令和元年度 研究記録・・・

令和元年度 あひる組・0歳児 研究発表

テーマ『五感を刺激する遊び』

〇はじめに

子どもたちは、家で居る時間よりも長い時間を園で過ごす。そんな子どもたちの保護者に代わって、様々な楽しい経験が出来る様に考えた。外部からあらゆる感覚を刺激する事で脳も身体も成長していける様に発達を促す第一歩になればと思い「五感を刺激する遊び」をテーマに選んだ。
一年間をⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期に分けて子どもの成長・変化を観察しまとめた。

・Ⅰ期(1月~7月)
散歩・足型スタンプ・砂の感触・エアークッション・ペットボトル玩具
・Ⅱ期(8月~11月)
水遊び・圧縮袋遊び・片栗粉スライム・シール貼り・二色の浜・音遊び
・Ⅲ期(12月~3月)
音遊び・新聞遊び・手作り玩具・布遊び・マット遊び
<取り組んだ内容と子どもの様子・変化>

≪Ⅰ期≫

○4月 散歩・足型スタンプ

バギーに乗り海岸沿いに散歩に行く。暖かい日差しや春の風、小鳥の鳴く声、花の色や匂いなど様々な感覚を刺激出来るようにした。
初めの頃は、バギーに乗っている間、ほとんどの子どもが暖かい日差しと、バギーの揺れで心地良く眠っている事が多かった。
少人数ずつバギーから降りてシートの上に座らせると、地面に落ちていた葉っぱや桜の花びらに手を伸ばす姿が見られた。
一人ずつ抱っこして桜の花を近くで見る。自分から興味を持って触りに行く姿などはまだあまり見られなかったが、花びらの感触を感じられるように保育教諭が手を添えて、一緒に触れる。
一人ひとりがゆったりとした環境で散歩を楽しめるように少人数ずつ関わるようにした。
絵の具を用意し、筆で足の裏に絵の具を付ける。
足の裏に塗っている間は、足の裏をグーパーしたり、良く動く姿から子どもたちが筆の感触や、絵の具の冷たさ・ぬるぬるした感触を感じて反応している事が分かった。
中にはそれらの感触を嫌がり、泣いてしまう子どももいた。
感触が気持ち良かったのか笑顔を見せたり、何が起こっているのかこちらを気にする様子を見せるなど喜んでいる子どもの方が多かった。
ふわふわしたタオルの感触を味わえるように、「ふわふわだね」「気持良いね」と話しかけることで、心地よさそうにする姿が見られた。

〇5月 砂の感触・エアークッション

園庭遊びでは砂遊びを中心に行う。お皿の上に砂を乗せて渡すと子どもたちは自ら手を伸ばし砂に触れていた。
初めは、サラサラとした砂をなでたり、にぎったりして、手の平で感触を楽しんでいた。
また、保育教諭がスコップから砂をサラサラ流すと子どもたちは不思議そうな表情でじっと見つめる姿が見られた。
次第に興味を示し出し、スコップから流れる砂を掴もうとするが、掴む事が出来ず手からサラサラと落ちていく事を楽しみ何度も繰り返して遊んでいた。
この頃はスコップを握って遊ぶというよりは、手ですくったり掘ったり撫でたりと砂の様々な感触・感覚を楽しめるようにした。
エアークッションを使った遊びでは、プクプクとした感触と動くたびにカサカサなる音や自分の体が覆いかぶさるくらいの大きさに喜び、体全体で感触を楽しむ姿が見られた。 その感触や音を嫌がり泣いてしまう子もいた。
エアークッションのみで遊んだ時、感触を嫌がっていた子もいた為、自分から手に取り、握ったり転がしたり感触を楽しめるようにした。
いつも遊んでいるカラーボールやペットボトルの玩具に貼り付ける。
普段使っている玩具という事もあって泣いていた子どもも喜んで遊ぶ姿が見られる。 壁やトンネルにも貼りつける。 壁に付いている事を見つけると手を伸ばして触りに行ったり、たまたま掴んだトンネルの感触がぼこぼこしている事に気付き、気になっている姿が見られた。
普段から何気なく遊んでいる際にも感触を楽しめる環境づくりを心掛けるようにした。

