令和3年度 研究記録・・・

令和3年度 かもめ組・4歳児 研究発表

テーマ『自然遊び』

〇はじめに

4歳児は、自分で出来る事が少しずつ増え、様々な事に興味を持ったり友達との関わり合いを楽しみながら意欲的に取り組む事が出来る時期である。
年間の保育テーマを「自然遊び」として、自然に触れ、その季節にしか味わえない遊びを取り入れながら「何故だろう?」「こうしてみよう!」という子どもたちの声や気持ちに耳を傾け、クラスで共有しながら楽しめる環境作りを心掛けた教育保育活動に取り組んだ。

4月

〇散歩で春探し

散歩では春の季節を感じられるような保育教諭からの言葉掛けを行い、子どもたち自身の発見から春の季節感を味わえるようにした。
また図鑑を持って散歩に出掛ける事で、自然とページをめくりながら植物や虫などに興味を持って散歩を楽しむ様子が見られた。図鑑の夏のページを見て「夏になったらセミやカブトムシが出てくるかな?」や「夏に咲く花はヒマワリ!」など、次の季節への期待感も味わう事が出来た。
自然を身近に感じられよう、天気の良い日には積極的に散歩に出掛けて、木々や葉の変化・虫や花などを目で見て季節を感じたり、気温の変化を実際に肌で感じて季節の移り変わりを体感する事が出来た。

〇桜の花びら煮汁で絵画遊び

散歩で子どもたちが集めた桜の花びらを煮出して、絵画遊びに取り組んだ。
煮る前に集めた花びらを観察していると「ふわふわしてる」「桜餅の匂いがする」など、子どもたちの気付きがあった。実際に桜の花びらを煮出した後の様子を見ると、「花びらが透明になってる」「温泉みたいな匂いがする」など、それぞれ煮る前と煮た後の花びらの変化についても視覚や嗅覚から変化に気付き、反応を共有する子どもたちの姿が見られた。
その後、煮汁で絵を描くと赤茶色のような色になり、色に合わせてさくらんぼを描いたり、絵を描いた後の画用紙からはほんのり桜のような匂いがして「いい匂いがする~」と春を感じながらの絵画遊びを楽しむ事が出来た。

5月

〇ピカピカ泥団子作り:第1回目

第一回目の泥団子作りでは、子どもたちが自由に泥団子作りを楽しんだ。この頃は、子どもたちの間で泥団子作りが流行っていた事もあり、上手く丸めて作り始める子どもの姿も見られた。
一方で、普段あまり泥団子作りをしない子は、どのように作ったら良いか戸惑う姿も見られ、初めの泥を丸める段階まで保育教諭が手伝いながら取り組んだ。泥団子を作ってもすぐに壊れたり、ツルツルになるまでこだわって作り込む姿はあまり見られなかったが、丸い形に出来上がった事に達成感を感じている様子であった。
また、どのような方法で泥団子はピカピカになるだろうと、砂の触り心地や色の違いに気付き試してみる積極的な姿も見られた。

〇染め物(桜・あんずの木)

桜とあんずの木で染め物を行った。枝を煮出すと何色の液が出来上がるのかを予想してクラス内で共有し、出来上がりを想像して楽しむ姿が見られた。また一人一枚ずつの布を用意し、輪ゴムで模様を付ける事にも挑戦した。指先を使って上手く輪ゴムを通すのだが、難しい子は保育教諭と一緒に取り組んだ。
乾いたらどんな色や柄に染まっているかなど興味を持って根気良く最後まで取り組む事が出来た。染めて色が付く事を楽しむだけでなく、自分で作った柄がどのような形に出来上がっているかなど様々な楽しみ方を味わう事が出来た。
色を目で確認したり、煮出している時の匂いや音・布に触れて柄を付けるといった過程のある染め物は子どもたちにとって五感を刺激する事が出来る良い経験になったように感じた。

