令和4年度 研究記録・・・

令和4年度 あひる組・0歳児 研究発表

テーマ
『探索活動』
~五感につながる環境作り~

〇はじめに

探索活動とは、子どもが初めて出会う物に対して興味を抱き、どのような物かを知ろうとする行動の事です。個人差はあるものの、生後半年を過ぎた頃から活性化します。
①身の回りの物に親しみ、興味や関心を持つ。
②見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする。
③身体の諸感覚による認識が豊かになり、表情や手足、体の動き等で表現する。
 (引用:厚生労働省「保育所保育指針」)
これらをねらいとし、身近な環境に好奇心を持って関わり、感じた事や考えた事を表現する力の基盤を育んでいきたいと思い研究テーマにした。
自分の目に見えた事に興味関心を覚え、触れたり探したり、周りの環境に好奇心や探究心を持ち、どんな物なのか確かめ、知ろうとする行動を取れるような環境作りを行い、こどもたちの五感を刺激し、好奇心や探究心を育んでいきたいと思う。

○4月『吊り下げる玩具』

(ねらい)
・目で追って遊ぶ
・手を伸ばし触れて遊ぶ

保育室の天井に揺れる蝶々の手作り玩具を吊り下げた。ベビーベッド近くの高い位置に吊り下げていたので、初めは気付いてなかったが、園に慣れるにつれ部屋の様々な所に視線を向けるようになり、高月齢児は吊り下げ玩具の傍に行って眺めるようになった。また、見るだけでな指を指したり、触れようとつかまり立ちをし、手を伸ばす姿もあった。低月齢児はベッドに寝転ぶと、揺れる蝶々を目で追い、そのまま眠りにつく子もいた。

初めての集団生活に不安で泣くこどもが多い中、高月齢児は指差し行動や、玩具を手で掴んだり、口に入れたり舐めたり確認行動が見られた。子どもの欲求を敏感に察知し、気持ちに寄り添った言動を心掛け、信頼関係の構築に努めた。

○5月『布』

(ねらい)
・感触を楽しむ
・模倣行動

ふれあい遊びを中心に、遊びの中で布を多く取り入れた。小さなシフォン布を歌に合わせて揺らすと、布の柔らかい動きを目で追ったり、掴もうと手を伸ばす子が多くいた。布が顔にかかると、自分で引っ張って取ろうとしたり、友達にかかった布を引っ張り、「ばぁ~」と『いないいないばぁ遊び』にも自然と繋がっていた。
また、風船遊びでは、テープを巻いた風船と布を巻いた風船を用意した。
テープを巻いた風船は警戒し、触るのをためらう子もいたが、布を巻いた風船は、ためらう事なく触っていた。低月齢児も布を巻いている事で掴みやすく、布を巻いた風船を近付けるとギュッと握りしめて揺らす姿もあった。
保育室の環境には、新たに木のトンネルや仕切りに動物の絵を貼り、それを隠すように布のカーテンを取り付けた。新しく付いた事に高月齢児はすぐに気が付き、(なんだろう?)と布を引っ張っていた。動物を見つけると(見つけた)と笑顔を浮かべ発見した事を喜んでいた。

触れる事の多い布は、子どもたちも抵抗なく触れ、自ら手を伸ばして揺らしたり、めくったり、引っ張ったりと興味を示して遊んでいた。

高月齢児と低月齢児と2グループに分かれて過ごす事があり、高月齢児は園庭で活発に遊んだ。歩き始めるこどもが多く、何かで遊ぶというよりもただ歩く事を楽しんでいるようだった。低月齢児は個々の生活リズムに合わせ、室内で朝寝をする等、ゆったりと過ごせるように配慮した。

〇6月 『砂・泥』

(ねらい)
・砂や泥に手足で触れる
・全身で感じて遊ぶ

*砂 4月より園庭等で砂に触れる機会が多くあり、抵抗なく触るようになってきた。
低月齢児は、シートの上で腹ばいになり、手でギュッと砂を掴んでみたり、地面を撫でるように確認する行動が見られた。まだ口で感触や物を確認しようとする子が多く、口に入れそうになる事がよくあった。
高月齢児は、スコップですくって「じゃー」と砂を流して、落ちていくのをよく見て楽しむ姿があった。中には保育教諭がさらさらと流す砂を、容器で受けようとする子もいた。

