平成28年度研究記録・・・ |
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平成28年度 あひる組・0歳児
研究発表 |
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〇はじめに |
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0歳児保育は家庭や両親から離れて初めて過ごす『社会の場・環境』である。
入園当初は子どもたちや保護者の方は不安な気持ちでいっぱいだと思われるので1日でも早く笑顔で安心して登園して頂ける事が一番大切であると考えた。
そのためには、乳幼児期に最も大切な「アタッチメント(ふれあい・くっつき)」が確実に安定して経験出来る「ふれあい遊び」を保育に取り入れ、子どもたちに保育園で過ごす事の安心感を与える、また子どもたちの安心した笑顔や表情を見る事で保護者の方にも大切な子どもたちを信頼して預けて頂けるようになると思う。
さらに@情緒が安定する A生活の基盤作りが出来る B絆が深まる C感覚が育つ
D日本の心に触れられる E脳の回路を太くする F自然を愛する気持ちが育つ
など、子どもの成長にたくさんの良い影響をもたらせると言われている「わらべうた」をふれあい遊びとして行う事で、子どもたちとの絆・信頼関係をより深めていこうと思い研究課題として1年間取り組む事にした。 |
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〇前期(4月〜7月)
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・おおやまこえて(顔遊び)
・せんべいせんべい
・ことろことろ(布揺さぶり) |
・ももやももや(だっこ・布揺さぶり)
・ちっちこ とまれ
・どっちどっち |
・いもむしごろごろ
・上がり目下がり目
・ここはとうちゃんにんどころ(顔遊び) |
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4月当初はまだ保育士との信頼関係も薄く、抱かれる事や床に寝転ぶ事を嫌がり泣いてしまう子どもが多くいた。
決して無理強いせず、その中でもふれあいを楽しめる子ども数名に順に一対一で優しく語りかけ保育士と笑顔で楽しむ姿を泣いている他児に見せる時間を作るように心掛けた。
子どもたちが安心出来るように「ゆったりと・優しく・笑顔で」を心がけて歌い、最初は保育士の「手の温もり」や抱っこして「肌の温もり」を伝える事が出来るわらべうたを中心に、10分程の時間ふれあい遊びを行った。
繰り返し行う事で月齢の高い子どもは徐々に「やって欲しい」と両手を広げて抱っこを求めたり、歌を歌い始めると子ども自ら寝転んで待つ姿も見られるようになり、また泣いていた子どもたちも歌を心地良く聞いている落ち着いた表情になり、「ももやももや」の抱っこ揺さぶりなどで笑顔を見せてくれるようになった。
歌の中に「くすぐる動き」のあるものが子どもたちのお気に入りの様子である。保育士が手でくすぐる動きを見せるだけで笑顔になり、声を出して笑う子どももいた。
「手の温もり」を感じる事の心地良さが子どもたちの表情や笑顔から伝わってきた。
前期後半になると20分程「ふれあい遊び」を全員で楽しめるようになった。 |
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〇中期(8月〜11月) |
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・ことろころろ(布揺さぶり)
・ぜんぜがのんの
・ここはとうちゃんにんどころ(顔遊び) |
・いもむしごろごろ
・げんこつ山のたぬきさん
・こりゃどこのじぞうさん(布揺さぶり) |
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中期では、子どもたち自ら寝転び、「(ふれあい遊びを)してほしい」と保育士の体を叩いて訴えたり、もう一度して欲しい時は「もっかい(もう一回)」と人差し指を立てて子どもたちが自分の気持ちを伝える姿が見られるようになった。
活動時間以外の普段の関わりの中でもそのような姿が見られるようになり、ふれあい遊びを繰り返し楽しめるようになった。
また、活動時間も少しずつ長くなり、玩具など他のものに興味が向く事なく、ふれあい遊びを最後まで楽しめるようになってきた。
布揺さぶりなどの遊びを怖がっていた子どもも次第に慣れ、笑顔が見られるようになった。
落ち着いた環境の中で保育士との触れ合いや、嬉しい時・楽しい時にはお友達と向かい合って笑い合う可愛らしい姿も見られるようになった。
保育士とだけでなく、お友達との関わりの中でも「楽しい・嬉しい」などの感情を共有している様子であった。
中期後半には人形を取り入れ、「ツンツン」や「なでなで」など簡単な動きから《人形にしてあげる》という事を体験し楽しむ。
高月齢の子どもたちは保育士がしているのを見ながら真似をして行う姿が見られる。
次第に「ぞうきん」や「きゅうり」の歌に合わせて子どもたちが主体となり「人形とのふれあい遊び」へと展開して行った。
“してあげる楽しさ”を体験する事で、人形に興味を持ち始め、愛着を持って遊べるようになった。
「ももやももや」では保育士が歌を歌いだすと子どもたち自ら人形を取りに行き、抱っこして揺らし始める姿が見られるようになるなど、歌と遊び方が一致し始めたように感じた。 |
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〇後期(12月〜3月) |
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※前期、中期の遊びに加えて |
・さよならあんころもち
・上から下から大風こい
・ちょちちょちあわわ |
・なべなべ(手つなぎ)
・おてらのつねこさん
・ぜんぜがのんの(布遊び) |
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中期後半より、人形を使ってのふれあい遊びにも少しずつ取り組んでいたが、後期になると急に子どもたちから積極的に人形を使ってのふれあい遊びを行う姿が見られるようになる。
最初は人形を抱いての“ももや ももや”が主流で、人形を抱いて保育士の前に来ると“うたって”と伝え、保育士が歌い始めると周りの子どもたちも人形を探し、抱いて一緒に取り組むという姿が多く見られた。人形が見当たらないと代わりに絵本を抱いて楽しむ姿も見られた。
そこから少しずつ“一本橋”や“針に糸を通して”などのわらべうたも人形と一緒に取り組むようになってきた。
また、わらべうたで人形を使用するようになってから、普段の遊びの中でも人形を布団に寝かせたり、抱っこ紐で抱っこしたりなど、人形とふれあう事がとても多くなったように感じる。
後期では保育士や他児と手を繋いで遊べる遊びも取り入れた。
最初は、保育士が遊びに誘い手を繋いで取り組む事を繰り返した。すると子どもから手を出し“うたって”と伝えにくるようになり、そこから少しずつ保育士が子ども同士で手を繋いで取り組めるように援助する事で、嫌がらずに友達と手を繋いで楽しみ、後半では自ら近くにいる他児を誘いに行って手を繋いで取り組もうとする姿も見られるようになった。
月齢の高い子は後期頃から一緒にわらべ歌を歌えるようにもなってきた。
また、言葉も出てきて「もう一回」と言葉で伝えて何度も楽しむ姿も見られた。
前期では布揺さぶりを怖がり泣いてやらなかった子も、後期では保育士が布を準備すると“やってほしい”と自ら布の上に寝転がるようになる。布揺さぶりの際も、出来るだけ子どもの顔を見て目を合わせて取り組むように心掛けた。
子どもたちも落ち着くようで、泣いている子も泣きやむ姿が見られる。
“ぜんぜがのんの”の遊び方も理解し、布の上にバランスよく座って楽しむ事が出来た。
保育士の促しによって人形を布の上に乗せると、子どもたちが布を引っ張り部屋の中を歩きまわる姿も見られる。 |
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