令和3年度 研究記録・・・

令和3年度 つばめ組・2歳児 研究発表

テーマ『様々な遊びを通して思いを言葉で伝える』

〇はじめに

去年の研究テーマは『言葉』で1年間取り組み、子どもたちはたくさんの言葉を習得し自発的に発するようになってきた。
2歳児は、言葉の成長もさらに著しくなり他児との関りも増える時期なので、引き続き子どもたちの言葉の成長に着目し、様々な遊びを取り入れながら興味関心を引き出し、他児とのやり取りを楽しめるように、この研究テーマを選んだ。
豊かな言葉の成長を育めたらと思う。

4月

〇感触遊び(フィンガーペインティング)

ねらい

  • ・指や手を使って自由に表現する。
  • ・絵具の感触や色の変化の面白さを知り、表現を楽しむ。

白や黄色の絵具を画用紙に線で描いたものを指で伸ばしたり、混ぜたりして楽しんだ。
少し戸惑いながらも指についた絵具を不思議そうに見ながら触れていた。絵具への興味関心が深く、黙々と遊びに集中する様子であった。真剣な表情で描きながら感触の面白さや色の変化を楽しむ姿が見られた。
言葉の表現を観察するのではなく、共感するように見守る事を大切にした。

5月

〇感触遊び(粘土遊び)

ねらい

  • ・粘土遊びを通して、丸める、伸ばす、ちぎるなど手指を使って遊ぶ。
  • ・一つのかたまりの粘土を自由自在に変化させて遊び、創造力を養う。

1歳児クラスで小麦粉粘土を使用していたが、園で粘土に触れるのは初めてで、大きな粘土のかたまりを目の前に「はやくやりたい」ととても意欲的であった。
一人一つずつケースに入った自分の粘土という嬉しさを感じている様子も伺えた。最初は粘土が硬く、自分で何かを考えて作る前に「せんせいつくって~」「ほしつくる~」と保育教諭に訴えていた。また、手の力が弱くかたまりを半分に分ける事が難しい子どももいた。硬い粘土を柔らかくこねたり、指先の力を使い小さくちぎっていく際にはとても集中していた。
初めてという事もあり黙々と遊ぶ姿が多かったが、「○○つくったよ」「これは○○」など会話しながら粘土遊びをする姿も見られた。

〇砂遊び

ねらい

  • ・想像力を膨らまし、様々なものを作り上げていく楽しさを味わう。

みんなで山を作ろうと保育教諭が提案すると「○○もやまつくる」と集まってきた。しかし他児と協力というよりは、黙々と砂をかけ、山を作って楽しんでいた。その中で他児の山を崩す事を面白がって踏む姿も見られた。相手が嫌がっているなどの気持ちを考えるよりも楽しんでいる様子であった。山を作っている子どもは「やめて」と自分の気持ちを言葉で伝える姿も見られた。
最初から皆でしようとせず、まずはやりたい子どもたちで一人ずつ、自分の山を作っていくのもよかったのではないかと考える。コミュニケーションをとる事も大切だが、まずはじっくり遊ぶ事を大切にしていくべきだと感じた。

6月

〇感触遊び(フィンガーペインティング)

ねらい

  • ・好きな色を選び、指先を使って自由に描く。
  • ・体で感じた事を言葉にする。

「きいろがいい」「つぎはあかにする」など好きな色を伝えていた。
前回と違って戸惑う姿はなく、意欲的に楽しんでいる姿が見られた。「こうしたらどうかな」などの言葉掛けはせず、子どもたちが思いのままに取り組めるよう見守る事を大切にした。色を混ぜ合わせたり、同じ色を点々と指先で並べてみたり、考えながら遊んでいた。中には、豪快に全ての絵具を混ぜ合わせる姿もあった。絵の具に触れて「つめたい」と指先で感じた事を言葉にしていた。
また「てんてん」「ぐるぐる~」など言葉にしながら、指で円を描くように動かすなど自発的に言葉が出るようになっていた。完成した絵を「せんせいみて」と満足そうな表情で伝える子どもたちに対し、「きれいだね」「おもしろいね」と思いを言葉にしていた。

