令和4年度 研究記録・・・

令和4年度 はと組・5歳児 研究発表

テーマ『感性表現活動』

〇はじめに

一年を通して『サークルタイム(話し合いの輪)』を毎日行い、子どもたち一人ひとりの思いを言葉で表現する、その思いをしっかりと聞いて皆で共有し考える時間を大切にしながら過ごせるよう、今年度の教育保・育目標を『感性表現活動~サークルタイムから広げよう~』とした。
保育教諭が提案する活動内容だけでなく子どもたちの意志や判断を取り入れ、子どもたちが主体的に活動を設定進行出来るように人的物的環境を整えていく。
更に『おもしろ実験遊び』や『不思議探し』にも取り組み、子どもたち自ら考えて自由に発想し、感じた事や考えた事を発表する経験を重ねて、遊びの中から学びに向かう力を育んで行けたらと思う。

○4月

*サークルタイムから広げよう

言葉で自分の気持ちを表現する・友達の気持ちや意見に耳を傾け知る機会として、1日1回給食後にサークルタイムを行った。活動の振り返りだけでなく、今後の活動の内容や進行方法、また子どもたちが感じた“嬉しい・悲しい”などの気持ちを共感し考える時間となるようにした。
保育教諭からの議題の提案だけでなく、子どもたちから“こんな話がしたい!”という声を聞き逃さずに、毎日の話し合いを行った。
当初は、皆の前で話す事が苦手で無言であったり、自分の発言が終わると別の話をしたり、集中が切れてザワザワする事もあったが、回数を重ねるごとに、話す事や人に聞いてもらう喜びや聞いてもらえない悲しさを感じ“きちんと取り組もう”という意欲的な姿が見られるようになった。
また、保育室内だけでなくテラスや、郊外保育に出掛けた海浜公園などでも「サークルタイムしよう!」と子どもたちから声が上がるほど、サークルタイムが子どもたちにとって日々の活動の一部となっていた。

*不思議遊び;描いた絵が水に浮く

ホワイトボード用マーカーでアルミホイルや透明シートに絵を描いて、水に入れると描いた絵が水面に浮かび上がる不思議遊びに挑戦した。初めに、保育教諭がホワイトボード用マーカーと普通の油性マーカーで描いた絵を水に浮かべて違いを見た。“どちらも浮かない”“両方浮く”など個々に予想を立てて楽しみながら観察する。ホワイトボード用マーカーの方だけ浮く様子を見ると「なんで?」「やってみたい!」と興味関心が沸き、まずは自由に取り組む様に促す。大半の子どもが行ってみるが「ぜんぜんうかばない!」と上手くいかず、首を傾げる様子が見られた。すると子どもたち同士で“どうしたら良いか”を考え、上手く成功している子どもに尋ねたり自ら考えて“細い線より小さい絵で塗りつぶす方が浮きやすい”や“水に入れる時はゆっくりと入れた方が良い”などの気付きがたくさんあり、試しながら行っていた。一旦成功するとコツを掴んで次々に絵を描いては水に浮かべ、時間いっぱい楽しむ姿が見られた。

最後に「ホワイトボード用マーカーには描いた台紙から剝がれやすい成分(剥離剤)が入っている」事を伝えると「ペンっていろいろなしゅるいがあるんだ」と知り、新しい発見を楽しみ、次回の不思議遊びへの期待が膨らんでいた。

*万華鏡製作

➀ペットボトルでカラフルビーズ作り 普段飲んでいるペットボトルを利用して『カラフルビーズ作り』に挑戦した。5cm四方に切ったペットボトルに好きな色を塗り、16等分する。アルミホイルに乗せてオーブントースターで焼くと、グニャグニャと面白い動きをしながら縮んでいく。
大きさも小さくなり、硬く縮んでいく様子に子どもたちも驚きと喜びの表情を見せ「はやくやりたい!」と個々に好きな色を塗りオリジナルビーズを製作に取り組んだ。友達と見せ合ったり、色を塗ったペットボトルが焼かれて縮んでいく様子を(やけどに十分注意するよう保育教諭が見守りながら)集中して見ていた。焼いてすぐは熱いため触れない様に声掛けを行い、出来上がったカラフルビーズで後日『万華鏡製作』を楽しむ予定である。
②万華鏡製作 ペットボトルを使用して製作したビーズを入れて、万華鏡製作に取り組んだ。「まんげきょうってなに?」と知らない子どももいたので、出来上がりの物を見せると「おみやげでもらったことある」など話が弾む子どもたちであった。トイレットペーパーの芯に自由に絵を描き、厚紙・銀紙を三角に折った物を入れて、筒の先にビーズを入れてサランラップで蓋をする。説明だけで自分で作り上げられる子どももいるが、理解が難しいこどもには、個々に合った援助を行いながら全員完成させる事が出来た。万華鏡を覗いてみると「え?ふしぎ!きらきらのひかりがうごいてる」「でんきのほうをむいたらもっときれいだよ!」など、お互いに完成した万華鏡を見せ合ったり、『探検ごっこ』と楽しみながら水槽の中や友達の顔など保育室の様々な場所に興味を示し、見ながら歩き回り楽しむ姿が見られた。