〇朝顔の活動栽培

1人一つのペットボトルを準備し自分の植木鉢を作った。朝顔の種を植えてからは毎日水やりを積極的に行い、芽が出た時など日々変化する姿に期待感を覚えていた。また誰の朝顔の弦が長いかなど観察する力も付いてきた様に感じる。
一人ひとつの鉢植えで育てた事で「お世話をする」という意欲へと繋がったように感じた。花が枯れてからは種が出来ているかを確認し、「中から種が出てきた」「真っ黒」など、初めに種を植えた時の事を思い出しながら取り組む姿が見られた。
「これ植えたらまた朝顔咲くな」と友達同士で話をする姿も見られ、種を植えてから取るまでを経験したからこそ感じる事の出来る自然に対する興味や期待感ではないかと感じた。
植物の成長の過程を身近に感じながら過ごす事が出来て、子どもたちにとって植物の成長の一生を知る良い機会になったように感じた。

6月

〇磁石で砂鉄探し

1人一つ磁石を持ち、室内の磁石が付く場所探しから始めた。
様々な場所を試す内に、フライパンやホワイトボード・窓枠や歯ブラシ立てなどに磁石が付くという事を発見した。「ここに付くよ」と友達に伝え、共有して発見を一緒に喜ぶ姿が見られた。
子どもたちは「磁石」という存在を自分自身で探す中で理解していく様子が見られた。他に付く所はないか更に探し出そうとするくらいに子どもたちの積極的な姿が見られた為、更に園庭で磁石が付く場所探しを行った。
外にも付く場所があるという事が子どもたちにとって大きな発見であり、もっと探してみたいという気持ちを引き出す事が出来た。子どもから「砂も付くのかな?」という発言があり砂鉄探しに挑戦した。
たくさん見つける事は難しかったが、だからこそ少量の砂鉄が磁石に付いていた時の喜びを子どもたちと一緒に感じる事が出来た。

7月

〇二色浜への散歩で海水採取

夏本番の7月、二色浜への散歩に出掛けた。道中でしっかりと給水タイムを取ると、「一生懸命歩いてるからお茶がおいしいな」と休憩も景色を楽しみながらの素敵な時間となった。
二色浜では思い切って裸足になり、海水の感触を肌で感じ、暑さの中で感じる海水の冷たさに「このまま泳ぎたいわ~」と笑顔いっぱいだった。
園で植物に水やりを行うために使用しているペットボトルで海水採取に挑戦。波に向かってペットボトルを入れるが、入っては出て入っては出ての繰り返しで「上手く入れへん!」との声が聞かれたが、「海にお尻を向けて立って入れたら水入りやすいよ」と子ども自身が気付き、みんなで一斉に挑戦した。半分くらいで満足する子や、「満タン入れたい!」と最後まで頑張る子など姿は様々だった。
海水が入ったペットボトルをのぞいて、「このキラキラしてるやつが塩かな?もう出来てる!」と少し気の早い声も聞かれたが、海水から塩が出来る事への不思議と期待が感じられた。

〇海水を天日干して塩作り

園に戻ってから、早速グループごとに採取した海水を容器に移し天日干しを開始した。塩の出来る様子がよく分かるように、容器には黒い画用紙を敷いた。こぼれないようにそっとそっと入れる子どもたちの表情は真剣そのもので、「早く塩出来て欲しいな…」と期待が膨らんでいた。毎日容器の塩の出来具合いを子どもたちと観察した。同時に天日干しを開始したにも関わらず、グループごとに乾き方に違いがあり、4グループは7日間で綺麗に乾いたものの、2グループは完全に乾くのに10日間必要で、「塩を作るのって大変やな…」「こんなに時間がかかるんだ…」と子どもたちも実感している様子だった。出来上がった塩は家庭で使用している塩とは全く違い、粒が大きくキラキラと輝いた宝石のようで、子どもたちも「綺麗やな」「ダイヤモンドみたい~」と見とれていた。来月この完成した塩を使用して「塩アート」に挑戦する。