*泥 泥んこ遊びでは、砂とは違う初めての感触に驚いたり、ためらう姿も見られた。少しずつ慣れてくると、水の入ったタライに砂を入れ、水に落ちていく様子や濁っていく様子などを良く眺めていた。
足の上に砂をかけて隠すと、砂の感触を感じて笑顔を浮かべていた。足が全て隠れると、くすぐったさから足をくねくねと動かし、その拍子に足に乗っていた砂が落ちていくのを見て何かを発見した様子であった。だんだんとくねらせて砂を落とすのではなく、足を持ち上げて意識的に砂を落とすなど発見した事から楽しみ方が変わっていく様子が伺えた。
また、その様子を見ていた別の子が、砂で足が隠れている他児がいると、その子の足にかかっている砂を手で払いに行き、(足出てきたね)と言うかのように笑いかける姿もあった。

目の前の物だけでなく、周りの様子や関わりをよく見ていると感じる姿が高月齢児で特に見られるようになってきた。

〇7月 『砂・水』

(ねらい)
・砂や泥に手足で触れる
・全身で感じて遊ぶ
・水のマットや実際に触れ水に親しむ
・水の動きや波打つ感覚を全身で感じて楽しむ

*砂 低月齢児の砂遊びでは、足や手を泥んこ遊びの時のように砂で隠してみると自分では動かさず、隠れた自分の足をじっと眺める子と、すぐに砂から足を抜こうとする子と様々であった。砂に慣れてきたのか、触ったり容器に移したりして遊べるようになってきた。
高月齢児は、『潰す』という行為を楽しむ子が多く、保育教諭が型抜きで形を作った物をそばに置いておくと、それを発見し、手で握るようにしたり、スコップで潰して遊ぶようになった。初めは1つ潰すと満足していたが、だんだんと保育教諭が作っている段階で気が付くようになる。その様子をじっと眺めてカップを取ると、待ち構えていたかのようにすぐに潰し、形が出来ては潰すを繰り返して追い掛けっこのように楽しんでいた。 また、普段からおもちゃなどを振って遊んでいたが、園庭でもアルミ缶の容器を振って遊ぶ様子があった。空のまま振るだけでなく、中に砂をすくい入れると、マラカスのように音が出る事を発見する。楽器のようにリズムよく振って音を楽しむ姿も見られた。

*水 水を使った遊びでは感染症流行の為、直接水に入る事は中止しチャック付きポリ袋等に入れた物を中心に行った。
絵の具と洗濯のり・水を入れたマットでは、初めは何かを確認するかのように手の平でペタペタと叩いて触っていた。保育教諭が指で絵の具を伸ばして見せると、高月齢児は手の平で絵の具を押したり、撫でるようにして絵の具を延ばす事を楽しむ姿が見られるようになった。
大きな圧縮袋に水を入れたマットは、初めて出した時から興味を示していた。暑くなってきた時期なので、ピタッとくっついて気持ち良さそうにしていた。
また、水のマットは中で波打ち、上に立つのはバランスが取り辛そうであったが、歩けるこどもたちは、片足だけ乗せてみたりゆっくりと乗ってみたりと、それぞれがバランスを自分で調節しながら乗る姿が見られた。手や足の裏、お腹など全身で水の動きを感じて遊ぶうちに、圧縮袋に耳をつけ、中で波打つ水の音を聞く子もいた。目や肌だけで何かを感じるのではなく、耳で発見する姿もよく見られるようになってきた。