〇6月 シャボン玉・泥遊び)

子どもたちの前でシャボン玉を膨らますと、だんだんと大きく  膨らむシャボン玉を見つめていた。
初めは見ているだけだったが次第に手を伸ばし、触ろうとする。
手が触れるとパチンと割れる感覚が楽しいのか、笑いながら繰り返して遊ぶ姿が見られた。
触って何か感触を感じるというよりは割れたのを楽しむ遊びだったので、あまり感触を感じる事が出来ず、すぐに飽きてしまう子どももいた。
“しゃぼんだま”の歌を歌うと、風でふわふわと自由自在に動く シャボン玉を目で追うなどゆったりと落ち着いた気持ちでシャボン玉遊びを行う事が出来た。
泥遊びでは初めての感覚を喜ぶ姿が見られる。 いつもの砂遊びとは違い、叩くとピチャピチャと鳴る音や、手の平から流れ落ちる感触が楽しい様子であった。 泥で足を覆うと、柔らかく重さも感じているように見えた。
普段の砂遊びとは違い、砂の上に寝ころぶなどし、水の感覚と泥の感覚を体全体で豪快に楽しむ姿も見られた。 年間のカリキュラムに入れていなかったが、布遊びと楽器遊びを行う。
布遊びでは、タライにシフォン布を入れると、タライの中にバランスを取りながら入っていく様子が見られた。布を上からふわふわと掛けると、自分で「ばあ」と顔を出して遊んでいた。
カラフルな色と上から落ちてくるのを興味深く見たり、軽やかな触り心地を好んでふわふわとした感触を楽しんでいた。 楽器遊びでは、マラカスやカスタネット、太鼓などの音を鳴らして楽しめるようにした。
それぞれ音の鳴らし方が違うため、保育教諭が手を添えて一緒に音を鳴らすと次第に自分で上手く音を鳴らして楽しむ姿が見られた。
聴覚から五感を刺激できるようにとそれぞれの音の違いを耳で聞いて、実際に自分の手で鳴らせるような配慮をこころがけた。

〇7月(ペットボトル玩具)

ペットボトルを使った手作り玩具で遊ぶ。ペットボトル玩具を斜めに取り付けてボールを転がして遊べるようにする。ボールがころころと転がっていく様子や、ペットボトルに取り付けたスズランテープにも興味を示し、触って感触を楽しんでいた。また、スズランテープは触るとかさかさと音が鳴るのでそれを好んで触る子もいた。

このペットボトル自体がへこんだり、バリバリ音が鳴るのでわざと握って遊ぶなどペットボトル一つで様々な遊び方を楽しみ、違った感覚を楽しむ姿が見られた。また他児が遊んでいる姿を見て真似して遊ぶなど他児にも興味を持ち始める。
ペットボトルの中のリボンをジュースに見立てて、リボンを引っ張って遊ぶ。ペットボトルの先から少しだけリボンを出すと、それを見付けて指先を使ってリボンを引っ張る。
保育室のコーナー仕切りに付ける事で座った時にちょうど子どもたちの目線の先に合い、落ち着いて座って遊ぶ事が出来た。
引っ張る玩具などに興味を示し始めていたので、リボンが見えると手を伸ばす姿が見られた。

≪Ⅱ期≫

〇 8月水遊び・圧縮袋遊び(カラーボール・水・風船)

