楽しみ方は様々であった。
途中で食紅を混ぜる事で色が変化し、興味を示していた。「赤色になった」「これは青」等と色を答えて楽しむ姿も見られた。また、色同士の粘土を混ぜる事で違う色になるという事に気付くと、そこからはどんな色になるのかという事を楽しみに混ぜ合わせ、友達や保育教諭に知らせる子どももいた。

11月

〇ペットボトルマラカス

ペットボトルマラカスを製作する時には自分たちが散歩で拾ってきたどんぐりを使った事もあり、とても嬉しそうに集中してペットボトルマラカス作りに取り組んでいた。
また、大きさの違うどんぐりであったが上手に指先を使い、1つずつペットボトルに入れる事が出来ていた。どんぐりを入れる時のポトンという音もよく聴いており「何か音がする」と興味を示し、繰り返して入れる姿が見られた。出来たマラカスをとても気に入っており、歌に合わせて音を鳴らし楽しんでいた。
またペットボトルの大きさやどんぐりの入っている量によって音が違い、他児のマラカスを鳴らしてその違いを楽しむ子どももいた。ペットボトルマラカスをした事で、様々なものを使って音を鳴らしたり、生活音が聴こえてくると「何か鳴ったね」「何か音がするね」等と言って、以前よりも音に興味を示すようになったように感じた。

〇アルミホイル遊び

アルミホイル遊びではアルミホイルを初めて見る子どもも多く、「キラキラしてる」と言い興味を示す子どもが多かった。ビリビリちぎってみたり、足で踏むなどして感触を楽しむ姿や、アルミホイルに反射して映った自分や友達の顔を不思議そうににらめっこして遊ぶ等、子どもたち自身で考えて様々な遊びに繋げているように感じた。
また、アルミホイルを自分で丸めてボールを作ると、手先も器用になり上手に丸めるようになったが、アルミホイルで作るときれいな丸ではなく大きさの違うデコボコしたボールになった。坂道を転がせるようにスライダーを用意すると、真っすぐ転がらず色々な方向に転がる事を発見し、何度も転がして楽しんでいた。

12月

〇ボール落とし

1つめは、段ボールに穴を開け色を付けた物を用意する。カラーボールも用意すると、自然と穴の色に合わせて同じ色のボールを落とし始めた。保育教諭が何も伝えなくても、子どもたち自身で穴と同じ色のボールを落とす事を楽しんでいるようだった。中には色関係なくボールを落とし、下から転がり出てくる様子を楽しんでいる姿も見られた。しかし、色関係なく落としていた子どもたちも、繰り返して遊ぶ中で、自分の持っているボールの色を見て、同じ色の穴がないか探し始め、少しずつ色の違いにも興味を持っているようだった。色をよく理解している子どもが、他児に「赤はこっちだよ」等と教える姿も見られた。
2つめは、ペットボトルに穴を開けた仕切りを入れ、ビー玉を落として楽しめる玩具を用意する。集中して楽しめるよう、食事コーナーに数人ずつ座り取り組む。
最初はペットボトルを勢いよく振り、中でビー玉が動く様子を見て楽しんでいる姿が見られたが、「穴の中にビー玉を落とせるかな」と声を掛け実際にやって見せると、遊び方を理解したようで、そこから力を加減しながら、そーっと傾け穴に落とせるよう集中する姿が見られた。一度ビー玉を落とす事が出来たら、そこから“もっとしたい”と意欲的になり何度も落として楽しんでいた。ペットボトルの中でビー玉が動くたびに音が鳴り、それがマラカスのように思えたのか、ビー玉落としではなく、音を鳴らして遊ぶ子どももいた。

〇スポンジスティック

長いスポンジスティックを輪切りにしたものと、長い状態で縦に切ったもの、そのままの状態のものの3種類を用意した。輪切りにしたスポンジスティックでは、バランスを取りながら高く積み上げ、集中して遊ぶ姿が見られた。ドーナツ状に穴が開いているので、目元に持っていき「めがねみたい」と言いながら、“おもしろめがね”の歌を歌い、他児と顔を見合わせて笑い合う姿も見られた。
縦に切ったものは床に貼り付け、道を作る。スポンジスティックの上を、バランスを取りながら慎重に歩いて楽しんでいた。踏んだ感触が「気持ちいい」「柔らかい」等、感じた事を言葉で伝え合う姿も見られた。足の指でスポンジスティックをギュッと掴み、落ちないように進んでいた。前に友達がいると進むまで待ってあげ、「きたよー」と声を掛けやり取りする姿も見られた。そのままの状態のものは、床に貼り付けトンネルを作る。トンネルが出来ると、小さくなりながら当たらないように工夫して進んでいく。トンネルを並べると、連続してくぐり楽しんでいた。トンネルをくぐってくる友達を反対側から「おーい」「きたきた~」等と言いながら顔を覗かせたり、手を振ったりして関わり合う姿も見られた。
それ以外にも、スポンジスティックに跨り電車ごっこをしたり、踏切にしたりと、子どもたち自身で遊びを発展させ楽しんでいた。自由遊びの際にも楽しめるように輪切りにした物を用意しておくと、友達と向かい合って座り転がし合って遊ぶ等、どんどん遊びを展開させていた。