〇砂遊び

ねらい

  • ・砂遊びを通して、先生や友だちに思いを伝える。

子どもたちに今日は何して遊ぼうかと尋ねるとやりたい事を言葉にして伝える姿が見られた。子どもたちは園庭で遊んで楽しかった遊びを思い出し、おのおのに話をしていた。
泥だんごでは保育教諭に作ってもらい、保育教諭の真似をして握って「トントントン」など言いながら手で砂を固めていた。一人で作る事は難しい為、直ぐに「せんせいつくって」と持ってきていたが、子どもの前で作り方を見せる事で自分でもやってみようとする姿がみられた。
砂場では、他児が隣で山作りをしているのを見て、同じように作ろうと集まってきた。最初は山作りをしていたが、山が崩れ平たくなると他児と「ケーキつくろう」とホットケーキ作りへと遊びを展開していた。一つのものを作る楽しさを感じている様子であった。
「はっぱをのせよう」「しろいすなをかける」などそれぞれが提案し、遊びを広げていた。子どもたちから出てくるアイデアはおもしろく、発想が豊かで、したい気持ちを言葉にしていた。

〇これなぁに遊び

ねらい

  • ・絵本や図鑑を見て、簡単な言葉のやりとりを楽しむ。

朝の集いや給食前などの時間に、絵本や図鑑をみながら、これはなにかなと子どもたちに尋ねる回数を増やしていった。
絵本が好きな子どもたちも多く、興味をもって見ていた。
絵を見て言葉にする事で、知らなかった言葉を新たに知る事が出来た。それぞれ図鑑を見て「これはなに」「○○だよ」などお友だちとのやりとりの様子が多く見られた。

7月

〇感触遊び(氷で絵を描く・洗濯ごっこ・泡立て遊び)

ねらい

  • ・夏の遊びを楽しみ、感じた事を言葉にする

(氷でお絵描き)

水に絵具を混ぜたものに棒をさして、製氷ケースで凍らして色のついた氷を作った。氷で絵を描こうと伝えると、初めての事に興味津々であった。氷=冷たいという知識もあり、棒を持っているので実際には触れていないが「つめたいね~」「つるつる」と他児と話す姿がみられた。段々と氷が溶けてくると「せんせい、ちいさくなってきたよ」と氷から水になっていく変化、形が変わっていく不思議に驚き、観察していた。溶けてくると絵具の色も濃く出てくるので、「あかとまぜてみよう」と色遊びを楽しむ姿もみられた。
後日描いたものでかき氷を作り、かき氷屋さんごっこを楽しんだ。
「これください」「○○のあじにする」などの声が聞かれたり、かばんからお金を出す仕草をするなど想像力を膨らませながら遊びを楽しんでいた。子どもたちの姿から日常生活での出来事をよく観察している事が感じられた。

(洗濯ごっこ)

一人一枚のタオルを持ち、実際に水の入ったタライの中でわらべ歌<せんたく>に合わせて洗う、絞る、干すを楽しんだ。
「おうちではこんなふうにやってる」「ママがおせんたくしてる」などそれぞれが日常の出来事を思い出して話す姿が見られた。
水の冷たさや気持ち良さを感じながら、子どもたちなりに洗濯ごっこを楽しんでいたが、友達がタオルを高い位置で絞った事で「ぬれた」「かかった」とトラブルになる場面があり、どのようにすればよいのかを考える良い機会になった。このような些細な体験を通して学びに繋がるのだと感じた。
また、お迎えの時に保護者に「せんたくしたよ」など今日の出来事を話す姿も見られた。

(泡立て遊び)

水の入ったタライに石鹸を入れてシャワーで水をかけると、泡がもこもこと出来ていった。その様子を見て興奮し「すごーい」「あわあわになってきた」「さわってもいい」など早く遊びたい気持ちが言葉に表れていた。ペットボトルに泡を入れ、移し替える遊びをしていた子どもたちは、「〇〇ちゃんいれてあげるね」と他児に声をかけたり、こぼれないように慎重に泡を移し替えていた。また、泡を入れてもらった子どもも、「ありがとう」と嬉しそうな表情がみられた。子どもたち同士で考えて遊ぶ姿や他児の為に何かをしてあげる姿に成長を感じた。

*遊びの中で些細なトラブルも増えてきている。スムーズに言葉が出ずに、考えながら喋っていたり、言葉よりも先に手が出てしまう姿がみられる。成長過程の中で、自分は間違っていない、自分はこうしたいという気持ちが一層強くなっているように感じる。両方が納得のいくようにするのは難しいかもしれないが、最後まで子どもの話を聞き、どうすればよいか一緒に考えるようにした。