8月

〇塩アートに挑戦

先月完成した塩をグループごとに丁寧に集めた。黒画用紙に硬く付いているので一つひとつ丁寧に取っていく。「頑張って作った塩やから残らず取ろう。」とグループごとに一致団結している様子が見られた。
残念ながら集めた塩だけでは量が足らず、家庭で使用している塩を足した。「二色浜の塩はゴツゴツザラザラ、家の塩はサラサラ」と感触の違いも観察した。個々に好きな色の画用紙を選び「塩アート」に取り組んだ。
まずはボンドで自由に絵を描く。丁寧に何を描くか考えながら描き進めるが、クレパスや絵の具とは違い、急いで描かないとボンドが固まり塩を載せても付かない事を伝え、急ぐ子やマイペースに描き進める子など様々だった。
家族の顔や好きなキャラクターなど素敵な作品が出来上がった。

〇ひまわり観察・片付け、朝顔観察

5月に植えたひまわりの花に毎日おやつ後に水やりを行い観察した。芽が出て葉が増え広がり、つぼみが膨らむと「もうすぐ花が咲くかな?」と、園庭に出ると子どもたちから植木鉢の前に腰を下ろしてじっくりと眺め楽しむ姿があった。植えた種は全て見事に満開の花を咲かせて、温かな環境を作ってくれた。「来年また花咲くかな?」との子どもたちの声で、3輪の花を保管し、その他は観察した(枯れたのち)後に子どもたちの手で抜き、片付けまでしっかりと行った。
また、6月に植えた朝顔が8月に入り次々に花を咲かせ、子どもたちは毎日園庭に出るたびに観察した。ピンクや水色、マーブル模様などそれぞれ違う色の花が咲き「僕は何色の花かな?」と登園後に見るのが楽しみになっていた。
また朝咲いていた花が昼や夕方になるとしぼんでいる事に気付き、「朝に花が咲くから朝顔っていう名前だよ」と皆で話しながら、自分たちの持っている図鑑で調べるなど植物への興味が増したようであった。

〇氷絵の具絵画

夏の遊びとして子どもたちの好きな色をグループごとに選び、絵の具液を作り、型に流し込んで氷絵の具を作った。色選びでは自分の希望を伝えつつ、友達にも「何色が良い?」と意見を聞いたり、グループごとに相談しながら2~3色を選んだ。ペットボトルに作った絵の具液をこぼれないようにそっと容器に入れる際には、グループ内で容器が倒れないように押さえるなど、協力する姿が見られた。固まった氷絵の具を出すと「カチカチに固まってる!」「冷たい!」と触れ、感触を楽しんでいた。まずは画用紙にクレパスで自由に絵を描いた。線を描いたり、顔や好きな動物を描いて楽しみ、出来た子から氷絵の具で色付けを行う。バック全体を塗る子や、線と線の間を色を替えて塗ったりと、個々に工夫して着色を楽しんだ。冷たくて「ずっと持ってられない…」と何度も持ち替えたり「休憩しよう」と手を擦り合わせて温めたり、絵画活動だけでは味わえない楽しさを五感で楽しんでいた。

〇野菜スタンプ遊び

食育で「食材の役割」について話をした際に、子どもたちが野菜には様々な形がある事に興味を示したため、野菜スタンプを楽しむ事にした。人参・じゃがいも・おくら・きゅうり・ピーマン・レンコンを準備して、まずは子どもたちに切り口はどんな形か?を尋ねて実際に切ってみた。おくらやレンコンは星形や小さな丸い穴が開いていて、子どもたちも実際に手に取り興味深く見ていた。
その後好きな色の画用紙を選び、自由に野菜スタンプを楽しんだ。全ての野菜を一通りスタンプする子や気に入ったスタンプばかりを画用紙一面に押し続ける子、形の中に二重三重に押していく子、スタンプだけでなく縦横に動かして線を描く子など、同じ野菜スタンプでも個性的な仕上がりとなった。