1月

〇牛乳パック遊び

牛乳パックを輪切りのようにして用意すると、高く積み上げたり横に並べたりと積み木のようにして遊ぶ姿が見られた。積み木に比べると軽く積み上げるのが少し難しように感じたが、何度も繰り返すうちに、慎重になりながら上手に積み上げていた。
また、積み木のようにして遊ぶだけでなく、腕に着けてブレスレットのようにして遊んだり、頭の上に乗せて落ちないように進んだりと、子どもたちならではの発想で遊びを展開させていた。またペットボトルのキャップと牛乳パックでこまを作ると、高月齢児は上手に指先を使いながら手首をひねり、くるくる回す事が出来ていた。低月齢児も回し方は理解しているようで手首をひねり回そうとしていた。こま遊びの手首をひねるという動作が蛇口を回す動きとよく似ていたこともあり、上手に回せる子どもが増えたように感じた。

〇牛乳パックボール

牛乳パックでボールを作って的当てを行うと、以前行った的当てよりも的に向けて上手に投げたり転がす事が出来ていた。また、広告やアルミホイルボールと違い少し弾力性があり、いつもと違う感触に不思議そうにしながらも何度も転がして楽しんでいた。
普通のボールよりも隙間がある分握りやすいという事もあり、しっかり握って遠くに投げる姿が見られ、その後のボール遊びではボールをしっかり握って投げると、遠くにいくという事に気付いたのか以前よりも遠くに投げる事が出来るようになったように感じた。

2月

〇革ボール

色々な形の革を部屋中に広げると、興味を持って触れ、「つるつるする」「きれい」「ザラザラしてる」等、感じた事を言葉で表現していた。また、匂いを嗅ぎ「おいしそう」等と言う声も聞かれた。
細長い形の革を布団棚の下に貼り付けカーテンのようにすると、同じように長い形の革を探し出して横に貼り付け始める子どももいた。そこから「ばあ~」と顔を出し他児と顔を見合わせたり、布団棚の下に入り込み、秘密基地のように空間を楽しむ姿も見られた。また、革を繋ぎ合わせて身に着け衣装にしたり、穴の開いた革をメガネのようにしたりと、思い思いに自分たちで遊びを楽しんでいた。
革のボールでは、触れた時の感触がいつも遊んでいるカラーボールとは違う事を不思議に思ったのか、「ふわふわしてる」「やわらかいね」と言い、興味を持って握っていた。
そこから、投げたり転がしたりして遊ぶ。段ボールのスライダーを用意しておくと、上から勢いよく転がっていくボールを追いかけ繰り返し楽しんでいた。スライダーの傾ける角度によってボールのスピードが変化し、早く転がると「きゃー!」「まてまてー」と大興奮で追いかけ遊んでいた。中には、上から転がしたボールを、別の子どもが下で受け取り、転がした子どもに渡す等、2人で一緒にスライダーを楽しむ姿も見られた。革ボールは人数分無かったが、その事によって工夫しながら他児と一緒に1つのボールで遊ぶ姿が見られたように感じた。
また、革ボールを使って玉入れを行うと、子どもたちよりも少し高い位置で持つカゴを目掛けて、ボールを投げ入れて楽しめていた。その中で、ジャンプしてみるとカゴにより近くなり入れやすいと気付いた子どももおり、高月齢児を中心にジャンプしながら投げる事も出来るようになっていて、成長が見られた。

〇段ボール遊び(トンネル)