〇野菜に触れる

ねらい

  • ・食育を通して、実際に野菜に触れたり匂いを嗅いだり観察し、感じた事を言葉で表現する。

子どもたちは、人参に触れ「にんじんのにおいがする」など、目で見て感じた事を言葉にする姿があった。
また、玉ねぎには線がある事や、根っこが生えている事、種がある事など、自分たちが感じた事を言葉で保育教諭に伝えようとする姿があった。根っこは「にょろにょろしてる」ピーマンの種は「ぶつぶつしている」と子どもたちなりに言葉で表現していた。また、見た目だけではなく「おもたい」など体で感じた事も言葉にしていた。絵や写真だと「これはたまねぎ」と答えるだけで終わるが、実際に触れる事で五感が刺激され、より豊かな表現で様々な言葉が出てくる事に驚いた。
また、クラスでトマトの苗を育てた。苗だけの時には「トマトできるかな…」と心配する姿とともに、期待感も持っていた。実が出来てくるとトマトが大きくなっている事にも気付き、「まだあおいな」「いつあかくなるのかな」と子ども同士で話す姿も見られた。トマトは最初から赤いものと思っている子どももいて、栽培活動を通して苗から実がなり、緑のトマトが段々と色づいていく過程を観察できた事で、子どもたちの知識にも繋がり、大切な体験だと感じた。

8月

〇色水あそび

ねらい

  • ・色水あそびを通して、色に興味を持ったり色の変化を楽しむ。

色水に、より興味が持てるように、色水で遊ぶ前にペットボトルの色水マジックをする。(水を入れたペットボトルを用意し、予めキャップの内側に絵具をつけておく。ペットボトルを振ると段々と色が変わっていく)透明の水が赤や黄色の水に変わっていく様子に「えー」と驚き、不思議そうであった。次は何色になるでしょうと尋ねると、思い思いに好きな色を答えていた。色水マジックをする事で、色の変化をより楽しみ、色水に興味を持てたように思う。色は沢山知っている子どもが多く「あか」「あお」の他に「おれんじいろ」「きみどり」などよく知っていた。色の変化を楽しみ、赤と黄色を混ぜたら何色になるかななど考えながら取り組んでいた。
「○○ちゃん、いっしょにまぜてみよう」など他児とのコミュニケーションを取りながら遊んでいた。一人で遊ぶだけでなく、楽しい事を他児と共有しようという気持ちがみられた。色水遊びをする場所が狭く、環境設定を反省する。

9月

〇感触遊び(触ってみよう)

ねらい

  • ・感触を言葉で表現する

箱に手を入れる部分だけ穴を開け、手の感触だけで中身を当てる遊びをした。
「やりたいやりたい」と積極的であった。ルールは理解出来ているがなかなか言葉は出ず、触っているだけの姿や、穴の部分から覗いてしまう姿もあった。
中には「ふわふわしてる」「なんかつめたいな」と感触を言葉で伝えようとする子どももいた。見ていた子どもたちも、「ふわふわしてるから…〇〇かな」など一緒になって考えようとしていた。
なかなか言葉が出ない時には、保育教諭が、それは、かたい?やわらかい?まるい?など質問すると「かたい」など答えていた。
子どもたちなりに触って感じた事を伝えようとしているのがよく伝わったが、言葉だけで伝えるのはなかなか難しい様子が伺えた。もう少し後半に取り入れても良かったように思った。

以前、野菜に触れたように、秋にも旬の食べ物に触れたり香りを楽しんだ。野菜スタンプでは、野菜の断面に興味を示し、その形が紙にも写ると「みて、みて」と目を輝かせ新たな発見を楽しんでいた。

〇広告遊び(玉入れ)

ねらい

  • ・数を数えたり、楽しい、もっと知りたいなど数に興味を持つ。

玉入れの球を数える際、保育教諭と一緒に数を数える姿がみられた。
遊びの中でも積み木を並べたり、絵本に出てきたものをみて、1~10を数える事を楽しんでいる子どももいた。順番に数えるのは難しく、「いち、に、さん、ご」などバラバラになっている子どももいるが、知っている数字を嬉しそうに言う姿がみられた。数字に興味を持ち始めている事が分かった。この頃より、散歩などでもたくさん言葉がみられるようになった。
以前までは、「みて」「はっぱ、あった」など単発的な言葉が多かったが、「ひこうきどこにいくのかな」「あかいはっぱがあったよ」「とりさんがいるからしずかにいこう」など疑問を投げかけたり、文章での言葉のやりとりが少しずつ増え始める。