〇5月

*マーブリング絵画

洗濯のりを溶かした水に絵の具をスポイドで落として竹串で自由に伸ばし画用紙を乗せると、水面の模様が画用紙に移る絵画遊びを楽しんだ。
『マーブリング』と聞いてどういう物か思い浮かばない子どもたちだったが“水だけの容器”と“水に洗濯のりを混ぜた容器”を準備し、絵の具を落とし竹串で混ぜて模様を作り、画用紙を乗せて模様の移り具合の違いを見た。「みんなで模様が付くように魔法の力を送ってね」と声を掛け、楽しみながら取り組めるようにした。両方の模様の付き具合の違いを見て「なぜ(洗剤入りは)つくの?」「ふしぎなもようでおもしろい!」など興味津々な様子であった。「模様が付いた水には洗濯洗剤が入っている」と伝えると「のりってせんたくにも、かみにも、まほうにもつかえるんだ!」とのりに対しての興味関心が沸いたようであった。絵の具を垂らして時間が経つと色が沈んでしまったり、混ぜ過ぎると色の美しさが無くなってしまう事等にも気付きながら、個々に好きな色のマーブリング絵画を楽しんだ。
今回のマーブリング絵画は、7月のうちわ製作で使用した。

*不思議遊び:水で動く爪楊枝

普段使っている爪楊枝5本を半分に折り、放射線状に並べて真ん中に水を垂らすと不思議!動き出して星形になる遊びを行った。見本で行ってみると「おもしろい!やってみたい!」「ふしぎ…なぜでうごくの?」と興味を示し、個々に早速行った。半分に折る際は完全に折ってしまわず、繋がりを保ったまま折るよう力加減に気を付ける、水は放射線状に並べた真ん中に少量ずつ落とす事など、いくつか説明を行い個々に取り組む様子を見守った。力の入れ具合が難しくて、爪楊枝が完全に折れてしまうこどももいたが、十分な本数を準備していたため、自由にやり直す様に促し、全員がそれぞれ自分で行い楽しむ事が出来た。また溜めた水に爪楊枝を浮かべると、爪楊枝がひとりでに動き出す実験も楽しんだ。ゆっくりではあるが目で見てわかるほど爪楊枝が動き、水と爪楊枝の不思議な関係を笑顔で見て楽しむこどもたちであった。爪楊枝の木は乾燥しているので、水分を吸うと膨らむために動き、形が変わる事を説明すると「じゃ、わりばしでもできるのかな?」「さんぽであつめたきでもできるかな?」など、他の物でもやってみたい…という興味関心が沸いた様子であったので、こどもたちが挑戦出来る機会を今後作っていきたいと思う。

*空気砲遊び(段ボール・ペットボトルで製作)

参観日に親子で楽しみながら空気砲を作り、的を倒して遊んだ。製作ではペットボトル下部分1/3を切り、風船を張り付けて空気砲を製作し、風船を引いて離すと空気が飛び出し、的が倒れるしくみを伝えて親子で製作を楽しんだ。段ボール空気砲は子どもたちに自由に絵を描いてもらい、事前に保育教諭が製作した。皆の前で空気が漏れないように周りをしっかりと貼り、空気の流れが良く見えるように、線香の煙を中に溜めて空気砲を打って見せた。説明だけでは伝えられない空気が出ている様子や風の強さなどを目で見て、実際に体感して楽しさを味わえるようにした。子どもだけでなく、保護者の方も線香の煙が出る様子などを見て驚き、そこから参観中やその後の家庭でも親子の会話が弾むキッカケのひとつとなったように感じ、嬉しく思う。