9月

〇散歩で秋探し

9月に入って気温も少し下がり、心地良い風が吹くようになったので、秋を探しに散歩へ出掛けた。図鑑に載っている「秋探しビンゴゲーム」を基に『落ち葉・ススキ・バッタ・どんぐり・松ぼっくり・面白い形の雲』などを探しながら散歩を楽しんだ。普段は何気なく歩く散歩コースも、秋を探しながら歩くと「こんな所に面白い葉っぱがある」や「小さくてかわいい花がいっぱい咲いている」など新たな発見を楽しんでいた。
落ち葉の上を歩いて『カサカサ』と鳴る音に耳を傾けたり、「あの雲がゾウに見える!」「魚のうろこみたいだね」と普段よりも子どもたちの会話が弾んでいた。虫が苦手な子も友達が見つけたバッタやコオロギを少し離れた場所からではあるが興味深げに見ていた。
秋の葉っぱを集めて持ち帰り「何か作りたい」と子どもたちの希望から、皆で集めて絵画遊びを行う事にした。

〇トウモロコシの皮でコースター作り

年長児はと組の子どもたちが育て収穫したトウモロコシの皮をもらい『コースター作り』に挑戦した。まずは丸まった皮に少し水を掛けて平らにした。「クルッとなってるのが少し伸びた」と楽しみながら取り組む姿や少し難しくて、なかなか手が進まない子など様々であった。一人20本の皮を使用して組み網みを行う。
全体への説明の後、数名ずつ行うが、全体に難しい様子で、初めは保育教諭が見本を見せ、補助しながら一緒に行わないと出来なかったが、コツを掴み自分で「上・下・上・下…」と言いながら一人で最後まで出来る子も数名いた。ボンドで外れないように途中を貼りながら行った。
集中力がなくなり休憩を取りながら取り組んだ子もいたが、全員が最後まで完成させる事が出来て「持って帰っておうちで見せよう!」と完成を喜ぶ姿と笑顔が印象的だった。

〇ピカピカ泥団子作り:第2回目

第2回目の『ピカピカ泥団子作り』に全員で挑戦、まずは子どもたち自身で泥団子作りに挑戦するように促す。手が汚れるのが苦手でなかなか自分から泥を触ろうとしない子には、保育教諭が形作った泥団子の土台を手渡し、挑戦出来る様にした。
普段の園庭遊びの際にも泥団子作りに取り組む子が多くなっていたので、今回は自分で泥団子を握る事が出来る子がほとんどであった。自分の手より大きな団子を作り、握りにくそうにしている子には大きさも考えて作ると握りやすい事を伝え見守る。子どもたち同士で「ここにさら砂あるよ」や「ギュウギュウ固めるんやで」と教え合ったり、お互いに出来た泥団子を見せ合っていた。
また今回は布でこすると更にピカピカ泥団子になるとの事で布を準備し、使用したい子だけ挑戦する。布で擦っては砂を掛けるの繰り返しで、前回より更に多くの子が泥団子作りに成功し「また皆でやりたい!」と次回に意欲が繋がっていた。出来た泥団子は団子入れに保管し、夕方などに更に取り組む姿が見られた。ピカピカ団子の砂の触り心地や、作り始めの団子との色の違いなどに気付く姿も見られた。

10月

〇散歩(木の枝・松ぼっくり集め)

散歩では、夏の頃の葉っぱの色の変化や、発見する生き物の違いなど季節の移り変わりを実際に身体で感じている姿が見られた。過ごしやすい気温になり子どもたちも散歩への意欲が高まり「どこにお散歩行く?」と友達同士で行先を相談したり、自分達が主となって行き先を決める姿に変わってきた。
また、パチンコ作りに向けてYの形の枝と松ぼっくりを探す目的の散歩では、自然散策を含め積極的に参加し、見つけた時の喜びや達成感を味わっていた。友達同士でどこに落ちているかを相談したり、場所を共有する姿や自分の見つけた物を譲ってあげるなど自然物探しから豊かな人間関係を築いていく姿が見られた。

〇木の枝と松ぼっくりでパチンコ作り

散歩で集めたYの形の枝と松ぼっくりを使って〈松ぼっくりパチンコ作り〉を行った。Yの枝に輪ゴムを括り付け、松ぼっくりを飛ばして遊ぶ。手先を上手く使って角度などを何度も試しながら松ぼっくりを飛ばす姿が見られた。
コツを掴むまで難しそうにしていたが、上手く飛ばす友達の姿を見たり、部屋を広げて的を作る事でゲーム感覚で長時間遊びを楽しむ事が出来た。遊んでいるうちに「枝は太い方がよく跳ぶな」「こっちの松ぼっくりでやってみよう」と発見と経験を生かして遊びを発展させていく姿が見られた。
簡単なルールで子どもたちの意欲を引き出す事が出来、身近な物で玩具が作れるという事に喜びを感じた様子で、その後の散歩でもYの枝を探して遊ぶ姿が見られるようになった。