10月

〇粘土遊び

ねらい

  • ・丸める、伸ばす、ちぎるなど手指を使って遊ぶ。

自分のマークのついた粘土ケースを探し、自分で粘土の準備(ふたを開け、ふたはケースの下に置く)をし、個々で取り組み始めた。
少しずつ「〇〇つくろう」と目的を持って、話しをしながら、丸めたり伸ばしたり形にしていく事が出来るようになってきた。
月齢によって差はあるが、両手をこすり合わせて細長い形を作っていく事も上手になってきた。低月齢の子どもは他児が作っているようなものを作りたいが上手くできず「せんせいがつくって」と言う事も多いように感じた。
おにぎりや、パンなどを作り、「いらっしゃいませ~」と保育教諭に誘いかける姿がみられた。1人が始めると、他の子どもも楽しそうに作り始め、お店屋さんのごっこ遊びに繋がっていた。また、1~10の数字が書いている粘土板の上に丸めた粘土を並べ、「いち、に…」と指をさして数える姿がみられた。
「…じゅう」と最後まで数える事ができると喜び、それに他児が気づいて同じように喜ぶ姿がみられた。一人で遊ぶ粘土遊びだが、遊びながらも他児の様子を見ていたり、声を聴いているのだと感じた。楽しそうな遊びはどんどん連鎖していった。

〇小麦粉粘土

ねらい

  • ・小麦粉粘土を作る過程を一緒に見て、不思議に感じた事を言葉で表現する。

粉の状態に触れる際には「ふわふわ」「ゆびにくっついた」など感じた事を言葉にし、嬉しさが表情に現れ生き生きとしていた。そこへ水を加えるとポロポロと形が変化していく様子を不思議そうに身を乗り出して観察していた。
油粘土よりも柔らかく伸びる為、簡単に形を変える事が出来、ちぎったりこねたり丸めたりと長時間集中して楽しむ姿が見られた。
今回は保育教諭が水を入れたが、子どもたちに入れてもらっても良かったかなと感じた。また小麦粉粘土は予定では前半に入れていたが、油粘土に十分に触れてから行う方が良いのではないかと考え、時期をずらした。長時間集中して色んな形に変化させ楽しめていた。

11月

〇泥だんご遊び

ねらい

  • ・泥だんごを作る過程や出来た嬉しさを言葉で表現する。

泥だんごを作る際は、「つくってください」という事もあるが、泥を手の平で丸めて「ぎゅっぎゅってするねん」「まるくなったよ」と説明しながら泥団子作りを進めていく姿もみられるようになる。また、泥だけの団子が完成すると、「つぎはさらさら(さら砂)かける」とお皿でさら砂を作っていく。大きいクラスの子どもが作る様子をよく観察している事が分かった。
また、泥団子を握る子ども、その横でさら砂だけを作ってかけてあげる子どもと役割分担している様子もみられた。
「かたいなぁ」「さらさらしてる」など感触を言葉にする中で、実際に砂が固くなっていく様子や細かい砂だけを集めてさら砂を作る様子など、目で見て触れて作る事で、より言葉と結びつきやすくなっている様に感じた。他にも、丸い形を自分たちで作っていく事で“まる”の形の認識にも繋がっていくと感じた。水で濡れている茶色い砂でないと団子ができないという気づきもあり、「おだんごつくりたいから…」と砂に水をかけて欲しい事を伝える姿もみられるようになる。

12月

〇色探し遊び

ねらい

  • ・色の認識をし、言葉につなげる

お部屋で、色探し遊びを行なう。ルールは単純なため子どもたちはすぐに理解していた。赤といわれると「これあかい」「○○のくつしたもあか」など、赤い物を見つけた事を保育教諭に伝える姿が見られた。
始めはすぐに見つかるものを言っていたが、次第に「こんなところにも」と絵本の絵など細かい物を見つけられるようになる。
園庭でも同様に行うが、より分かりやすくするために、色のついた紙を用意する。子どもたちは室内でした時よりも積極的に、遊びに参加していた。
様々な色の紙にとても興味を持っている印象であった。
「つぎはなにいろかな」「みどりがいいな」など期待感を持っていた。少し違うが似たような色を発見して伝えていた時は、まずは“自分で色をみつけてきた“という喜びに共感し、似てるね、他にもあるか探してみよう。という言葉かけをした。それは違うよ、とすぐに否定してしまわないように気を付けた。水色の紙を見て「あお」、黄緑の紙を見て「みどり」と言う子どもも多いが、「みずいろ」「きみどり」と区別して覚えている子どももいた。