6月半ばより始めた沐浴やシャワーにも慣れ、気持ち良さそうにしている。高月齢児は朝寝もしなくなり午睡時は自ら布団に入り、安心して眠るようになった。

〇8月 『水』

(ねらい)
・穴の開いたペットボトル玩具などで水が流れ落ちるのを見て楽しむ
・スポンジやカップなどで、すくったり吸ったりして水の動きを楽しむ

水着を着て一人1つのタライのプールに入って水遊びを行った。シャワーを始めた6月当初は、体や顔にかかると泣いて驚く子が多かった。日々のシャワーや水を使った遊び等で水に慣れてきたのか、この頃には嬉しそうにタライの中へ入る姿が見られるようになった。
低月齢児はホースから出る水などに興味を示して手を伸ばす事もあるが、保育教諭や他児が水を流したり移したりする様子をじーっと眺めている事が多かった。高月齢児は、カップですくって上から流す事を楽しんでいた。
次第にカップですくうのではなく、スコップなどを使ってカップに水を入れる事を楽しむようになり、遊び方に変化が見られていた。また、スポンジの玩具は、浮かべて遊ぶだけでなく、まるでお風呂に入っているかのようにスポンジで体を洗うようなしぐさをして遊ぶ子もいた。

*寒天と水 プールの水遊びの他に、タライの中に寒天と少量の水を入れた水遊びも行った。初めて見る寒天に興味を持ちながらも、初めは触るのをためらう様子もあった。一度触ると、握って小さくしたり手で持ち遊び始めていた。
カップやスコップなどを途中から出すと、保育教諭が見本を見せずとも、砂や水遊びのようにカップに入れて遊ぶ姿も見られるようになっていた。
中には、ただカップに入れるだけでなく、カップを裏返してお皿のようにし、その上に寒天を載せていく子もいた。また、底に鏡を貼っていたタライで遊ぶこどもは、中に手を入れて指先を動かしながら、寒天が浮かぶ様子なのか底の鏡に映る手や寒天などの様子を見ているのか、タライの中をじっと眺めていた。

4月より朝の集い時には絵本を見ていたが、この頃より自ら絵本を持ってきて自分で見ている姿が見られるようになってきた。高月齢児の中には「お気に入りの一冊」がある子もいて、いつも同じ絵本を持って見ている。

〇9月 『水』

(ねらい)
・水の動きや波打つ感覚を全身で感じて楽しむ
・筒やホースなどを用意し、水を流し込む事を楽しむ

*水・氷遊び 中にフィギュアを入れて凍らせた大きな氷をタライに入れておくと、中に入っているフィギュアを怖がって触るのをためらう子と、フィギュアに興味を持って氷を触りにいく子と様々であった。大きな氷は冷たすぎるのか、指先だけで触ったり、冷たさに驚いて触るのをやめたりする姿も見られた。
途中からは氷が解けた冷たい水のタライとぬるま湯の2種類を用意した。冷たくて手をのばさなかった子も、温かい水である事が分かると、ぬるま湯のタライに手を入れて解けて小さくなった氷を触りだしていた。冷たいのが好きな子は、冷たい方のタライに手を入れ解けて出てきたフィギュアを手に持ち遊びだしていた。肌で温度の違いを感じながら、心地よい冷たさ、温かさを選んで楽しんでいた。また、フェンスにビニール素材のシートを掛け、そこに水をかけて見せると、水を弾く音にすぐ気が付き、興味を持って見ていた。ビニールのシートを伝って下に水が落ちていく様子を見ているようで、上から下に目線を動かしていた。どんどん地面に水が溜まると、その事に気が付いて、水たまりを指で触る姿もあった。
水の温度の違い、流れ落ちる様子、弾く音など水遊びを通して様々な発見をしていたように思う。

*絵の具遊び 床や壁に大きな紙を貼り、自由に手を使って絵の具遊びが出来るように行った。絵の具を触る事に躊躇する子もいたが、保育教諭が手形を付けて見せると、次第に絵の具に触れようとする子が増えてきた。初めて見る、触る物に慣れるまで時間が掛かる子も、他児や保育教諭の様子をしばらく眺め、興味が出てくると自ら少しずつ手を伸ばし始めていた。 初めは、手で塗り伸ばし、体に付けて楽しんでいたが、保育教諭と手を繋いで立った時に足元がぬるぬると滑りやすくなっている事に気が付くと、足を滑らせてスケートのようにして楽しみ、その後も手を繋ぐ事を自ら求めて滑る事を気に入る子もいた。 初めはフィンガーペイントとして手で伸ばして遊ぶ事を予定していたが、手をパチパチとした拍子に、手に付いた絵の具が飛び散る事に気付くと、手を叩いて遊んでいた。また体に塗ってどんどん色が付いていくのを楽しんだり、体全身を使って遊ぶ中でたくさんの発見をしている様子であった。