※風船は2月に行う


水遊びは一人1個のタライで行う。個人で入るためゆったりとして入水出来て良かった。沐浴も嫌がらず、水遊びが好きな子どもたちだったので顔に水がかかっても全然平気で泣く子はいなかった。
タライに入ると自分で水をパシャパシャ叩く姿も見られた。タライの中で足をバタバタさせたり、ダイナミックに体全体で水の感触を楽しんでいる様子だった。
水の感触が楽しめるようにホースから水を流したり、ペットボトルのじょうろで上から水を流したりすると上から流れてくる水を掴もうとする姿も見られた。
また、タライの中にカラーボールを浮かべるとゆらゆら浮いているカラーボールを目で追って楽しむ姿も見られた。他児の玩具が気になりじーっと見つめるなど他児にも興味を示していた。

目で見て楽しめるように、圧縮袋の中にカラーボール・絵の具を薄めた水・画用紙・金銀の折り紙・スズランテープなどを入れた。まだ一人立ちが出来ない子どもが多かった事もあり、カラーボールを入れた圧縮袋の上に立つのはデコボコしていて難しそうだった。
しかし、デコボコした上をハイハイで移動したり寝転がってみたりと身体全体で不思議な感触を楽しむ姿が見られた。

後日、水を使った圧縮袋遊びを行う。圧縮袋を見るだけで身体をばたつかせて喜ぶ子どももいた。ボールの時とは違った、『冷たい』『ふわふわ』『きらきら』などの感触・感覚を味わってるように見えた。
夏の暑い時期に取り組んだ事もあり、ほんのり冷たい感触が気持ち良い様子で寝転ぶとなかなか起きてこない子どもたちだった。
しかし、ふわふわした感触を嫌がり、触ろうとしない子どもの姿も見られた。
はと組の子どもたちが収穫したスイカに触れる。
何か分からずボールのように転がしていた。ペチペチ・ペタペタ・コロコロなど“見て・触れて・聞いて”たくさんの感覚が刺激されたように思う。
この頃から月齢の高い子どもは、砂を掴んで入れる動作が上手になってきた。低月齢児はまだ砂を口に入れてしまう事もある。

〇9月(シール貼り・片栗粉スライム・圧縮袋カラーボール)

葉っぱ製作でシール貼りを行った。画用紙を見ると「あ、あ」と声を出し、手を伸ばして早くやりたいという意欲を見せる子がたくさんいた。丸い形や星形のシールに興味を示すが渡してみると指にくっつくのが気持ち悪いのか手をブンブン振ったり、保育教諭に指を差し出し外してと訴える子どももいた。指から外し「ペタペタするんだよ」と手伝うと保育教諭の真似をしてシールを指でトントンとする姿が見られた。
『いしころーる』も使用したが、まだ筆圧が弱く手を動かしても色がほとんど映っていなかった。


また、高月齢児はお散歩に行くと葉っぱが風で揺れているのが気になるようで、「葉っぱがユラユラしているね」と声を掛けると真似をして一緒に手を伸ばしたり、手の平をユラユラさせるなど保育教諭の言葉の意味を理解して行動や動作に繋がるようになってきた。また葉っぱが風で揺れる音や、風を感じながら散歩を楽しめるよう戸外に出る機会をたくさん設けた。


片栗粉スライムは、水を入れる前のサラサラの粉・水を入れてドロドロの感触の違いを楽しめるようにした。タライに片栗粉を入れると初めは“なんだろう”と見つめ不思議そうにしていたが、保育教諭が「サラサラだよ」と触って見せるとそーっと片栗粉に手を伸ばしていた。
粉の感触が面白かったのか、両手を横に動かして粉を触ったり、身を乗り出して触ったりと、楽しむ姿が見られた。手に粉が付くと自分の手をじーっと見つめてゴシゴシしたり、パンパンしたり不思議な感覚を楽しんでいた。

しかし、水を入れ感触が変化しドロドロになると、触るのを嫌がる子もいた。
片栗粉を握るとドローンとした感触で手の平からすり抜けていき上から垂らすと一生懸命掴もうとしていた。
全身に片栗粉が付いても構わず遊ぶ子どもや、汚れるのが嫌で少し離れた場所から見守る子どもなど様々な姿が見られた。