1月

〇粘土遊び

ねらい

  • ・絵本から粘土遊びへと遊びを広げ、様々な言葉を使って楽しむ。

粘土遊びをする前に、朝の集いで“もくもくぱんやさん”という絵本をみんなで見る。パン屋さんが、生地をこねて様々なパンを作るという内容で、子どもたちの粘土遊びがより広がるのではないかというねらいもあり、この絵本を選んだ。
この絵本を見た後、みんなでパン作ってみると尋ねると「つくるー」と積極的に取り組もうとする子どもたちであった。 どんなパンを作るのと尋ねると、絵本にでてきた「カメぱん」「ドーナツ」の他にも、子どもたちが考えたヨーグルトパンやおばけぱんなど想像力豊かに次々に色々なパンを作り、絵本から遊びに繋がる様子が伺えた。
「こねこねするわ」と粘土を力いっぱいこねたり、「ながーくする」と両手で粘土をこすり合わせて細長いものを作っていた。
つい、こちらからドーナツつくろう、など提案して子どもたちの作るものを限定してしまう事もあり、子どもたちの自由な発想の妨げになっていると感じた。子どもたちがどんなものを作りたいのか言葉掛けの工夫をし、今後に活かしていきたいと思った。
また、途中で遊びが広がると思い、めん棒(粘土を伸ばすもの)を一人ずつ渡した。しかし、今まで手で伸ばしていた子どもたちも全てめん棒でしてしまい、手指の発達の妨げになったと感じた。様々な道具があるが、自分の手でじっくり取り組む事を大切にしていきたい。
子どもたちのパンが完成してきた時に、紙皿を渡すと、「いまからやくわ」とパンを焼く真似をしたり、盛り付けにこだわり「せんせいできたよ」と嬉しそうに見せてくれる子どもたちの様子を見て、紙皿ひとつで遊びが展開していく様子が伺えた。

〇絵カード

ねらい

  • ・絵カードから想像したり、言葉で表現する事を楽しむ。

(カードは、イタノ式リトミック音階の絵カード7枚と果物などの絵カード10枚の2種類を準備した)
保育室の環境に絵カードを飾る。
絵カードを飾っている時には「これなにー?」「なんでつけるの?」と疑問に思ったようだが、「かわいいね」とじっと絵カードを見て嬉しそうな反応であった。魚や船の写真を見て「〇〇もすいぞくかんいったことある」「ままとぱぱといった」「ふねにはのったことない」など過去の事を思い出したり、経験を話す子どもたちの姿がみられた。
また、絵カードを端から「いち、に、、、」と数を数える姿もあった。絵を見て話すだけではなく、絵カードを飾る事で数の認識にも繋がっているように感じた。
子どもたちがたくさんの絵カードにとても興味を持っていたので渡してみると、絵カードを他児と一緒に机に並べて遊ぶ姿が見られた。自分が手渡された絵カードは自分のものという考えがあるようで、「ちょっとしかないからちょうだい」「みっつしかない」という言葉も聞かれた。その中で「こうかんしよう」と言う子どももおり、カードを他児と交換する姿も見られた。黙って取ったりするのではなく、他児に自分の思いを伝える事ができていた。
継続して色んな写真やカードを部屋に飾ることで会話のきっかけになり、様々な気付きがあった。

2月

〇かるた遊び

ねらい

  • ・保育教諭が読み合わせた言葉を耳で聞き、語句と絵を認知しながら、かるた遊びを楽しむ。

絵合わせなどのカード遊びにも興味をもって取り組み始める。その中でも、かるたに夢中になる姿がみられた。
ひらがなが分かる子どももおり、ルールを理解し取り組む。ひらがなは難しいが読み手のカードに書かれている字の形を見て、同じ形が描かれているカードを探す子どももおり、みんなで楽しむ事が出来ていた。
参加はするがルールが分からず、欲しいカードを取り、トラブルになる姿もあった。月齢によって理解に差はあるものの、かるた遊びを通して、文字に触れたり、他児とコミュニケーションをとり、やりとりを楽しむ姿も多くみらた。

コーナー遊びでは、「かるたしよう」と他児や保育教諭を誘い、遊びの準備をしていた。1人では出来ない遊びなので、自然とコミュニケーションを取りながら、遊びが広がっていく様子が伺えた。
繰り返し遊ぶうちに、保育教諭がいなくても子ども同士で進めていき、数人で遊ぶ事ができていた。

〇かるた遊び(絵カードを使用)