*棚の中の小さな空間 先月頃より、棚の中など、狭い空間に入って遊ぶ姿がよく見られるようになったので、その空間に注目し、予定にはなかったが、棚の中の壁と天井に鏡を取り付けてみた。壁に鏡が付くとすぐに気がつき、中に入って鏡に顔を近づけて遊ぶ姿が見られるようになった。壁は、視界に入りやすいようで興味を示していたが、天井に付けていた鏡にはあまり興味を持つ事がなかった。

〇10月 『穴の玩具』

(ねらい)
・穴の中から引っ張り出す事を楽しむ
・穴をのぞく事を楽しむ

部屋のゲートに筒を取り付けた。新しく着いた筒に、(これは何?)と興味を持ち、のぞき込んでみたり、筒を引っ張ってみようとする姿が見られた。
穴越しに友達や保育教諭を見つけると、穴からと穴の横から顔をのぞかして交互に見て、見え方の違いを楽しむ子もいた。また、ゲートが閉まっている時だけでなく、開いた時など様々な場面でのぞき込んで、色々な角度からの景色を眺めていた。
慣れてきた頃、保育教諭が筒に小さい不織布を入れて見せると、布を引っ張って遊ぶ姿もあった。一度抜くと、(もう一回)と布を保育教諭に渡して繰り返し楽しんでいた。また普段の様子の中でも変化が見られ、棚の中に入ると、壁の板と板の隙間を見つけてそこをのぞき込んで笑みを浮かべていたり、自分でのぞき穴を発見し楽しむ姿が見られるようになった。穴にも興味関心を示すようになったこの頃、環境の他に、活動時にも穴を使用した活動を多く取り入れた。
カラーボール遊びの際には、穴の開いたプラスチック段ボールを用意した。1・2個保育教諭が穴にボールを入れて見せると、すぐにやってみようとチャレンジしていた。繰り返し行う間に、中に入れるだけでなく、穴に入れた際にポトンとボールが後ろの壁に当たる音にも気付くようになる。段ボールの表だけでなく、次第に裏に興味が移り変わり、どうなっているのかと板をめくって確認する姿も見られた。
その他、知育遊びでは、ストロー差しやポットン落とし等を行った。ストローの小さな穴に棒が刺さるよう、指先でしっかりとストローをつまみ、集中して取り組んでいた。また、棒に刺すだけでなく、自分の指に差して長くなった自分の指を見てほほ笑む子もいた。

他児との関わりが見られるようになり、高月齢児は低月齢児が自分より小さい存在だとわかっているような接し方が見られた。幼いながらにも相性があるようで傍に来ると、トラブルが起きるペアも判明した。成長と共に他児との関わり方も見守る。

〇11月 『穴の玩具』

(ねらい)
・穴に物や布を入れる事を楽しむ
・穴に入る形を探し、入れて落とす事を楽しむ

新たに筒をたくさん付けた手作り玩具を保育室に加えた。筒の玩具を持って部屋の端から端へと運んだり、双眼鏡のようにのぞいて穴越しにお部屋の様子を眺めたり、積み木のように積み重ねたりと、個々で様々な楽しみ方が見られた。
また、新聞遊びや知育遊びなどの活動でも、ちぎった新聞やチェーンを筒の玩具の穴に入れたり、入っている物を取り出して遊んでいた。穴の中に入れるのはまだ難しそうであったが、それぞれが集中して取り組む姿が見られていた。10月は主に布の出し入れを楽しんでいたが、次第に布以外にも、手に取った大小様々な物を穴に入れようとするようになっていた。