*ヨモギについて知ろう

様々な食材を使って食パン作りに挑戦した。今月はヨモギを使用し、まずは管理栄養士の先生からヨモギについて話を聞いた。「さんぽでみたことがある!」と喜ぶこどもたちに“昔はヨモギを薬として使用していたハーブの仲間で、体をリラックスさせる効果がある”“ヨモギに似たトリカブトという草があるので勝手には口に入れないように”などの話を真剣に聞くこどもたちだった。その後、園庭に咲いているハーブ(ミント・ローズマリー)と見比べたり、香りを嗅いでみた。他の2種類は良い香りがするが、ヨモギは苦い香りがする事を知り「これでリラックスできるの?」「パンもにがくならない?」など個々に先生に質問をした。こどもたちがヨモギをミキサーにかけ、パン焼き機に入れて途中で覗きながら焼き上がりを楽しみに待った。パンの良い香りを嗅ぎながらの保育は遊びの楽しさも倍増したようで、「パンにいれるとにおいとちがってにがくない!おいしい!」と15時のおやつの時間に焼き立てのパンを頂いた。

〇6月

*不思議遊び:スズランテープと風船で静電気遊び

普段の生活の中で(例えば:車のドアを開ける時や握手をする時など)ビリッと手が痛さを感じる事はないか?を子どもたちに尋ねてみる。すると「くるまのるときにビリってなった!」というこどもが多く“部屋を明るくしている電気の弱いものが、物と物がこすられて静電気を作っている”など静電気について子どもたちが理解出来るように話をした。更に「静電気を作ってみる?」と提案すると子どもたちは意欲を示し、まずはストローをティッシュで擦り、そのストローを別のティッシュに近付けると不思議な事にティッシュが付いてくる遊びを行った。「くっついてきた~」と大喜びし何度も繰り返す子どもたちであった。また、子どもたち同士で「いっぱいこすったらつきやすいで」と教え合う微笑ましい姿も見られた。その後、各グループごとに協力してスズランテープを細かく裂いていく。そして全員でスズランテープをティッシュで擦り風船を近付けると、裂いたスズランテープが近付いてくる不思議な現象が起こり、子どもたちも驚きや喜びを表情や言葉で表現しながら繰り返し楽しんでいた。「せいでんきっていたいときもあるけど、こんなにおもしろいんだ…」「でんきってスゴイなあ」と終了時間になっても「もっとやりたい!」と何度も楽しむ姿が見られた。

*手作り石鹸に挑戦

新型コロナウイルス感染症予防のため、うがい手洗いの徹底を行う中でオリジナル石鹸作りに挑戦する事にした。「せっけんってつくれるの?」と半信半疑な子どもたちであったが、手洗い用石鹼液に魔法の粉(ゼラチン)と湯を混ぜて、個々に好きな色を選び色付して冷凍庫で冷やし固めて、プルプルの石鹸を完成させた。「ゼリーやグミみたいやな」「じぶんだけのせっけん、うれしい!」「れいとうこにいれてたのにカチカチにかたまってない!」と発見も楽しみながら手触りや匂いを嗅いで楽しんだ。「もったいないからつかいたくないな…」と大切に扱う姿も見られた。カップに入れて作った石鹸はお土産で持って帰り家で楽しむ事にし、型にはめて作った石鹸で午後からテラスで泡遊びを楽しんだ。実際に手作りした石鹸を泡立てて遊ぶのは楽しさが増し、桶いっぱいに泡立てて、両手一杯にすくって移動したり、友達と泡立て競争をしたりなど楽しい時間を過ごした。持ち帰った石鹸も「おふろでたのしんだよ」など、子どもたちの間で会話が盛り上がり、笑顔がたくさん見られた。

*梅仕事に挑戦(ジュース・ジャム作り)

今月は梅を使ってジュースとジャム作りに挑戦した。まずは全員で協力して梅のヘタ取りに挑戦した。おいしいジュースやジャムを作るにはヘタを丁寧に取る事が大切であり、この作業を『梅仕事』と言う事を教えてもらい「ぼくたち、うめしごとがんばったな~」と達成感を感じていた。まずジャム作りのためにヘタを取った梅を水と砂糖で煮詰めて柔らかくし、冷蔵庫でパンを頂く日まで保管し寝かせる。ジュースは梅と氷砂糖を詰めて2週間ほど毎日カビが生えないように見ながら、子どもたちが美味しく混ざるように瓶を回す仕事に取り組んだ。日に日に氷砂糖が溶けて水分が出るのを見ると「うめがあせかいてきてる」「あわがでてきたけどだいじょうぶ?」と毎日登園するとすぐに梅の瓶を覗き、コロコロと混ぜて出来上がりを楽しみにする姿が見られた。普段あまり取り組む事のない活動を行う事が出来、また自分たちで大切に作ったジュースやジャムは格別の味であったようで「すごくおいしい!」と笑顔で何度もおかわりして、梅ジュースと梅ジャム付きパンを笑顔で頂く子どもたちであった。

