令和2年度 研究記録・・・

令和2年度 あひる組・0歳児 研究発表

テーマ『五感を刺激する遊び』

〇はじめに

赤ちゃんは生まれた時から五感を持ち、様々な刺激を受けながら五感を使う事で脳が発達していき、次第に上手に身体を使えていくと言われている。日常生活での抱っこや保育教諭からの言葉かけも赤ちゃんにとっては刺激の一つとなるとされている。身体が発達してくると、周りの様々な物に目を向けたり近づいて触る事で、五感が合わさった働きをし、好奇心が広がり始める。五感を刺激する事は、赤ちゃんの情緒や心身の発達など様々な点において、良い影響を与える。そのような良い刺激を受け、大きく成長していって欲しいという思いを込め、『五感を刺激する遊び』をテーマに教育・保育を進めていった。前期は、保育教諭と触れ合い、関係を築いていけるような遊びを中心に行った。中後期にかけて子どもたち自身が身体を使って全身で感じ、楽しめるような感触遊びを中心に取り組んだ。

≪Ⅰ期≫

○4・5月 散歩・外気浴・日光浴・絵具遊び(足形・手形)・わらべうた遊び

*散歩・外気浴・日光浴 入園当初、不安を感じて泣いてしまう子が多い中、戸外での活動は子どもたちの気分転換にもなったように感じる。
戸外でバギーに乗ると、日差しや心地よい風を感じているようで気持ち良さそうにする姿が見られ、時には眠ってしまう事も多くあった。

*絵具遊び(足形・手形) 絵の具に初めて触れる。はじめは、ほとんどの子どもが絵の具の感触を嫌がり、泣く姿が見られた。足の裏に絵の具を塗ると、“くすぐったい“という感覚を感じているようで、身をよじる子もいた。
画用紙にペタと足をつけ、色がつくと不思議そうにし、色がついた画用紙に触れようと手を伸ばそうとしていた。

*赤ちゃん体操・わらべうた遊び 子どもたちとの触れ合い(赤ちゃん体操)は落ち着いた空間で緊張をほぐす事が出来ることを大切におこなった。足をギュー・パーと曲げ伸ばし、「いちに・いちに」と左右交互に動かすなどから始めた。日々、少しずつ色々な動きを取り入れ、触れ合う時間を長くしていった。
また、色んな動きを喜ぶ姿が見られてきた頃、わらべうたを取り入れ、体をくすぐったり抱っこをしたりとより色々な動きの中で保育教諭と触れ合えるようにした。回数を重ねるごとに保育教諭と触れ合える事を喜ぶ姿が見られるようになり、高月齢児を中心に子どもたちの方から『やって』と訴えるような素振りが見られるようになった。低月齢児も笑顔が多く、様々な表情で手足をバタバタさせるなどの動きも見られるようになった。

〇6月 いないいないばあ遊び

『いないいないばあ』の絵本を繰り返し読む中で、子どもたちも顔に手を当て、「ばあ」という動きを習得し、遊ぶ姿が出てくる。
シフォン布を使って「ばあ」、トンネルの入口と出口から顔を覗かせて「ばあ」、鏡付きの玩具に向かって「ばあ」と様々な場面で『いないいないばあ遊び』に発展していった。朝の集いの際は、友達の前で『いないいないばあ』を披露し、子どもたち同士で笑い合う姿が見られた。友達や保育教諭とじっくり目線を合わせて遊ぶ事が多くなり、信頼関係を深める機会になったように感じる。
今年度はコロナウイルス対策のため、4・5月は当園している子どもが少なく、6月に入ってから全員での活動となった。まだ園生活に慣れていない中で、じっくり目を見て友達や保育教諭と遊ぶ機会を多く取るという事は、子どもたちの情緒の安定、そして信頼関係を築いて深める機会にもなるなど、とても大切な事だと改めて感じた。

〇7・8月 水遊び(ペットボトル玩具)・絵具遊び(スタンプ)

*水遊び 水を嫌がる子がほとんどおらず、初めから豪快に楽しんでいた。
スノードームやタコやイカの形のじょうろなど、ペットボトル素材やスポンジ素材の手作り玩具を作成し、個々で玩具を使って楽しめるようにした。特にペットボトル玩具で上手に遊ぶ姿が見られた。中に水を入れるためにペットボトルを沈めたり、ホースの水が出てくる所にペットボトルの飲み口を当て、水を入れたりと遊び方を理解して遊んでいた。
ペットボトルスライダーで使用した物も、水が流れるのを喜び、流れをじっと見つめ興味を向けていた。