~他児との関わり~
一緒に「ばぁ」と言い合って笑ったり他児がいる方へ移動したりする姿が少しずつ見られるようになってきた。
先月に引き続き圧縮袋遊びを行う。
カラーボールを使用すると、前回遊んだ事もあり、圧縮袋を見ると喜んで触りに来る。
前回は保育教諭が誘導して圧縮袋の上に乗る姿もあったが、今回は自分から乗りに行き、座ったり寝転んだりする姿が見られた。


足の裏でも感触を感じられるように、保育教諭が子どもたちの体を支えながら立たせると、バランスを取ろうとする姿が見られた。
また、大きいサイズと小さいサイズの物を用意すると小さいのを持って布団にしたりと遊びを展開する姿も見られ成長を感じた。

〇10月 二色の浜にお散歩

初めて二色の浜に散歩に行く。
園庭の砂との違いを感じている様で、歩行やハイハイをして砂の感触を感じる姿も見られた。

貝殻や石もたくさん落ちていたが口に入れる事もなく、手に持つと裏表眺めたり、空にかざして見てみたり色んな角度で貝殻一つでも感覚を研ぎ澄ましているように思えた。

寝転がって砂の感触を感じる子どももいた。
砂に手を付くと柔らかく手が埋まっていくのを楽しむ姿も見られた。
海辺では波が押し寄せると指さして「あーあー」と言ったり、砂の感触だけではなく、波の音を聞いて波が打ち寄せるのを見て楽しむなど様々な感覚が刺激されていた。
園庭ではあまり感じる事が出来ない広い空間に解放感を感じながら自由に砂浜を移動して、積極的に体を動かしていた。



年間のカリキュラムには入れていなかったが、広告遊びを行う。
初めて広告に触れるが渡すとすぐにぐちゃぐちゃにしていた。
指先は少しずつ上手に使えるようになっているが、ビリビリと自分で破いていくのは少し難しい様子だった。

少しだけ破って 手渡すと「ビビビ」と声を出して破る事が出来た。
また、タライに広告を入れて一人ずつ遊べるようにした事もあり、ゆったりと自分のペースで落ち着いて遊ぶ事が出来た。
高月齢児は広告を本のように持って「わぁ」と保育教諭に語り掛ける姿も見られた。

また、お絵かき遊びでは以前と同様、『いしころーる』を使用した。9月の時よりも筆圧が少し強くなっていて、色がほんの少し強く出るようになっていた。『いしころーる』の握り方を覚えたようにも見えた。

〇11月 音遊び・二色の浜へお散歩・片栗粉スライム)

先月に引き続き二色の浜へ散歩に行く。
手を繋ぐと歩行出来る子どもには、足で砂の感覚を感じられるように一緒に砂の上を歩いた。一人で歩行が出来る子どもは自分で行きたい所に行き、砂を触ったり貝殻を拾ったりする。
砂の感触はサラサラしている場所とザラザラしている場所があり、手を動かして感触の違違いを確かめているようだった。
子どもたちはサラサラよりもザラザラの方に興味を示していた。
この頃には、手を繋いで歩行出来る子どもも増え始め、散歩や園庭での行動範囲が広くなってきた。
喃語から一語文に言葉が変わってきたり、保育教諭の言葉に指差しをしたり、個々の成長がとても見られ、葉っぱを見つけると「ぱっぱ」犬を見つけると「わんわん」など情景を言葉に出来るようになった子どももいる。
子どもたちの発見や気付きなども増えたと感じる事が多くなってきた。

9月に行った片栗粉スライムを再度行う。
前回と同様に粉の感触・水を入れてぬるっとした感触を楽しめるようにした。粉を入れると、粉が舞うほど触る姿が見られた。
手を叩くと白い粉が舞う事に気が付き自分で手を叩いて笑う子もいた。
水を入れると触るよりも見る方が楽しいようで上から垂れてくるスライムを見つめて不思議そうにしていた。
足や手にぬるっとしたスライムを塗るように付けて遊ぶ姿なども
見られ、前回以上に楽しんでいた。
様々な発見と共に、子どもたちの表情も豊かになってきたように感じた。