〇7月

*にじみ絵遊び

「そめものがしたい!」とこどもたちが散歩で集めた山桃の実を煮詰めて作った煮汁を、布ににじませて朝顔製作(うちわ製作)に取り組んだ。山桃の実を火にかけて煮詰めていくと、鍋を覗いて「いいにおいがしてきた」「あまいにおいやな~」など視覚と嗅覚で楽しんでいた。こどもたちが自分で布を丸く切り、4等分に折って煮汁に角からそっと漬ける。布を切るのは少し難しいが、去年から何度も取り組んでいるのでコツを掴み、全員が自分で切る事が出来た。煮汁に布を漬けると「わぁ~しろいぬのがやまもものいろになってきた」と布に煮汁がにじんでいく様子を観察しながら喜ぶ姿が見られた。また大胆に付ける子や端から少しずつそーっと漬けていく子など取り組む姿にも個性が見られた。染め上がった朝顔と緑の染め布で作った葉をうちわに丁寧に張り付けて完成、おおぞらフェスティバル(夏祭り)で壁などに飾り付けて、楽しい雰囲気作りが出来た。

〇7月・8月

*オリジナルマスク作り

普段身に付けているマスクについて「このマスクかってもらった!」と子どもたちが会話しているのを聞き「針と糸で縫って作れるんだよ」と話すと「やってみたい!」と意欲を見せたため取り組む事にした。針は便利な道具であるが、気を付けないと危険や怪我に繋がる事を伝え、二人ずつ順に取り組む。針の動かし方や布への通し方についてゆっくりと説明し、なるべく手伝う事なく見守りながら子どもたちの手で縫い物を体験出来るようにした。針を刺す位置を間違えて何度かやり直しが必要な子どももいたが、大半の子どもは予想よりもはるかに器用に針を動かし縫い進めていく事が出来た。直線縫いとゴム通し、ゴム結びに挑戦したが「ままののぶんもつくりたい!」「ぬうのがたのしいからもっとやりたい!」との子どもたちの声から、次回は自分だけの雑巾縫いに挑戦する機会を作ることにした。

〇7~9月

*水について知ろう

人が生活する上で必要不可欠な水。暑い時期になり水に触れる機会が多くなる7・8月を通して、子どもたちと一緒に『水について知ろう』をテーマに実験遊びやサークルタイムでの話し合いの時間を作った。
➀水には色々な種類がある事を知り、更に身近に感じる。 まずは何も伝えずにシャワー・水道・川・滝など水に関する写真を準備した。すると「これみずのしゃしんばっかりやな…」と子どもたちが気付き、写真の他にもどんな場面で水が使われているか自然に話始める姿があった。そこで更に水に親しめるように『水の音当てクイズ』に挑戦。滝や川の流れる音やシャワーが出る音などを流し、何の音かを当てるクイズで楽しんだ。初めは聞き分ける事が難しい様子だったが、耳を澄ませて聞く事で「川は優しい音がするけど、滝は水が多いから音も大きい」や「水道の水は下に受ける場所があるからボチャン!って聞こえる」など子どもたちなりに違いを見つけ、聞き分けられるようになった。また先日デイキャンプで川遊びを楽しんですぐの事だったので、水が身近に感じやすいようであった。子どもたちからその他に水はどんな物があるか?と話題に上がった事で「家庭で使われている水について」写真以外にもあるのか、帰宅後に各自で家の水探検する事にした。
②家での水探検で発見した事を発表しよう!(サークルタイム) 次の日のサークルタイムで家で使われている「水」について発表した。〈シャワー・トイレ〉の他に〈お茶・赤ちゃんのミルク・洗濯・カブトムシの霧吹き〉など個々に発見する事が出来ていた。発表された内容を見て「人間だけでなく動物や虫も水が大事やな…」「水がなかったらご飯も何も食べられへん」など気付きがたくさんあった。また「お家でプールして水流した時に道路の網の所に水が流れて行った」と発表し「それは下水道に繋がってる入り口や!」との声が聞こえた。そこから道路の下には下水道があり、使われた水は下水処理場に集まるという話を子どもたちに伝えた。「じゃ、水の始まりはどこだろう?」と子どもたちから疑問が沸き、自分で一度考えたり、お家の人に聞いてみる事にした。
③水の始まりはどこだろう?(サークルタイム) 水の始まりはどこか?について話をする。川・滝などの意見が多い中「冬に降った雪が解けて川になって流れてくる」や「雨の水じゃない?お父さんに聞いた」など自分で考えるだけでなく、家庭でも水について話してくれている様子が伺えた。正解は後日「水について」の映像を皆で見る事を提案する。また、子どもたちから「水って匂いしないな…」や「透明ばっかりかな?」など疑問の声も聞かれたので、「水道の水・雨水・泥水」の三種類を採取し、匂いや色の違いを皆で確認した。そして、泥水を綺麗にする方法はあるのか?について話し合い、「何日かそのまま置いておく」「温めて煮たら良い」や「石とティッシュに通したら綺麗になる」など様々な意見が出て、実際に行ってみることにした。泥水を何日間か置いてみると泥が沈み、上の部分は随分と透明な水に変わってきた。時間と共に水が変化していく様子を実際に目で見て、面白さと不思議だなと感じられたようでその他の実験にも興味や意欲が沸いたようであった。