*絵具遊び(スタンプ) トイレットペーパーの芯を使ってスタンプ遊びを行う。
ペタペタトントンとトイレットペーパーの芯を画用紙につけると色がつく事を不思議そうな表情でみつめているが徐々に笑顔が見られ楽しんでいる様子であった。
低月齢児もトントンと小さな手を動かすが、手に持っているトイレットペーパーの芯の方に興味を示していた。ただ芯を持ってトントンとするだけの動作だったが、入園当初は玩具もうまく握れなかった子どもたちの姿に成長を感じた。
スタンプ遊びを行った画用紙は、うちわに貼り持ち帰った。

≪Ⅱ期≫

〇9月 風船遊び・寒天遊び・ビニール素材遊び

*風船遊び 〈部屋に風船を吊るす〉
初めは興味を示さなかったり様子を伺う姿もあったが、保育教諭が触ったり、うちわであおぎ揺らして見せたりするうちに、徐々に風船を叩いたり掴もうとする姿がみられた。
〈圧縮袋に風船を入れマットにする〉
初めは風船の上に乗るのをためらう子や乗っても顔をこわばらせ子がいたが、乗っていると次第に表情も和らぎ笑顔で楽しんでいた。
また、後日運動遊びでも風船マットを使用すると前回より少し乗る事に慣れた様子であった。中には上に座るだけでなくバランスを取って立つ子もいた。

*寒天遊び 〈圧縮袋に寒天を入れ〉
圧縮袋を床に敷くと、すぐに興味を示し自ら寒天の上に乗りにいき寝転んだりとダイナミックに楽しみ不思議そうに見るものの触ると慣れない感触や冷たさに嫌がるなど様々であった。
寒天に触れるとひんやりするのが気持ち良いのか、ほっぺをくっつけたり寒天の上に立って足踏みをし、ぐにゅぐにゅと足の裏で踏んだ感触を楽しんでいるようであった。また、ジップロックに入れた寒天を壁につけると手で握り、潰して感触を確かめる姿もあった。寒天が潰れてくると、細かく割れた寒天をジップロックの上から指で押し、動かして遊ぶ姿も見られた。

*ビニール素材 〈ふれあい遊び『こいこいこい』〉
ビニール素材を使用して行う。普段の布と違い透明で透けた素材に、上を見上げてビニール越しの眺めを楽しむ姿が見られた。また、布で行った時よりもより風がおき、風が顔や体にかかるたび笑顔をみせていた。
〈保冷剤に触れる〉
冷たさやムニムニとした感触を嫌がる子どももいたが、ほとんどの子どもが自ら手に取り感触を楽しんでいるようであった。暑い時期ならではの“冷たくて気持ちいい”という感覚を楽しんだ。

〇10月 片栗粉粘土・散歩(シェルシアター・二色の浜)

*片栗粉粘土 初めて見る片栗粉に不思議そうな表情を浮かべながらも手でぎゅっと握り、かき混ぜて粉の感触を確認しているようだった。
また、水で溶いて見せると、今度はトロトロと先ほどとは違う事が気になった様子で、手を伸ばしていた。初めは指先でちょんと慎重に触っていたが、徐々に掌で触りだし、握るとすぐに形が変わっていく様子や持つと指の間から流れて落ちていく様子に興味を示していた。見た目・感触共に面白いようで長い時間集中して遊び、最後は手が片栗粉で真っ白になるほどよく遊んでいた。今までは初めての物に触れる際は嫌がる子どももいたが、今回の片栗粉粘土ではほとんどが嫌がる事なく興味を持って、自ら触れ楽しんでいたように思う。

*散歩 低月齢児が、伝い歩きをするようになったこの頃に、シェルシアターや二色の浜へ散歩に行く。感覚に敏感な子どもや慎重な子どもは初めての芝や砂浜の感触に、初めはバギーから降りるのを嫌がる姿が見られた。保育教諭が抱っこして、他児の姿や景色を眺めるうちに少しずつ慣れていく様子が伺えた。シートの上に座って遊べるようになると、次第に手を繋いで歩いたり、手で触れて砂や芝の感触を感じる様子がみられた。
また、高月齢の子どもたちは広い空間を喜び、自由に歩きまわり楽しむ姿が見られた。二色の浜の砂浜は少し歩きにくそうではあったが、転んでもその都度自分で立ちあがり砂の感触を感じながら歩いていたように思えた。近くで見る海にも興味を持ち、海の見えやすいところまで近づき眺める姿もあり、砂の感触だけでなく海の音、におい等視覚・嗅覚・聴覚で感じていたように思う。