≪Ⅲ期≫

〇12月 音遊び・新聞遊び

音遊びでは雨の日に傘をさして、順番に園庭に出て雨の音を楽しむ。傘を開くバサッという音、雨粒がポツポツと傘に落ちる音、水たまりのピチャピチャという音、様々な音がどこから聞こえているのだろうとキョロキョロ見まわし、不思議そうにする子どもたちだった。
雨の音を聞くのが二回目・三回目になってくると、音を聞くだけでなく雨に触れてみようと手を伸ばす子もいた。雨が手に当たり「冷たいね、濡れちゃったね」と声を掛けると「うわぁ」と声を出し、空から落ちてきた雨に興味津々で面白そうに上を見上げる姿も見られた。
室内ではマラカスやカスタネット、太鼓など音の鳴る玩具で音遊びを行う。
使い方を知らせると、“やってみたい”という意欲が強く、すぐに楽器に触れ、見よう見真似で音を鳴らして遊ぶ姿が見られた。保育教諭が歌を歌ったり童謡が聞こえてくると、手に持っている楽器で音を鳴らしながら、体を横に揺らしたり体全体で楽しさを表現していた。

また散歩に行くと太い木の枝を見つけ、海岸沿いのコンクリート塀をコンコンと叩いて音を鳴らし楽しんでいたので園に木の枝を持ち帰って、後日園庭で色んな音探しをして楽しめるようにした。
子どもたちは滑り台の鉄を木の枝で叩き、カンカンという音を鳴らしてみたり、園庭にある木のベンチを叩き、鉄とは違う響かない音の違いに「あれ?」っという反応を見せていた。
そして“こっちはどんな音かな”といった様子で色々な物を叩いて音を出して楽しむ姿が見られ、子どもたちの聴覚に様々な刺激を与えられた様に感じた。

新聞遊びでは新聞の服を作ってもらい、友達が着ている服に興味を示し、“私も作って”と言わんばかりに新聞を保育教諭に渡し、ビリビリと破って服を作る様子を隣でジーっと見ている子どもたちであった。
出来上がった新聞の服を着ると、気に入った子どもは最後まで身に着けていた。途中破けてしまうとそこから身に着けていたものもビリビリと破って楽しむ姿が見られた。
また新聞を丸めて食べ物の形にして渡すと「あむっ」と食べる真似をして遊んだり、紙吹雪を上から飛ばす事が面白く“もう一回”とお願いする子もいて遊び方は様々であったが新聞が様々なものに変化する様子を楽しんでいた。

年間のカリキュラムには入れていなかったが、絵の具遊びを行う。カラフルな色の絵の具を大きな透明の袋に挟んでそれに触れる感触遊びを行った。触るとひんやり冷たくて、ブニュっと絵が伸びる感触が面白いのか、何度も触ろうとする子どももいれば、触ろうとはせずに傍で見ているだけの子どももいた。慣れてくると手で触るだけではなく、足で踏んだり顔を付けてみたりと全身で感触を楽しんでいるようであった。また触っていくうちに色の変化を感じた様子で、色が混ざっていくことに興味を示す子もいた。

そしてこの頃になると子どもたち同士で『いないいないばぁ』の遊びが始まったり、引っ張り合いっこをしたりと、展開した遊びが行るようになってきた。

〇1月 手作り玩具・新聞遊び

手作り玩具(知育玩具)では、低月齢児は形に応じたものを入れる事が難しく、正方形のものを丸型に入れるなど自由に遊ぶ一方で、高月齢児は同じ型にはめこもうとする姿が見られた。フェルト生地が気に入ったのか正方形のものは人気で取り合いになる 
事もあった。チェーン落としではジャラジャラ~と穴に入っていく感覚が面白く、「うわぁ」と言って穴に入ったチェーンを引っ張り出そうとする子もいた。
プラスチック容器の紐引きでは、指でつまんで引っ張るという動作を、何度も何度も集中して繰り返し遊んでいた。長い紐・短い紐と長さの違いを知らせながら引っ張る動作に「びよーん」と効果音を付けたりしながら紐を引く楽しさを共有出来るよう工夫した。