④水について絵本や映像で知る サークルタイムなどで話し合いを重ねていく上で、予想だけではなく実際に水の根源は何なのかを子どもたちと共に知るために「絵本:みずとはなんじゃ?」を読み、映像で「水の仕組みや働きについて」を見た。子ども たちが考えていた通りに雨や雪が川に流れダムに貯められる様子、そこから浄水場に送られ、綺麗な水になり各家庭に送られる仕組みを知った。また、大雨などによる洪水で家や車が流される様子、逆に干ばつ地帯などで同じ年頃の子どもたちが遠い場所まで水を汲みに歩いて行く様子などを見て、普段何気なく当たり前に使用している水の大切さを知り、改めてどのように水を使用しなければならないかを考える良い機会となった。今後も引き続き「水について」皆で考える機会を積極的に作り、子どもたちと共にサークルタイムで話し合っていきたい。
⑤水の不思議実験遊び 水を使用して楽しい不思議実験遊びを行った。ペットボトルに入れた水を振って竜巻を起こしてみよう!や石鹸水をストローで移して作る水中シャボン玉作り、その他コップとストローを使って水が移動する不思儀や画用紙に描いた花が水に入れると咲く不思議など様々な不思議遊びを楽しんだ。生活に欠かせない水であるが、遊びの中で触れながら「何故?どうして?」と考える事も楽しんでいた。成功した友達にやり方を尋ねたり、「こうした方が上手く出来るよ」と子どもたち自身がより良い方法を考えるなど、遊びであるが集中して取り組む姿が見られた。

⑥水(園内探検)探検 これまで「水」について家庭内で探したり、実験や映像・絵本など様々な方法で学んできた。最後に子どもたちが生活を送る「こども園」では、実際にどのような場所で水がどのような使われ方をしているのか4グループに分かれて探検に出掛けてみた。そして子どもたち自身がカメラで撮影し、記録に残すことにした。手洗い場や水槽だけでなく保育室に設置している水清浄機や園舎裏の排水溝の中にも水が流れていることを発見するほど細やかな所へ目を向けて探していた。実際にカメラで撮影することを楽しみ、アングルや「真ん中に写るように撮ろう!」など子どもたちなりに工夫し考えて撮影していた。水と言えば「水道やトイレ・お風呂」という考えがあったが、「(園舎の)壁に付いてる管を流れて行くんだ」「地面の下も水が通ってるのってすごいな」と、新しい発見を楽しみながら写真を撮影していた。水探検終了後に、順に自分が発見した「水」を皆の前で 発表する。それぞれにこれまでの生活で使用していた水の新たな発見を言葉で伝える楽しさや難しさを感じながら、しっかりとした発表を行うことが出来た。また、子どもたちが自分で撮影した写真を見返しながら、どんな所を工夫したか、気を付けて撮影したか…などの話も盛り上がり、楽しい時間となった。

〇9月

*不思議遊び:バナナアート

おやつのバナナを使用し、爪楊枝を使ってお絵描きをするバナナアートを行った。爪楊枝を刺して好きな絵や文字を書くと、最初は「全然描けないよ」と難しそうな姿が見られたが、少しずつ描いた所が黒く浮かび上がってくると「ちょっとずつ絵が出てきた」「何で出てきたの?」と表面の変化を不思議そうに見ていた。全て書き終えた後、再度手洗い・うがいをするよう声を掛ける。時間が経った事で絵が全て浮かび上がっているのを見つけると「すごい」「見て見て~こんなん描いたよ」など、友達同士で見せ合う姿が見られ「食べるのもったいない」「絵描いたからよりおいしく感じる」など食べる事まで楽しんでいた。最後にバナナの皮に穴が開いた事で、空気に触れて“酸化”して黒くなった事を説明すると「知らなかった~」「不思議だね」など知らなかった事を知り、嬉しそうにしていた。また、簡単に出来た事もあり「お家でもやってみたよ」と後日、家庭でもバナナアートを行った話で盛り上がっていた。