11月

〇どんぐり玩具製作 (こま・マラカス)

散歩で集めたどんぐりで、こま・マラカスを製作した。どんぐりにペンで絵を描き、爪楊枝をボンドで付けてこま回しを楽しむ。どんぐりに描いた模様が、回すと変化するところにも注目してこま回しを楽しんでいた。
この頃、クラスでこま回しが流行っていた事もあり、興味を持って取り組む子どもの姿が多く見られ、またこまを回す際に、指先を使ってコツを掴んで楽しむ姿も見られた。「もう少し大きいどんぐりだったらもっと回るのかな?」と考えたり、回し方を変えるなど試行錯誤して楽しむ姿が見られた。子どもたちの発想や考える力に繋がっていくよう言葉を拾って共有するようにした。マラカスはペットボトルやプリンカップにどんぐりを入れて製作した。どんぐりのツルツルした感触を味わったり、コロコロなる音を耳で楽しむ姿も見られ、様々な感覚で楽しめる玩具になった。
ミュージックフェアで使用し、今までの自然遊びでは経験しなかった体を動かして全身で楽しむという違った遊び方も楽しむ事が出来た。

〇自然物製作コーナー

散歩で集めた自然物を自由に使って製作を楽しめるよう、新しくコーナーを作った。季節や子どもたちのリクエストによって、用意する物を変えて楽しめるようにする。落ち葉・枝・どんぐり・松ぼっくり・貝殻・トウモロコシの皮・木の実・革・綿など様々な物を使って自由に表現する事を楽しむ。
初めの頃は、材料をボンドで付ける事に楽しみを持っているようであったが、毎日作っていくうちにハサミでイメージした形に切ってみたり、その材料の特徴を生かして工夫する姿も見られるようになった。散歩に行くと「これも製作の材料にしよう」「これは使えるかな?」と、目的を持った自然散策を楽しむ姿に変わっていった。
また、ピザを作る子がいると、それを見た子がスプーンとフォークを作ったり、「レストランにしよう」と声が掛かり、ごっこ遊びに発展していく姿も見られ、遊びの幅や人間関係が広がっていく様子が見られた。
自由に手に取って製作する楽しさだけでなく、自然と遊びが広がり、子どもたちとのコミュニケーションにも繋がっていく様子が見られた。

12月

〇綿の種取り・綿遊び

綿の種取りでは「ふわふわしてる」「種いっぱいあるな」と感触を楽しんだり、綿の特徴を実際に触って感じる姿が見られた。種だけを綺麗に取るように伝えると、指先を上手く使い、しばらく集中して取り組む事が出来た。丁寧にふわふわさせながら取る子や、強引に引っぱって取ろうとする姿も見られたりと個性を感じた。根気のいる作業だったが、綿遊びのために必要である事を伝えていたので見通しを持って自分の綿を用意する事が出来た。
紙コップに綿を入れてストローを刺し、息を吹いて綿を飛ばして遊んだ。ストローの上にふんわり綿をかぶせ、息を静かに吹くとふわふわと綿が浮かび上がる。子どもたちは浮かび上がる光景を喜び、「せーの!」と息を合わせながら遊びを楽しんだ。
また、自分の息を加減して綿の浮かび上がり方などの違いを楽しむ姿も見られた。綿の特徴を生かした遊びを楽しむ事が出来た。