先月に引き続き、新聞遊びを行う。
保育教諭が丸めてボールを作っていると、子どもたちも同じように新聞を持った手元を合わせ、くしゃくしゃと上手に丸めようとしていた。また、新聞を破ろうと力づくで引きちぎろうとするので、切り目を入れて渡すと切り目の所から上手に破れるようになり何度も繰り返し遊んでいた。
これまでに指先を使った遊びを行っていた事もあり、スムーズに破ったり丸めたりと楽しめるようになってきた。
新聞の音や感触、形が変わる変化など様々な感覚に刺激を受けていたように思う。

〇2月 手作り玩具・布遊び

この頃、子どもたちが興味を持っていた『おしりふきのふた』を用いた手作り玩具を提供する。パカッと開けるタイプと、押したら開くタイプのふたを3つ付けて、開くと中には素材の違った 
布が触れるようになっている玩具である。子どもたちは親指を使って開ける、人差し指で押す、といった力加減を自分で調節しながら自分で開ける事が出来る喜びを感じている様子で、開くと
“出来た”と拍手する姿も見られた。

中の素材(ザラザラ・つるつる・ふわふわ)に触れて触り比べてみたり、端っこに付けてある布をピーっと引っ張って遊ぶなど
集中しながら手先で様々な刺激を受け取り遊んでいた。

8月に出来なかった風船を入れた圧縮袋遊びも行う。
風船を圧縮すると、周りはギュッと縮むが風船がある所は、ふわふわしていて不思議な感触であった。
一人が圧縮袋の上を踏んで遊んでいる姿を見て、他児も同じように参加するなど、この頃にはクラス全員が一人立ち出来るように なっていたため、8月とは違った様子で楽しむ姿が見られた。
他にも、ぬいぐるみや布団を圧縮する。ぬいぐるみでは、普段と違った形に子どもたちも“あれっ”といった表情で指でツンツンと触ってみたり、布団では、圧縮された布団を見て「あでっ(あれっ)」と言ったり、布団の上に寝転ぶと、いつもと違う様子に「んーんー」と、声に出し保育教諭に訴える姿が見られた。
このように普段使っているものが形を変える不思議さや、感触の違いなどをそれぞれ見たり触ったりし、感じている姿が見られた。

布遊びでは、布を肌で感じられるように、触り心地の違う様々な布を吊るしてみた。
子どもたちは布を撫でてみたり、鷲掴みしてみたりしながら、布を触り比べている様に見られた。また、布に描かれた絵にも反応し、指差ししながら保育教諭に知らせたり、じーっと見ている子どももいて、子どもたち一人ひとりの表情が様々であった。
部屋の端から端に紐をくくり付け、部屋全体の空間を使う事で違った雰囲気になり、吊るした布の下をくぐって遊んだり、布の向こうに友達がいる事で「ばぁ」という関わりが出来、子どもたち同士で楽しむ姿が多く見られた。