〇10月

*不思議遊び:糸電話

紙コップに好きな模様を描き、タコ糸を通してオリジナルの糸電話を製作した。紙コップに穴を開けて、自分たちでその穴に紐を通して爪楊枝に結ぶよう声を掛けると、少し難しく苦戦していたが、手先を器用に使って最後まで諦めずに挑戦する姿が見られた。完成した糸電話を持ってテラスに移動し、実際に試してみると、「聞こえるけど、ちょっと声が小さい」「なんか聞こえにくい」と言う姿が見られた。保育教諭が何も言わず様子を見守ると、「糸をしっかり伸ばした方がよく聞こえるよ」「糸伸ばして話したら糸が震えてる」と子どもたち自身で発見し、友達に教える姿もあった。また、タコ糸で作る糸電話以外にも毛糸・紐・ミシン糸など様々な太さの糸で作った糸電話を用意しておくと「何か糸によって聞こえ方が違う」「声の大きさも変わるよ」など、新たな発見を楽しんでいた

*不思議遊び:磁石遊び 様々な形の磁石を用意し、磁石遊びをする事を伝えると「かもめ組でもしたよ」とかもめ組で行った磁石遊びを覚えている子もいた。それぞれ好きなように磁石を使って遊び始めると、長い磁石に小さい磁石をたくさん繋げる子や、色々な形の磁石を使って動物の形を作って楽しむ子など様々な姿が見られた。磁石遊びをする中で「なんか磁石が逃げていく」など、それぞれが不思議を発見し、嬉しそうに話していた。また、誰が高く磁石を繋げられるかを皆で対決すると、どうしたら高く繋げられるかを自分たちで考え、慎重に繋げて楽しんでいた。最後に磁石にはS極とN極がある事を伝えると、「なんか聞いた事がある」「どっちがSでどっちがNなんだろう?」と更なる興味や関心につながったように感じた。

〇11月

*壁を登る不思議玩具作り

紙コップとストロー・紐を使い、壁を登る不思議な玩具を製作した。以前、穴に紐を通して作る糸電話を作った事もあり、今回の製作は以前よりもスムーズに完成させる事が出来ていた。作った玩具で実際に遊んでみると、「登ってる!登ってる!」「降りる時はめっちゃ速い」など不思議な動きに驚きながらも「面白いね」と言い、何度も繰り返し楽しんでいた。コップを上に上げるのは少しコツがいるようで「こうしたら登っていくよ」「ちょっと高い所から始めた方がやりやすい」と言って、椅子を持ってくるなど、スムーズに上げられるように自分たちで考えて工夫して遊ぶ姿も見られた。また、今までの不思議遊びを思い出し「紙コップって色々な遊びが出来るね」と気付く子もいた。不思議遊びに、より興味や関心を持っているように感じた。

*やじろべえ作り 紙粘土と竹串を使用してやじろべえ作りを行った。公園のシーソーを例に出しながら、どうしたら倒れずに作れるかこどもたちと一緒に考えると「同じ大きさにした方がいい」「重さも一緒じゃないと傾いちゃう」など、それぞれにしっかり考えて答えていた。紙粘土を渡し、同じ大きさの物を3つ作るよう伝えるが、同じ大きさで作る事がなかなか難しそうだった。完成したやじろべえをペットボトルの上に乗せてみるが、片方に傾き落ちてしまうなど失敗する子が多かった。少しだけ重さが違うやじろべえは片方に傾くが、絶妙なバランスで成功した子は「すごい!面白い浮き方してる」と嬉しそうに眺める姿があった。失敗した子は「もう少し形を揃えた方が良かったかな?」「真ん中を大きくした方が良かったね」など、どうして失敗してしまったか、次失敗しない為にはどうしたらいいかを考える姿も見られた。今回の製作は失敗したからこそ気付く事があるという事を知る良いきっかけとなり、子どもたちにとって貴重な経験となった。