〇綿製作

綿でクリスマス製作を行った。サンタ変身グッズでは、帽子とひげを製作、画用紙の型紙に綿をボンドで貼り付けたり、模様を描いて完成させた。綿をボンドで付ける作業が、手に付いてしまい難しそうにしていたが、作っていくうちに綿にボンドを付けるより、画用紙に付けてから綿を貼る方が綺麗に出来る事を発見し、試行錯誤しながら取り組んでいた。沢山の綿を付けて完成させると「本当のサンタさんのおひげみたい」と喜んで身に付ける姿が見られ、冬らしい季節感を感じる製作となった。
切り株オブジェでは、綿・革・どんぐり・貝殻・松ぼっくりなど子どもたちが散歩で集めた自然物を自由に使って楽しめるような環境を作った。たくさんある材料から選択する事を楽しむ姿があり、どんぐりや貝殻も形や大きさを比べて使う物を選ぶなど、細かい部分にこだわる子どもの姿も見られた。自由に表現する楽しさを、他の遊びや日常にも繋げていけるように今後も行っていきたい。

1月

〇散歩に出掛けて冬を感じる

北風が吹く中、元気に散歩に出掛けて冬探しを楽しんだ。これまで春夏秋の散歩で見た自然の様子と違うところはないか?と子どもたちに尋ねてみると「風が冷たい」「木の葉っぱが少ない」「花が咲いてない」「飛んでる鳥が少ない」などたくさんの答えが返ってきた。
出発した時には寒さで体を縮めていた子も「歩いてるうちに暖かくなってきた」と現地に到着すると上着を脱ぎ、元気に走り出した。
自分たちで製作した凧揚げを楽しんだり、海を見て「水がきれい」と透明感を感じたり、冬ならではの散歩を全身で楽しんだ。

〇石アートに向けて石探し

散歩に出掛けた際に、子どもたちがよく「キラキラの石見つけた!」「この石おにぎりみたいな形だよ。」と石に興味を示していたので「面白いお気に入りの石を見つけて色を塗ろう!」と提案した。子どもたちも意欲を示したので、まずは海岸沿いと二色の浜へ出掛けた散歩中にお気に入りの石探しを行った。「ツルツルの石を探そう」「大きい石にしよう」「僕は小さいのにしようかな?」「模様付いてる石がある!」と各自お気に入りの石をいくつか探し、その中から一番のお気に入りを選び持ち帰った。石は綺麗に洗い、消毒を行なってから乾燥させて来月に行う石アートに使用する。

〇絵本『こおりのもよう』を読んで氷作り

月刊絵本「こおりのもよう」を皆で読んだ。冷蔵庫で出来た氷は見た事があるが、バケツに水を張り置いておくだけで本当に凍るのか?子どもたちはとても不思議そうな表情だった。「僕たちもやってみたい!」と子どもたちから声が上がり、挑戦する事にした。各グループで協力してバケツに水を入れる。「いっぱい水を入れた方が良いのかな?」「少しの方が速く凍りそう…」と相談する姿があり、テラスのどの場所にバケツを置くのが良いか?なども子どもたちに任せて見守った。
「太陽が当たったら溶けるな」「暗い所の方が良いん違う?」と各グループで相談して決めて、次の日から登園後に観察し、確認するが凍っていなかった。
「(給食後に)今なら凍っているかも?」と子どもたちが観察したい時には出来るだけ時間を作った。「やっぱり朝が一番寒いから、園に一番最初に来たお友達に見てもらおう!」と子どもたちからの提案で、最初に登園した子どもたちが保育教諭と一緒に観察し、その様子を他児に伝えた。1カ月程観察し続けたが、残念ながら気温がそれほど下がらず、氷が出来ずに残念だったが「またやってみたい!」と意欲を示す子どもたちだったので再度挑戦する機会を作りたいと思う。

2月

〇石アート製作

先月、散歩に出掛けた際に見つけたお気に入りの石に、自由に絵の具で色付けした。石に付いている模様一つ一つに丁寧に違う色を塗ったり、何色も色を塗り重ねて色の変化を楽しむ子もいた。
また、丸い石を自分の顔やクジラなどに見立てて、目や鼻・髪の毛など細かく色を変えて描いていく子など様々な姿が見られた。絵の具で描く=紙というイメージがあった様で「石に描けるの?」と不思議そうな子どもたちであったが取り組むと「石に描くのも楽しい!」「またお散歩で面白い石見つけよう」と更なる意欲が沸いていた。出来上がった石アートは、以前子どもたちが染めた布に乗せて保育室に飾った。手作りの作品が保育室を温かい雰囲気にしてくれた様に感じた。