〇3月 布遊び・マット遊び

日々の保育で布を使った遊びは行っていたが、この頃になると子どもたちの布遊びにも変化が見られるようになった。『大風こい』では、これまで保育教諭が布で風を起こし、布の下で風を感じていた子どもたちも歌を歌うと自然に布を持って自分で風を起こそうとする姿が見られた。近くにいる友達の髪が揺れるのを見て「うわぁ」と嬉しそうであった。
『ぜんぜがのんの』では一人を乗せて歌を歌い遊んでいると、他 
児も“乗せて”と言わんばかりに布の上に自ら座り、一緒に遊びに参加する。直進からカーブにかけて、布から落ちそうになるのを布を握って一生懸命バランスをとる姿が見られるようになった。
また、シフォン布で遊んだ時は、自分の頭に乗せてみたり、顔を隠してみたり、友達と両端を持ってゆらゆらとゆすって遊ぶなど色々な遊び方をして楽しめるようになってきた。
くしゃくしゃに小さく丸めたり、折りたためたり、ふわふわと風になびかせたり、七変化するシフォン布は色んな感覚を刺激された様に思った。

マット遊びでは、平らなマットや山上にしたマットの上を寝転がる遊びを取り入れた。
平らなマットでは自分で転がり進もうとするが、山になると滑り落ちるので保育教諭に支えられながらも転がることを楽しんでいた。
マットの山を登る時には立つとバランスが取り辛いため、ハイハイで登るなど子どもたちなりに工夫する姿が見られた。
また、マットで階段を作ると、一歩一歩慎重に歩いて登ったり、勢いよく登るなど、何度も繰り返し遊ぶ姿が見られた。

〇まとめ

4月は初めての場所で初めての人に出会い、普通に過ごすというだけでも刺激が多い時期である。そんな中、子どもたちの不安を取り除き保育教諭との信頼関係を築きながら関わっていけるように努め、遊びの中では、五感を刺激しながら成長に繋げられるよう保育を行った。
Ⅰ期ではゆったりと過ごす中でたくさん外からの刺激が得られたように思う。泣いている子どもたちも、戸外に出ると泣き止んで風を感じたり、自然物を見て触れる中で、落ち着いて過ごせるようになっていった。園生活にも慣れてきて様々な感覚遊びを体験するが、初めての遊びには戸惑いや抵抗も見られた。6月7月になってくると遊び方もダイナミックになってきて、これまでは興味があっても、そばで見ているだけの事が多かったが、少しずつ“やってみたい”という姿に変わってきたように思う。
Ⅱ期では夏の遊びの中で様々な感覚に触れられるよう配慮する。圧縮袋遊び・二色の浜・片栗粉スライム等、この頃から少しずつ遊びの中で見た物、感じた事を表情や、仕草、声に出して表現するようになってきたように感じる。特に圧縮袋遊びでは普段使っている玩具を圧縮する事で馴染みはあるが、見た目や感触が変わると警戒心を持つ子どもが多かった。しかし中身を変えて繰り返し遊ぶうちに積極的に触ろうとしたり、感触の違いを知ると、それを声に出して保育教諭に伝えようとするなど様々な反応を見せてくれるようになってきた。
Ⅲ期では、手作り玩具や新聞遊びをしている中で、子どもたちの手先が以前より器用になってきているように感じた。遊びの延長線上に、自分で帽子をかぶる、靴を脱ぐ、といった手先を使って身の回りの事も出来るようになっていく。また集中して“やってみよう”と遊ぶ姿が見られた。そして音にも敏感で、保育教諭が気付かない音にも子どもたちから反応を示し、どこから音が鳴っているのか、どんな音がするのかなどを、指差しや音真似をして保育教諭に教えてくれるような姿も見られるようになった。
この1年を振り返ると、子どもたちは遊びの中からたくさん刺激を受けて育ってきたように感じる。この「五感を刺激する遊び」というテーマで取り組んできて、子どもたちは情緒が豊かに育ち、見たもの、感じた事を仕草や表情、声に出して表現する力が身に付いたように感じる。
保育教諭との信頼関係も生まれ、保育教諭が楽しんでいるから、同じように遊んでみようとするなど、遊びの中でも積極性が生まれ、初めての遊びにも好奇心旺盛に遊べるようになった。これらの0歳児での経験が、これからの成長の基盤となることを願い、もっともっと色々なことを経験し育っていってもらえたらと思う。