〇12月

*不思議遊び:割れない風船クッション遊び

圧縮袋に風船を詰めて掃除機で空気を抜き、風船クッションを作る。風船クッションと一緒にクッションマットやウレタンブロック・ボールプールなどを使用してアスレチック遊びを準備すると「めっちゃ面白そう」「遊園地みたい」と大興奮する姿が見られた。最初は風船クッションの上に乗るのが少し怖く、慎重にそーっと乗っていたが「何これ?面白い」「何で割れないの?」と風船が全く割れない事に気付き「プニプニしてて楽しい」「気持ち良くて寝れそう」など風船クッションの上に寝転んだり、足踏みしたりと全身で大胆に遊ぶ姿が見られた。遊んでいる間に中の風船が割れると「空気が入ったから割れたのかな?」など、なぜ割れてしまったかを考える子もいた。また、風船で遊んでいる時に天井に風船が付くと「見て~くっついてる」「不思議見つけた!」など不思議な現象に大喜びしていた。様々な不思議を見つけながら楽しんで「またもう1回やりたい」とリクエストが多く、3月に再度行う予定である。

〇1月

*ストロービーズ作り

ストローを小さく切りオーブントースターで焼いてストロービーズを作った。ストローをオーブントースターで焼くと、すぐに形が変形し「グニャグニャしてきた」「なんか生きてるみたい」と不思議なストローの変化に大興奮する姿が見られた。完成したストロービーズを好きな色の糸に通してネックレスやブレスレットを作れるようにすると、それぞれ色々な形のアクセサリーが出来てとても喜んでいたが、変形したストロービーズに穴が開いていなくて「これは通せなかったからこのまま置いておこう」と言う子もいた。1回で作れる量が少なく「もう1回作りたい」と繰り返しストロービーズを作っていると「ストローを小さくした方がきれいな穴の形になるかも?」と気付き、「もう少し小さく切ってみよう」「これぐらいでいけるかな?」と子ども同士で話し合い、工夫しながらストロービーズ作りを楽しんでいた。後日サークルタイムで作ったアクセサリーをお家の方に渡した時にとても喜んでくれた事や「どうやって作ったの?」と聞かれ、作り方を説明した事などを嬉しそうに話す姿が見られた。

*色虫眼鏡作り 画用紙とセロファンを使い、好きな形の色虫眼鏡を作る。完成した色虫眼鏡を使い、お部屋の地球儀や玩具・ドールハウスなどを色虫眼鏡越しに見ると「すごい!色が変わった」「黒色が紫色になった」など不思議な色の変化に驚き、「じゃあこれは何色になるかな?」と興味津々で色々な物を見て楽しむ姿が見られた。天気が良かった為、作った色虫眼鏡を持って園庭に行くと、植物や水たまり・空など様々な自然物を色虫眼鏡で見たり、自分で作った色虫眼鏡ではなく、友達が作った色虫眼鏡を借りて違う色の色虫眼鏡で物を見たりと、色の不思議な変化をより楽しんでいた。また、色虫眼鏡に太陽の光が当たると、地面の影にも色が付く事に気付き発見して楽しんでいた。

〇2月

*牛乳パックでハガキ作り

給食や家庭でも手にする牛乳パックとペットボトルを使用して、ハガキ作りに挑戦した。牛乳パックは3層構造になっていて表面がナイロン素材になっているのでその部分がハガキ(紙)作りには適してない事を伝える。事前に牛乳パックを水に浸して柔らかくし、ナイロン部分を剥がして中の紙だけを取り出した。牛乳パックの3層構造にも驚きながら、剥がす工程を楽しんだ子どもたちは「これがハガキになるの?」と不思議を感じながらも、個々に紙を細かくちぎり、水と共にペットボトルに入れて自由に時間に紙の形がなくなるまで振る。以前ハガキ作りに取り組んだ保育教諭から「ビー玉を入れると良いよ」と聞き、早速ビー玉を入れて自由時間に声を掛けずとも、個々にペットボトルを振り、中の紙の変化を観察した。形がなくなって来た頃に網の上に出し、形を整えながら新聞紙とタオルで包んで、水分を押し出す。そのまま数日間自然乾燥させると、バラバラだった牛乳パックの紙が互いに付き、一枚のハガキの形になった。「紙を作るのって大変やな。」「昔の人はこうやって紙を作っていたのかな?」と、子どもたちなりに考えて「紙を大切に使おう!」と改めて話す子もいた。完成したハガキは思い出となるように卒園アルバムの1ページに残す事にした。