〇色砂絵画遊び

①さら砂作り:全員で力を合わせてさら砂作りを行った。
これまでにも泥団子作りを行う際にさら砂作りも行ってきたので、子どもたちは保育教諭が何も伝えなくても個々に網や皿、フライパンなどを上手く使いさら砂を作り始めた。「石はなるべく入らない様に作ろう」と子ども同士で声を掛け合ったり、少し苦手な友達へ「これ使ったら上手くさら砂出来るよ」と声を掛け合いながら取り組み、二袋分のさら砂が出来上がった。

②さら砂に色付け:皆で協力して作ったさら砂に絵の具で色付けを行うため、各グループで相談して1つの色を選んだ。個々に希望の色が分かれたグループがほとんどであったが、子ども同士で「じゃんけんしよう」「黄色にしたい人が多いから黄色にしようか?」と意見を出し合い決定したグループが多い中、どうしても自分の希望の色(赤)を譲れない子がいるグループがあり、どうするのか見守っていると、しばらく沈黙があったが「じゃ、赤にする?」と一人の子が他児に声掛けをしてくれ、他児も快く「いいよ!赤にしよう。」と了承した。保育教諭が「赤で良いの?」と尋ねると「赤も好きやし良いよな…」「うん!良いよ!」と笑顔で答えが返ってきたので、子どもたちのやりとりを保育教諭から「赤が良い」と言った子に伝えると、考えて時間が掛かったが「ありがとう」と伝える事が出来た。このグループのやり取りを他のグループの子たちにも伝えると「赤にしてあげて優しいな」「ありがとうが言えて偉いな」など個々に感想を伝え合う姿があった。
各グループで決めた色〈赤・青・白・水色・黄・緑〉の絵の具を砂に混ぜ、感触を楽しみながら全員で混ぜた。「冷たいな~」「色が変わって来た」「手に付いて気持ち悪い…」など、個々に感じながら楽しんでいた。1週間ほど太陽に当てて乾燥させ、色砂が完成した。

3月

〇散歩に出掛けて春探し

少しずつ暖かさが感じられる日が増え、図鑑を持って散歩に出掛け〈春探し〉を行った。桜のつぼみやだんご虫・色とりどりの花を見つけた。
また「空の色が綺麗な水色やから春の空かな?」「冬に落ちた葉っぱがなくなってるから春かな?」と、それぞれに春の訪れを感じる自然に目を向けて楽しんでいた。
四季折々の移り変わりを五感で感じられる散歩に、今後も積極的に出掛けたいと思う。

〇ピカピカ泥団子作り:第3回目

年間を通して全員で行った泥団子作り第3回目。まずは、前日に「明日泥団子作りを行う」という事を話し、個々にどのようにピカピカ泥団子作りを行うか考えてくるように伝えた。当日、これまでの経験から「どうすればピカピカ泥団子が出来るか?」を子どもたちに尋ねてみると「さら砂で作る」「水が多すぎたら柔らかくて潰れる」「布(パンスト)で擦る」などの意見が上がり、その後全員で泥団子作りに挑戦した。
1回目には泥を丸める事が出来なかった子も、今回は挑戦してみよう!という姿が見られ、また意欲的にさら砂を作り「水はちょっとずつ入れていこう」と程よい泥の硬さを調節しながら、泥団子の土台を作るなど個々に工夫しながら作る子や「石が少し入っていても優しく握ったら潰れへんで」と力加減を考えながら取り組む子もいた。擦る布も準備し、それぞれのタイミングで使いたい子だけ使用するように伝えた。
早々に布で擦り始めてしまい、泥団子が崩れてしまう子もいたが「時間あるからもう一回頑張る!」と作り直す姿があった。
ほぼ全員が泥団子を形作り、また手や布で丁寧に擦り、保育教諭も驚く程のピカピカ泥団子を手際よく作り上げる子もいた。
途中で飽きてしまい、別の遊びを始めたいという子も数名いたが、終了時間を決めて取り組む事で「この時間までなら頑張ろう」と全員の目標にして取り組んだ。最後に全員で出来上がった泥団子を見せ合い、成果を認め合う時間を作った。
お互いに「綺麗に出来たな」「光ってるやん」と声を掛け合う事によって、自信と次回への意欲に繋がり、その日の夕方や別の日にも泥団子作りに進んで取り組み楽しむ子が増えた。