〇11月・12月布遊び・楽器遊び

*布遊び 布遊び 〈わらべうた遊びに布を使用する〉
前期に行った時より遊び方を理解し、より楽しむ事が出来ていた。また、保育教諭にしてもらうだけでなく、お人形にしてあげる事を楽しむ姿もこの時期に見られた。布を使ったわらべうたは、子どもたち自身が楽しめる遊びも多く、特に『こいこいこい』や『ぜんぜがのんの』などはよく楽しんでいた。
また、『せんたく』の歌を子どもたちが好きで楽しんでいた事もあり、布遊びの中でせんたくごっこをして遊んだ。干すという動きは子どもたちも初めての動きで、お部屋に干す場所を作ると、次から次へと干して楽しんでいた。その干したタオルを使って『いないいないばあ遊び』へと遊びも広がった。

*楽器遊び キーボードを使用して普段歌っている歌や手遊びをキーボードの音に合わせて楽しんだ。初めはキーボードを弾く保育教諭の姿に興味津々で、保育教諭の姿を眺めていたり、キーボードを触ろうとする姿が見られたが、次第に音を聞いて体を動かし、発声する姿も見られるようになり、「音」を楽しんでいるようだった。体を動かすだけではなく、マラカスやカスタネットなどの簡単な楽器を鳴らしながら歌を楽しむ機会も作った。また、ミルク缶で作った手作りの太鼓も用意した。楽器を使用する事で、音・歌を楽しむだけでなく、手や指の様々な動きを経験する機会になり、楽しみながら体・手指を動かす事が出来た活動であった。

*布製の積み木 全員が玩具をしっかりとつかんで遊べるようになったこの時期に、様々な形の布製の積み木を用意する。布の積み木に興味をし、初めは両手で持ちあげ確かめていた。保育教諭が高く積み上げてみると子どもたちが何度も倒すようになり繰り返し遊んでいた。
後半では、高月齢児は積み木の上にバランスをとって1つ2つと積み上げられるようになる。また、積むだけでなく、並べたり、ボールなども積み木の上に乗せていた。 低月齢児も、初めは持った積み木を思ったところに置く事が難しかったが、遊びを重ねると次第と定めた位置に置く事が出来るようになった。 積み木遊びは初めた頃は少し遊ぶと満足していたが、遊び方が上手になるにつれて集中して遊び、楽しめるようになってきた。

≪Ⅲ期≫

〇1・2月 綿遊び・お話を見る(ペープサート・エプロンシアター・パネルシアター)

*綿遊び 綿は、誤飲に繋がらないように袋に入れたり、ガーゼで包むなどして遊んだ。ふわふわとした綿を触ると、子どもたち自身が自発的に手を動かして握る動きをして遊ぶ姿が見られた。
大きなビニール袋に入った綿を見ると、豪快に上に乗って遊びだしたり、顔をくっつけて「きもちー」と言いながら嬉しそうにしていた。ふわふわの綿の感触やぬくもりは落ち着くようで、綿に触れたままじーっと動かず気持ち良さそうにくつろいでいる子どももいた。

*お話を見る 絵本が好きになり子どもたちから「読んで」と片言で催促するようになった時期に、様々な形態のお話を見る機会を作った。
初めは普段行っている手遊びの〈手袋シアター〉や子どもたちの好きな絵本『だるまさんが』の〈スケッチブックシアター〉・『たまごのあかちゃん』の〈ペープサート〉などを中心に楽しみ、動きのあるお話に興味を向けられるようにした。後半は『はらぺこあおむし』の〈紙皿シアター〉や『あめふりくまのこ』の〈スケッチブックシアター〉など少し長い歌に合わせて進んでいくお話を楽しんだ。
また、『おおきなかぶ』や『トントントン』など同じフレーズの言葉が出てくるお話のペープサートも楽しんだ。元々絵本が好きな子どもたちであったが、動きのあるお話や歌に合わせて進んでいく事で、子どもたちの興味がわくようで、“今から何が始まるんだろう”と毎日のお話の時間を楽しみにする様子が伺えた。また、今まであまり絵本に興味を示さず、短い絵本でも座って最後まで見る事が出来なかった子どもも座って最後まで興味を示すようになり、動きや歌のあるお話だけでなく、絵本への興味にも繋がったように感じた。

〇2・3月 新聞紙遊び

摘まむ動作が上手に出来るようになってきたこの時期に新聞遊びを取り入れた。柔らかい素材という事もあり、高月齢児は保育教諭がちぎって見せると紙を摘まむように持ち自分で新聞をちぎる姿が見られた。低月齢児たちも少し切り込みを入れると紙を引っ張ってちぎりビリビリとなる音や破れる感触を楽しんでいた。
ちぎった紙を集め上から紙吹雪にして降らすと、紙が落ちていく様子を目で追ったり掴もうとする姿も見られ、すぐに“もう一回”と保育教諭に訴え繰り返し楽しんでいた。中には、穴や隙間を見つけ、そこにちぎった紙を詰めこんで遊ぶ姿もあった。ちぎったり丸めたり以外にも詰めこんだりと子どもたちの発想で新たな遊び方を発見する一面も見る事が出来た。新聞遊びはにぎる・摘まむ・ちぎると指先を上手に使い遊んでいたように思う。