〇2月・3月

*不思議探し

➀園内探検 各グループでカメラを持ち、園内を回って不思議を探す。以前に水探検を行ったので、カメラの使い方をよく知っていて、スムーズに探検する事が出来た。各グループで話し合い、行きたい場所を決めてそれぞれ回る。床や壁などいろんな所に目を配り、火災報知器やセコム、コピー機など「これは何するもの?」などそれぞれ質問する姿が見られた。質問したことに答えてもらうと、「知らなかった」と新たに発見をし、嬉しそうにしていた。なかなか不思議を発見できないグループもあったが、火災報知機など話を聞いて意味を知ると、「だからこの部屋にも同じものがあるんだね」とこどもたち自身でよく考えるグループもあった。園内全てを周り不思議探しを終えた後、サークルタイムでどんな不思議を見つけたか、どこに不思議がいっぱいあったかなど話し合うと「事務所にいっぱい不思議があった」「のんびりルームの座布団が薄かった」など自分たちが気付かなかった不思議や大人では気付かないこども視点の不思議などたくさんあり、とても盛り上がり「まだ不思議いっぱいあるかも」とサークルタイムで話し合う事でより不思議に興味を持つようになったように感じた。後日大きなスクリーンを使い、見つけた不思議を発表することを伝えると「何発表しようかな」「早く発表したい」など楽しみにする姿が見られた。

②発表 園内探検で見つけた不思議の中から、個々にそれぞれ1つを選び、舞台の上で大きなスクリーンに写真を映し出しながら発表した。発表の前にそれぞれが自分の発見した不思議について、園長先生や各部屋の先生などに名前や何に使う物かを尋ねて不思議を解決した。発表の時に聞いた事を忘れないよう写真の裏に聞いた事をメモする姿も見られた。
発表当日にはグループごとに舞台に立ち、マイクを持って自分の名前と見つけた不思議について発表する。舞台の上に立つ事で少し緊張する姿も見られたが、ほとんどの子が聞いた事をしっかりと言葉で発表する事が出来ていた。また、友達の発表を聞いて「これ見た事あるけど、どこにあるものやろう?」「そうやって使うものなんだ!」と知らなかった事を更に発見し、嬉しそうにしていた。防犯カメラについての発表を聞くと「園庭のどこにあるかまた探してみよう!」など、新たに不思議探しを楽しもうとする姿が見られ、好奇心や探求心に繋がったように感じた。

〇まとめ

1年を通して、午後の活動が始まる前に全員でサークルタイム(輪になり話し合う時間)を行った。その日に行った活動についての意見や感想、今後の活動についてどう進めていくかについてこどもたちが主体的に話し合ったり、7.8月に行った「水について知ろう」ではサークルタイムにこどもたちが調べた内容の発表や実験遊び・映像を見るなどの時間に活用した。決して無理強いはしないように見守りながら『一人ひと言は発言しよう』という事にしたので、当初は個々で“自信を持って発言する子”“恥ずかしくて言葉が出ずに発言出来ない子”“自分の思いを上手く言葉で表現出来ない子”など様々であったが、回数を重ねるごとに「サークルタイムで○○を話したい!」と話す事を楽しみにする姿や、上手く話せない子の順になると「ゆっくりで良いよ」「待ってあげよう」など友達の話を聞こうとする姿、話が苦手な子も「何か話そう…」と考えてゆっくりながらも発言する姿、友達の話を聞いて質問や疑問を投げかけるやり取りなど『話す・聞く・待つ・共感する』の姿が自然と身に付き、皆の前で話す事や人に話を聞いてもらう楽しさをこどもたちが感じられるようになってきたように感じた。また、午後の時間になると「サークルタイムの準備しよう!」とこどもたち同士で声を掛け合い、サークルタイムがスタートしたり「今日は僕が(進行を)やりたい!」とこどもたちが“提案・進行する”サークルタイムを過ごせるようになった。サークルタイムが子どもたちの中で定着し、郊外保育に出掛けた際にも「サークルタイムしよう!」と輪になり話をする姿がとても嬉しく感じられた。日々の活動にサークルタイムで話し合った意見や希望を可能な限り取り入れ、活動内容や方向性を取り入れる事で、より一層子どもたちの意欲や期待が膨らみ、子どもたちが中心となった主体的で充実した時間となったように感じる。水について調べようや不思議実験遊びについても、保育教諭が題材を提案するが、その時のこどもの様子や気付き・言葉などを逃さずに汲み取り次の活動へ繋げる事で、私たちが思いつかない楽しい発想や新しい発見があり、更なる意欲や探求心へと膨らんでいった。この1年の取り組みから、友達や相手の思いや言葉に寄り添い耳を傾ける事で、自分の思いも認められ共感してもらえる喜びを実感し、思いやりや優しさの心が育ち、今後の子どもたちのより良い成長に繫がっていくと嬉しく思う。