担当制で給食を食べる事により、生活に見通しが持てるようになったと感じる。 「○○ちゃん、給食食べに行こう」と声を掛けると、遊んでいた玩具を片付け、食事コーナーに向かう。手洗い後に自分の席に着くとエプロンを首元に当てたり、配膳すると自分で食べ始めたりする姿も見られるようになってきた。

〇12月 『穴の玩具』

(ねらい)
・穴を見つけて遊びに繋げる
・ボールを穴に入れ転がして遊ぶ

今までは、タイヤに入って遊ぶ事はなかったが、この頃よりタイヤの穴にも興味を示すようになり、中に入ってまったりする姿が見られるようになってきた。また、人形などが中に座っていても、自分でどかして中に入るようになる。

*穴の玩具(ポットン落とし) 穴でよく遊んでいるので、引き続き穴の玩具を取り入れ、お部屋のゲートにペットボトルの玩具を設置する。ペットボトルを見つけると、ボールやおもちゃなど、穴に入るものを中に入れて遊ぶ姿が見られた。

*筒 カラーボール遊びの時には、長い筒を使用して遊んだ。初めは、中にボールを入れると、入れたボールがどうなるのかわからず、「あれ?」と不思議そうに穴を覗き込んでいた。次第に反対側の穴から出てくる事に気付くと、穴にボールを入れる事を楽しむようになっていた。また、ボールは穴に入るサイズのものと、入らないサイズの2種類あり、初めはどのサイズでも無理に穴に入れようとしていた。徐々に入らない大きさがある事に気付いてくると、ボールの大きさを選んで小さい物を手に取り、穴に入れる子もいた。
筒を使用してよく遊んでいたので、保育室の環境にも取り入れ、トンネルの横に長い筒を取り付けた。筒を発見すると、中を覗きこんだり、穴に向かって「おーい」と声を出して声が拡張されて聞こえるのを楽しんでいた。

高月齢児は体力が付き、散歩はバギーに乗らず長距離歩けるようになってきた。園庭遊びでは、低月齢児から入室し、高月齢児は遊ぶ時間が増えた事で満足して遊びを終え、自ら入室してくれるようになった。

〇1月 『牛乳パックのトンネル玩具』

(ねらい)
・出入りを楽しんだり、中に入って遊ぶ
・ハイハイでくぐり移動する事を楽しむ

*牛乳パックの囲み 囲みの玩具が部屋に増えると、すぐに見つけて中に入ったり出たりを楽しんでいた。
普段は玩具棚に直しているが、部屋の中央へ移動させ、道のように並べたり、重ねて置いたりと自分たちで考えて置く姿も見られた。日に日に遊び方は広がり、囲みの上を歩いたり、上に立てバランスをとろうとしたり、上からジャンプで飛び降りたりと、色々な楽しみ方をこどもたち自身で発見し発展させて遊んでいた。また、積み上げると、タイヤの穴に入っている時の様に中に入ってゆったりとくつろいだり、落ち付ける空間の1つとなっていた。

*牛乳パックのトンネル玩具 立体になっているので中に入ると、しゃがんで横の穴から顔を覗かせたり、立って上から顔を出したりと様々な穴から顔を出したり、出入りする事を楽しんでいた。また、中に入ると中から玩具を押して歩行器のように移動させてみようとする姿も見られた。初めは力加減が難しく、強く押してしまうあまりに、倒れそうになっていたが、次第に力加減が出来るようになってくると、倒れそうになる前に押す力を緩めて力の調節をする姿も見られるようになってきた。

1月になると、低月齢児も歩けるようになり、室内や園庭、散歩先でも全員歩き回るようになった。
高月齢児は園生活の一日の流れがわかり、登園時あひる組の保育室に入室すると、カバンを自分で運び荷物の準備を行えるようになった。また、ズボンを脱いでトイレに行こうとしたり、手洗いをしてその後おやつのため座ろうと机に向かったりと毎朝一連の流れが身に付いていた。