ねらい

  • ・絵カードを通して、色々なものの名称や特性に興味をもつ。

果物や乗り物、身に付けるものなどが描かれた絵カードを使用した。絵カードを並べ、保育教諭が言った言葉の絵カードを選んで取るというルールで取り組んだ。
2グループに分け、少人数で違う場所で行い、落ち着いた雰囲気の中、取り組めるようにした。子どもたちは保育教諭の言葉に耳を傾け、瞬時にカードを取る姿や、「○○もとりたかった」と取れずに悔しがり、次は取ろうとカードを真剣に見たりする姿がある。
聞いた言葉を絵に繋げて遊ぶので、聴覚、視覚を刺激し、よく考え集中力が養われると感じた。
またネクタイやモノレールなど見た事はあるが名前の知らなかったものも、聞いて覚える事が出来ていた。のこぎりなどあまり馴染みのないものでは、名前や使い方を知っている子どもがおり「きをきるものやで」など話す事で他児も知る事が出来ていた。
子どもたちはとても集中して遊び「まだやりたい」と長時間かるた遊びを楽しんでおり、「○○はどーこだ」と保育教諭のように問題を出す事を楽しんでいた。

3月

〇ことばあつめ

ねらい

  • ・色々な言葉を知り、ことば集めの楽しさを知る。

“あ”のつく言葉を考え、思いついた言葉をみんなで言い合い遊んだ。
分かりやすくするために、言葉集めの絵本を見ながらみんなで取り組んだ。
“あ”の文字と一緒に『あり』『赤ちゃん』『飴』の絵が描いている絵カードを見て、すぐに絵を言葉にする子どもたちだった。全部“あ”がついてるね。他に“あ”がつくものはあるかな、と尋ねると、難しい表情をしながら考えるが、「きりん」「あり」など全く違う物や前に言ったものを言う姿もあった。
この年齢には“ことばあつめ”はまだ難しいのかと思ったが、理解している子どももおり、「あ…あさがお」など自分で考え思いついた言葉を伝える姿も見られた。
何回か繰り返すうちに遊び方を理解する子どもも増え、「き…きのぼり」「か…カレー」など考えて言葉にしていた。
また、「き…けーき」と “き” の響きだけを聞き、“き”が入っている言葉を言う子どももいた。他にも、自分の名前や他児の名前など言う姿もあった。
よく分かり「それは違う。“い”がつく言葉だよ」など他児に説明する子どもがいたり、まだ難しい子どももおり、繰り返し楽しむ事でことば集めの楽しさが理解できると感じた。今後も日々の中でことば集めを取り入れて楽しみたいと思う。

〇まとめ

〈 様々な遊びを通して思いを言葉で伝える 〉をテーマに進めてきた。
こどもたちの生活全てに言葉が関わっていて、子どもたちの様々な経験を豊かにする事が、言葉の世界をより豊かに広げていけるのだと感じ、そのような環境作りに努めた。
(4月~5月)
感覚遊び(フィンガーペインティング・粘土・砂遊び)五感を刺激する遊びをたくさん取り入れ、楽しいと思う気持ちを大切にした。 (6月~8月)
感覚遊び(フィンガーペインティング・粘土・砂遊び)
友だちとのやり取りを言葉で伝え、作る楽しさも共感していた。
(氷で絵を描く・洗濯遊び・泡立て遊び等)
水の感覚遊びは体感と共に感嘆詞が多く聞かれた。 (9月~11月)
感覚遊び(触ってみよう・粘土遊び・小麦粉粘土遊び・泥団子遊び等)
自分の気持ちを言葉で伝える表現力や、コミュニケーション力の成長が見られた。
また、語彙力が身につき、言葉の知識が増えていくと、表現の仕方も変わっていき、表現の幅が広がっているように感じた。
(12月~3月)
色探しゲーム・絵カード遊び・かるた遊び等
絵カード・かるた遊びは、戸外遊びが少なくなるこの時期に、身近で思いを表現するのに適した教材で、コミュニケーションをとり、他児との関わりを深める事が出来たように思う。
色々な遊びを提供する中で、子どもたちの年齢に合った遊びを考え、その中で援助の仕方を工夫する事や、環境を変えてみる事などの重要性を再認識した。
また、遊びだけではなく、周囲にいる大人の日頃からの子どもたちへの言葉かけはとても大切で、子どもの成長に大きく関係するものだと改めて感じた。
まだまだ言葉で表現する事が難しい時期でもあるので、子どもたちの気持ちを汲み取り、それを言葉で表現してみる事を大切にしてきた。
今年一年間の学びを通して、今後も日々の言葉かけや環境を工夫しながら、子どもたちの豊かな成長に携わっていきたいと思う。