〇色砂アート

2月に作った色砂を使用して色砂アートを楽しんだ。「砂でどうやって絵を描くの?」と全員が首を傾げる中、まずは何も伝えず保育教諭が行って見せた。筆にボンドを付けて画用紙に絵を描く。
その絵の上にそっと砂を乗せて、余分な砂を落とすとリボンの絵が浮き上がった。想像していなかった技法に「わあ~すごい!」「早くやりたい!」と子どもたちから大歓声が起こり、興味と意欲が沸いていた。
ボンドで絵を描いたら、乾いてしまうのですぐに砂を乗せる・色を変える時は一色ずつ行い、砂を乗せたらすぐに余分な砂を戻してから次の色に移るという約束だけを伝え、数名ずつ順に取り組む。
普段は白や薄い色の画用紙に絵を描く事が多いが、今回は色砂の絵がより際立つように紺色の画用紙を準備した事で更に仕上がりが楽しみな様子であった。自分の顔や動物、イルカや花など好きな物を自由に描いていく。顔のパーツごとに丁寧に色を変えて砂を乗せる子や、空いているスペースに水玉模様の色を変えてカラフルに描いていく子など個性豊かで素敵な作品が完成した。

〇まとめ

1年を通して「自然遊び」をテーマに、子どもたちと共に全身で様々な遊びを楽しみ、その中で「どうなるんだろう」「そうだったのか」「やってみたい」など皆で考え、気付き・発見・感動を味わえる活動を行ってきた。
散歩に出掛けて四季折々の景色を楽しみ、自然の中で見つけた枝やどんぐり・石などを使用して自分たちで玩具作りに挑戦したり、新たに自然物製作コーナーの設置、年間を通しての泥団子作りや海水採取から実際に塩作りを行うなどの活動を通して、これまで以上に散歩に出掛けた時や園庭遊びの際には、子どもたち自ら自然に目を向けて観察し、変化に気付き、積極的に自然との関わりを持つ様になり、好奇心や探求心が育まれたと感じる。
また、朝顔やひまわりの栽培活動では、自分の手で大切に種を植え、毎日皆で協力して水やりを行いながら植物の成長を実際に観察した事で「芽が出た!花が咲いた!枯れてしまった…」など、個々で喜びや悲しさを感じるだけではなく、友達との関わりや会話を楽しみながら共感し合う事で、豊かな感性や表現力の育ちに繫がった。
月刊絵本を読んでからの氷作りは残念ながら氷は出来なかったが、絵本を読むだけで終わらず、保育に繋げる事の大切さや「なぜ氷は出来ないのか?」「じゃ、こうしてみよう…」と、皆で話し合い、考え工夫して「出来なくて残念だった」で終わるのではなく、「また挑戦したい!」という意欲や期待に繫がった子どもたちの言葉や姿に成長を感じる事が出来た。
更に、保育教諭から提案する教育保育活動ばかりではなく、可能な限り子どもたちの話し合いや考える時間を大切にし、言葉で自分の考えや思いを表現し、相手の言葉にも耳を傾け、互いに尊重し合いながら受け止め合える環境作りを心掛けて活動に取り組んだ。
活動内容・散歩の行き先・活動で使用する材料選びなどに、子どもたちの意見や希望を取り入れる事で、より集中して意欲的に取り組み、子どもたちの表情も生き生きとした笑顔が多く見られた。 今後も園での生活や活動を子どもたちが主体的に行い楽しめるよう、また健康な心と体の育ちに繋がるように、質の高い豊かな教育保育活動に取り組んでいきたいと思う。