〇2月・3月 『様々な仕掛けの壁掛け』

(ねらい)
・引っ張ったり入れたりなど自分で好きな遊び方を見つけて楽しむ

ベビーベッドを片付けて、新たな空間にこどもたちが(何だろう?)と興味を持てるような仕掛けのあるコーナーを用意した。

*壁掛け玩具 (マジックテープ・チャック・バックル等が付いた壁面玩具) 先月頃よりベビーラックのベルトを締めて遊ぶ姿がよく見られるようになり、壁掛け玩具にもバックルを装着した。付けるのは簡単なようで、すぐにマスターしてはめる事を楽しんでいた。しかしまだはずすのは難しく、はめるとすぐに(はずして)と保育教諭の元に知らせに来ていた。 その他に、マジックテープの木の実は付け外しを楽しんでいた。初めにいくつかネットの中に木の実を入れていたからか、使い終わるとこちらが何も言わなくてもネットの中に片付ける姿も見られた。

*布を伸ばす玩具

初めは布を持って前に歩く事で布を伸ばし、伸ばしきった布を見て喜んでいた。しかし、次第に布を伸ばすという動作を楽しめるようになってくると、両手で布を持ち替えてその場で引っ張って伸ばせる子も現われた。まだ巻く事は難しいが、保育教諭が芯を持って巻いているのを見ているからか、中には芯を回して布を伸ばす姿もあった。

*電車の玩具 スライドさせて走らせる電車の玩具は、電車に興味を示し、持って引っ張る事を楽しんでいた。スライドさせて見せると、引っ張るのではなく電車を走らせて楽しむ遊び方に変わってきた。また、スライドさせる電車の玩具だけでなく、タイヤの付いた車等の玩具も床などに走らせて遊べるようになってきていた。

*筒 傾きを付けて筒を取り付けると、ボールを入れてよく遊んでいた。中にはボール以外にままごとの食べ物などを入れ、転がらずに中で止まってしまうと「あれ?(でてこない)」と中を覗き込んで不思議そうにする子もいた。

〇まとめ

様々な物に興味・関心を持ち、自ら遊び出す力を育めるよう一年間『探索遊び』をテーマに取り組んできた。前期は遊ぶ力の土台を、身近な布や砂・水などの物を通して五感を刺激しながら培った。寝転んでいる子から歩き始めている子と差が大きいこの頃、五感を刺激した遊びは、感じ方や発見はそれぞれで違うものの、視覚・触覚・聴覚から様々な事柄を吸収し楽しんでいたように思う。
また、この経験があった事で自ら手を伸ばして遊びだそうとする力が育ったのだと感じる。
後期は子どもたちの興味を引き出す環境作りを大切に保育を行った。その中でも様々な『穴』は子どもたちの遊びの幅を広げるものとなっていた。初めは覗く、入れる、出す遊びがほとんどであった。しかし、遊んでいくうちに物の表面を見るだけでなく、穴に入れたボールが壁に当たり、その音から穴の裏側にも興味を持ったり、筒のように繋がった物は入れた物がその先から出てくる事を繰り返し遊ぶ中で気付いたりと、発見を繰り返すうちに物を立体的に捉えられるようになっていたように思う。その他に、囲みの玩具では、中に入って遊ぶ事は想定していたが、好きな場所に囲み玩具を運び、道のように並べてたどってみたり、枠の上に立ってバランスを取って遊んだりと、自分で遊び方を見つけ出して遊んでいた。そして、囲みを立体にすると、くぐり抜ける以外に、歩行器のように中に入って押して進む事を楽しむ姿もよく見られていた。初めは、押す力が強く、前に倒れそうになってしまう事もよくあったが、見守っていると、次第に倒れそうになると力を緩めてまた押す・・・を繰り替えしながら、丁度良い力で押せるよう自分で調節して遊ぶようになっていた。
大人が声を掛けずとも、子どもたちは自分で経験した事を吸収し、考えながら成長している。
そして、大人の目には留まらないようなものにも子どもたちは目を向け、好奇心、探求心から様々な遊び、自分だけの楽しみ方を見付け出していた。そんな成長の瞬間を側でたくさん見る事が出来、嬉しく思う。今後もたくさんの物・人と出会い、好奇心、探求心を持って自分の世界を広げていってほしいと願う。