*今まで行った様々な感触遊び

圧縮袋マット(カラーボール・風船)のコーナーや小さな芝生やクッション素材・寒天のマットのコーナーや風船を吊るしたコーナー・新聞紙プールのコーナー・綿のコーナーとお部屋全体に感触を感じられる素材を用意した。低月齢児は、新聞やカラーボールなど馴染みのあるものの所へ行き、高月齢児は風船や寒天など物珍しい物の所へ行く姿が見られた。楽しいと思う素材や遊び方が月齢によって違いがあり、それぞれが好みの素材を選択して遊んでいる様子であった。以前までは、感触を嫌がり、促しても遊ぼうとしなかった子もたくさんの素材がある事で、“これもしてみよう・あれもしてみよう”と挑戦的になり、様々な素材を楽しめるようになっていた。何度も楽しむ中で、楽しみ方・遊び方も理解し、子どもたち同士でも笑い合って遊ぶ姿が印象的であった。

〇年間

*モビール・ベットメリー

 天井から動きのあるモビールやベットメリーを吊るした。
くるくる回転する動きのあるベットメリー・不規則な動きをするモビールなどに気づくと興味を持ったようで、下から見上げて手を伸ばして触れようとするなどの姿が見られた。保育教諭に抱っこされ、丁度目線のところにモビールやベットメリーがあると、長い時間、目で追い、機嫌が良くなる事も多くあった。
モビール・ベットメリーをつける事で、保育環境としてより子どもたちの落ち着く空間になった。

*音を聞く(雨の音・波の音・動物の鳴き声など)

CDで動物の鳴き声や波の音を聞いたいり、雨天時には雨の音を聞くなどして日常生活の中で様々な場面で耳を傾けて聞く事が出来る環境を作った。音を聞く事で、音がする方に目を向けて興味を持ち、機嫌が良くなる姿が見られるなど、情緒が安定する様子が伺え、音と心の繋がりを感じた。

〇まとめ

前期(4~7月)では、子どもたちとたくさん触れ合える遊びを行い、子どもたちが安心して園生活を存分に楽しめるような関係性作りを大切に教育・保育を進めた。保育教諭と触れ合う中で、活動外でも保育教諭に関りにきてくれる姿が増え、子どもたちの表情も豊かになり、少しずつ色々な活動に意欲的に参加する姿が見られるようになった。
中期(8~11月)・後期(12~3月)には、様々な素材に触れる事で刺激を受け、身体全体で楽しめる感触遊びを行った。感触遊びは、豪快に楽しみ、触る事に慎重になり子どもたち一人ひとりの反応が見られ、それぞれが思う楽しい・おもしろい感触感覚、反対に嫌だと思う感触感覚を知る事が出来た。また、遊びを通して“楽しい”“おもしろい”“いや”など自分の思いを豊かに表現する姿も出てきたように感じる。後期になるにつれ、遊び方も変化し、子どもたちが自発的に遊ぶ姿が見られるようになった。保育教諭から発信した遊び方だけでなく、子どもたち自身が豪快に遊ぶ中で新しい遊び方も生まれ、上手に遊ぶ姿に感心させられる事もあった。
最後には、お部屋全体を使って今まで行った感触を感じられる素材を用意し、子どもたちが好きな物を選択しながら遊べる環境を設けた。小さいながらに好みの素材があるようで、たくさんの素材の中から選択し、豪快に楽しむ姿が見られた。一度行った遊びも再度取り入れ、繰り返し楽しむ中で、自分で好きな遊びを選択出来るようになり、遊びを広げていく姿に成長を感じた。そして、子どもたちとの関係も深めていけたように思う。
今年はコロナウイルスもあり、家庭でも室内で過ごし、戸外から受ける刺激が少なかったのではないかと感じる。そんな状況の中で、園だから出来る豪快な遊びやお家ではなかなかする事の出来ない様々な素材を使った感触遊びは、子どもたちにとっても楽しく過ごせる時間の一つとなったように感じる。遊びの中で受けた刺激や経験した様々な動きが今後の子どもたちの成長に繋がっていって欲しいと感じる。また、今後も様々な経験の中で大きく育っていって欲しいと思う。