様々な大きさの段ボールを用意し、部屋全体を使ってダイナミックに遊べるようにした。段ボールを組み合わせて大きな家を作っておくと、中に入り、予め穴を開けて作っておいた窓から顔を覗かせ、外側にいる友達の名前を呼び、そこから会話する姿が見られた。また、子どもたち自身でドアを決め、“ぴんぽーん”とインターホンを押し、「はーい、どうぞ~」とドアを開けてあげる等、ごっこ遊びに繋がる場面も見られた。 段ボールの電車では、一人で乗れるものと、二人で一緒に乗るものを用意していた。二人で乗るものは、一緒に乗る者同士息を合わせてゆっくりと進み、上手に部屋中を散歩する事が出来ていた。段ボールを切り開いた所に線路を描くと、その上を歩き電車ごっこをより楽しめていたように思う。その中で足でも段ボールの感触を味わっていた。段ボールのトンネルでは、スズランテープや革のカーテンを付けておくと、トンネルをくぐった先でカーテンが顔に触れる事が楽しかったようで、わざと顔にカーテンを当てて気持ちよさそうな表情を見せる子どももいた。トンネルが壊れないよう小さくなり、はいはいで何度もくぐり楽しんでいた。トンネルの先で、誰が出てくるのかをワクワクしながら待ち、「○○くんや~」「○○ちゃん、ばあ~」とやり取りして楽しむ姿も見られた。

3月

〇ペッタンつなぎ

ペットボトルの蓋を2つ重ねてマジックテープで繋げていく遊びを取り入れると、マジックテープ同士をしっかり繋げて遊ぶ姿が見られた。
また、マジックテープ同士でも繋がらない時には、保育教諭が何も言わなくても向きを変える等して自分で考え、工夫する姿が見られた。長く繋がると「蛇みたい」と言い、見立て遊びをする姿も見られた。椅子に座って行ったが、以前よりも椅子に座って集中して遊ぶ時間が長くなったように感じた。

〇ビニール袋ボール

ビニール袋に今まで使った素材(緩衝材・アルミホイル・新聞紙など)を入れビニール袋ボールを作ると、それぞれが気に入った素材のボールを手にして遊ぶ姿が見られた。
また、緩衝材が入ったビニール袋ボールを触ると「ふわふわしてる」「やわらかい」と言い、アルミホイルや新聞紙が入ったビニール袋ボールを触ると「かたいね」と言う等、素材によって異なる感触に気付き、それを言葉で伝える姿が見られた。大きなビニール袋に空気を入れてボールを作ると、最初は投げるとふわふわと浮く様子に不思議そうな表情をしていたが、しばらくすると投げたり、その上に乗ったりと全身で感触を楽しむ姿が見られた。さらに投げた時にビニール袋に入った素材がシャカシャカ音がすると、「飛行機の音みたいだね」と言う姿も見られ、以前より発想力が豊かになったように感じた。

〇まとめ

1年間「素材遊び」をテーマに取り組んできたが、どの素材遊びも子どもたちは意欲的に遊んでいたように思う。子どもたち自身が初めて知る素材・初めて触れる素材も多く、興味を示しそれが何か知ろうとする好奇心や探求心がこの1年間でより育まれたように感じた。この素材遊びを通して少しずつ子どもたち自身が考えて遊びを発展させていくようになり、創造力や発想力も身に付いていた。
1歳児は月齢差が大きく、前期ではまだ言葉が少ない子どもも、後期では様々な素材に触れる事によって「ふわふわしてる」「やわらかいね」等気付いた事や発見した事を積極的に言葉で表現するようになった。また、気付いた事や感動した事を、他児や保育教諭と共有したいという思いから、他児との関わりも著しく増え、一人遊びから他児と一緒に遊ぶ事の楽しさにも気付くようになった。そこから日々の生活の中でも他児を意識する場面が増え、友達と一緒に生活している事の喜びを感じながら過ごす事が出来ていたように思う。他児との関わりの中で、「かして」「いっしょにあそぼう」等、自分の気持ちを言葉にして伝える事にも繋がっていたように感じた。
この一年で、初めて見る様々な素材や色の違いへの気付き(視覚)、どんぐりを使ったマラカスや水の音、素材から生まれる音(聴覚)、興味を持って触れた素材の匂い(嗅覚)、実際に触れて感じた柔らかさ、堅さや冷たさ、触る事から丸める・投げる・捻る・掴む等の動作(触覚)等、素材遊びを通して子どもたちの五感を刺激し、それらが子どもたちの情緒の安定へと繋がっていたように思う。
また、毎日の生活で行う動作の一つひとつへと繋がっていた事が分かった。

個人差が大きく集団遊びやルールのある遊びは難しいが、素材遊びは決まった遊び方がなく様々な遊び方が出来る為、子どもたちが自由に表現して遊ぶ事が出来ていたように感じ、改めて素材遊びを研究テーマにして良かったと思った。