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平成29年度研究記録・・・
平成29年度 ひよこ組・1歳児 研究発表
テーマ『さまざまな素材を使った遊び』
〇はじめに
1歳児の一年間は進級や入園による新しい生活を迎える不安の中で、集団生活からたくさんの刺激を受けながら心身共に著しく成長する大切な時期である。
さまざまな素材に触れ遊びを楽しむ事で安心感を与え、興味・好奇心を育み、子どもたちにとって生活がさらに楽しい時間になるよう毎月違った素材に触れて楽しむ活動に取り組んだ。
《4月:布》
ふれあい遊びで〈布〉を用いて楽しんだ。
初めの頃、新入園児は不安から泣いて保育士に抱かれていたり周りで見ているだけの子どもがほとんどであり、あひる組からの進級児と保育士だけの取り組みとなった。
「ももやももや」で子どもを抱いて保育士が歌い遊び始めると、進級児がおままごとコーナーから人形を持ってきて抱き保育士と一緒に楽しみ始める。
その様子を見て、泣いている子どもたちも興味を示した。
次に「こいこいこい」で一人一枚の布を手渡しユラユラ揺らすと、泣いていた何人かの子どもたちも布を手にして感触を楽しみ始めた。
そこで大きな布も出して子どもたち全体にかぶせると、柔らかい感触や肌触りに笑顔を見せたり触ろうと手を伸ばす子どもの姿が見られた。
泣いている子どもも保育士が抱いたまま一緒に布の下に入ると嫌がる事なく共に活動に参加する事が出来た。
ふれあい遊びも回数を重ねるごとに布を出すだけで子どもたちが喜び、部屋の真ん中に集まって「布を掛けて欲しい」と訴える動きをし始めたり、笑顔で活動に参加する子どもたちの姿が増え、布の柔らかい感触が心地よく子どもたちに安心感を与えるものだと実感する。
また室内遊びの中でもぬいぐるみやパペットを使って子どもたちに話しかけたり、触れたりしてたくさんの安心感を与えるようにした。
 
《5月:砂》
園庭に出るのが大好きな子どもたちで、泣いている子どもも「お外に行こう」と声を 掛けると笑顔になった。
晴れた日には出来るだけで園庭に出るようにし、初めは全員で「砂に触れる」ことから始めた。
手や足に砂が付くのを嫌がり砂場に座るのを拒否して泣いたりする子どももいたが、保育士が実際に触って見せたり、山や型抜きで様々な形を作って見せると、嫌がっていた子どもたちも山や型抜きの形を手で潰して楽しみ始める。
高月齢児は自分で好きな型抜きを選びスコップを使って砂を入れるようになってくる。
低月齢児が出来た型抜きを横から潰してしまいトラブルになる事もあったが、ここで子どもたち同士の関わりが見られるようになり、保育士が見守りながら仲裁し楽しめるようにした。
砂場でいつも遊んでいた子どもたちも園庭での「お気に入りの場所」が出来始め、ベンチに座って遊んだりすべり台下に入って遊んだりする姿が見られるようになった。
後半にはほとんどの子どもたちがスコップなどの玩具を持って遊び、中にはごはんや飲み物を作って保育士に「どうぞ」と手渡してくれる〈見立て遊び〉を行う子どもの姿も見られた。
また、この頃はまだ一人歩きが安定していない子どもが多く、園庭にある砂山を保育士が補助しながら昇り降りして歩行の安定に繋がるようにした。
初めの頃は怖がり、保育士の補助なしでは登れなかった子どもたちも後半には保育士の手を引っ張って「砂山に行こう」と気持ちを表現してくれ一緒に楽しみ、中には走って砂山を昇り降りする子どもの姿もあった。足の力を培い、運動面においても子どもたちの成長が見られた。
 
《6月:広告》
まず広告を子どもたちに見せると「何だろう?」と不思議そうな表情を見せていた。
一人一枚ずつ広告を手渡し子どもたちの様子を見守ると、手に持ったまま広告を不思議そうに見つめたり、初めての手触りに広告を手放したりと様々であったが広告遊びの経験のある進級児は自然に丸め、「びりびり〜」と言いながら小さな指先を使い破り始めた。
保育士が子どもたち全体に見えるように破ったり丸めたりすると少しずつ周りに集まり興味を示し始めた。
言葉の習得にも?がる様に「びりびり」「ぐちゃぐちゃ」「ひらひら」など動きを丁寧に言葉で伝えた。 また「びりびりって音聞こえるかな?」と声をかけ、破ったり丸めたりする時の音にも耳を澄ませられる様にした。
保育士が広告の感触を楽しんで見せると、真似をして耳に手を当てて広告の音を楽しむ子どもや「びりびりやって」と広告を保育士に手渡しに来る姿が見られた。
保育士が補助しながら一緒に指先を使い、破る事を楽しんだ。
広告遊びの回数を重ねるごとに子どもたちから「(スカートに)して〜」「マントして〜」など身に付けたい気持ちを表現し始めたり、細かく破った広告を投げて「ひらひら〜」と上に投げたりし始める。
保育士が「雪降ってきたよ」と上から降らすと、子どもたち自身から寝転んで細かい広告が降ってくる様子を楽しみ「キャ〜」など声を出したり、手足をバタバタさせて喜び「もっかい(もう1回)」と寝転んで待つようになった。
破る・丸める・降らすだけでなくボールとバットにして遊び、ほうきに見立てて掃除ごっこをして楽しんだ。活動の最後の片付けでも指先を使って集めたり、拾ったりする動きがあり、全身で広告の感触を楽しめた。
手や指先の使用や、単語ではあるが様々な発語を促す事が出来たと感じた。
《7月:泥》
外へ出るといつもの見慣れた園庭とは違い、年長児のお兄さんお姉さんが水を浴びながら泥んこ遊びを楽しんでいる様子に少し固まっていた子どもたちであったが、何人かの子どもたちはすぐに笑顔になり年長児の輪に入って、手で泥を集めて楽しみ始める。
しかし、まだ半数の子どもたちは泥遊びを嫌がり、水のかからない場所で立ち尽くしていた。
保育士が手をつないで少しずつ足に泥を乗せると、泣いてしまう子どもや泥の感触に不思議そうな表情を見せる子どもなど様々であった。
嫌がる子どもは無理強いせず見守った。
水の冷たさや泥のおもしろい感触に最初は嫌がっていた子どもたちも、少しずつ泥に手を伸ばして握ったり友達や保育士の足に乗せたり、泥の上に座り全身泥だらけになりながら遊び始める。
また異年齢児交流の姿も見られ、年長児に泥を体に塗ってもらうと笑顔を見せる子どもたちだった。
また泥だんごを作る年長児を真似て一生懸命に泥を握る姿もあった。最後まで泥んこ遊びを嫌がり楽しめない子どももいたが、タライに貯めた水で遊ぶ事で笑顔を見せていた。
夏にしか体験出来ない泥遊び(水遊び)を全身で味わうと共に、異年齢児交流から味わえる安心感や楽しさを経験出来た時間となった。
 
《8月:水》
夏ならではのプール遊びで、水の気持ち良さを感じた。
初めは水に恐怖心などがある様子であった。
タライへ入るのを嫌がったり、顔に水がかかって泣いてしまう姿が多かった。無理強いせず、恐怖心がある子はタライの外にバケツや玩具を用意し、少しずつ水に慣れるよう工夫する。
8月後半には全員が楽しみながら参加出来、“部屋に入りたくない”“もっと遊びたい”と保育士に訴えるようになる。
水が顔にかかっても泣く事もなく、顔を手で覆ったり、手で水を拭ったりするなどの行動が見られるようになった。
また洗濯ごっこを取り入れ、歌を歌いながらタオルを洗ったり干したりして楽しんだ。
 
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